カテゴリー「環境」の29件の記事

2023年1月17日 (火)

パロマレス米軍機墜落事故(1966年1月17日)

 1960年代の米ソ冷戦時、米国空軍は核兵器を装備した戦略爆撃機B-52でソ連の国境近くまで継続的に飛行する空中警戒であるクローム・ドーム作戦を展開していました。

 1966年1月17日、4発の水爆を搭載した米空軍戦略航空軍団(SAC)所属の戦略爆撃機B-52Gは地中海上空高度3万1千フィート(9448メートル)で空中給油機KC-135Aから給油を受けていましたが、2機が衝突して墜落する事故が発生しました。この事故でB-52の搭乗員7名のうち4名は脱出しましたが3名が亡くなり、 KC-135Aの乗員4名は全員が亡くなりました。

 B-52に搭載されていた4個の水爆のうち3個はスペインのアンダルシア州アルメリア県クエバス・デル・アルマンソーラのパロマレス集落に落下し、1個は付近の海中に落下しました。

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海中から引き上げられた水爆

 地上に落ちた3個の水爆のうち1個は無傷で発見されましたが、残りの2個は核爆発は免れたものの起爆用火薬が爆発し周囲2平方キロメートルにウランとプルトニウムが飛散し、深刻な放射能汚染を引き起こしました。

 海中に落ちた水爆は米軍の探索によって2ヶ月後の3月17日に発見され引き上げられました。この作業中に潜水夫が大怪我をしています。2000年に公開されたキューバ・グッディング・ジュニア主演のアメリか映画「ザ・ダイバー(MEN OF HONOR)」はこのダイバーであるカール・ブラシアの半生を描いたものです。

 落下地点のパロマレスは現在においても規制値以上の放射性物質が検出される土地もあり厳重に管理されて閉鎖されていますが、パロマレスの住民には健康被害は出ていないようです。

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2022年11月16日 (水)

世界の人口が80億人に

 1968年、幽霊惑星と呼ばれるゴース星から地球征服にやってきたゴース星人。彼らは地球の防備が海や空からの攻撃に対してはしっかりしているものの地底からの攻撃に対しては無防備なことから強力な地底ミサイルで全世界の首都を攻撃する計画を実行に移す。「史上最大の侵略」の始まりである。これは1967年から1968年にかけて放映されたウルトラセブンの最終回「史上最大の侵略」の物語です。このときゴース星人は地球の人口は30億人と言っていました。1965年の世界人口は33億人、1970年は37億人でしたので30億人は少なめですが、今から55年前は40億人未満だったのです。

 さて国連が世界人口を発表しました。国連の推計では80億人に達したようです。人類80億人目となったのは旧ソ連アルメニア東部ゲガルクニク州マルトゥニで生まれた女の子がだそうです。

 世界人口は1950年は25億人、1987年に50億人、2010年に70億人となっています。1年あたりの増加率は減少してきていますが絶対数は増え続けています。世界で人口が最も多い国は中国(約14億2600万人)、次いでインド(約14億1700万人)です。第3位の米国が約3億3800万人ですから、中国とインドの人口は突出して多いのです。中国の人口は減少傾向にあるため、やがてインドが世界一の人口になる見込みです。

 世界人口デーの記事でも計算したのですが地球の陸地は限られています。陸地全体に人類が分散したとき、単位面積あたりにどれぐらいの人がいることになるでしょう。

 地球の表面積は510,065,600平方キロメートルです。このうち、海洋の面積が362,822,000キロ平方メートルで、陸地の面積は147,244,000平方キロメートルです。陸地には人が暮らせないところもあるので本当はもっと小さい値になるはずですが計算を簡略化するため約1億5000平方キロメートルとします。

 1億5000平方キロメートルしかないので1平方キロメートルあたりに1人だと地球の陸地には1億5000万人しか存在できないことになります。

 それでは80億人を配置すると1平方キロメートルあたりの人数は

    80億人 / 1.5億平方キロメートル = 53人 / 平方キロメートル

 になります。つまり一辺が1キロメートル正方形の中に53人です。1キロ平方メートルは東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの面積を合わせた広さです。

 1人あたりの面積は

    1平方キロメートル / 53人 = 約0.019平方キロメートル / 人

 となります。これは1辺が138メートルの正方形に相当します。これは東京ドームの0.4個分の広さに相当します。 

 ゴース星人が地球征服のリベンジにやって来たら何と言うでしょうか・・・

ゴース星人
ゴース星人

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2022年10月 5日 (水)

レジ袋ゼロデー(10月5日)

 10月5日は「レジ袋ゼロデー」です。スーパーマーケットやコンビニでレジ袋が有料化されたのは2020年7月1日です。この有料化は2019年5月に制定された「プラスチック資源循環戦略」において「容器包装リサイクル法」を改正したことによるものでプラスチック製買物袋の排出抑制のために導入されました。「レジ袋ゼロデー」はこの法律改正より18年前の2002年(平成14年)にスーパーマーケットの業界団体・日本チェーンストア協会が制定したものです。

 1990年代半ば頃から広まったエコロジー運動を背景に買い物時にマイバックを持参しレジ袋を使わないようにするマイバック運動が進められるようになりました。その一環としてマイバッグを利用しレジ袋を不要とする消費者に割引などを行うキャンペーンが行われるようになり、レジ袋削減が同時に注目されるようになったのです。

 一般にレジ袋の削減はごみ問題(ごみ排出量削減)、資源問題(原油の節約)、地球温暖化問題(二酸化炭素排出量削減)などの対策が目的とされています。

 まずはごみ問題から考えてみましょう。2020年7月から全国でレジ袋が有料化されるとレジ袋辞退率は約80%となりました。2019年のレジ袋の国内流通量は約20万トンでしたが、2021年は約10万トンとなり約50%の削減となっています。一般にレジ袋はごみ袋として再利用されることが多いのでレジ袋がなくなると同等品の販売数が増える可能性があるため有料化だけで解決できるものではないという指摘もあります。辞退率が80%になっているのに流通量が50%削減という数字はそのためかもしれません。しかし、日常的な買い物で配布されるレジ袋が削減されていることを考えるとごみ削減の効果はあると言えるでしょう。

 次にレジ袋の資源問題への効果と言えば原油資源の節約です。2000年頃のレジ袋の使用量は約300億枚で原油換算の使用量は200リットルのドラム缶で280万本(約55万キロリットル)でした。前述のレジ袋の削減量を考慮すれば原油使用量は半分以上削減されていると考えられます。

レジ袋に使われている原油の量(2000年頃)
レジ袋に使われている原油の量(2000年頃)

 プラスチックの原料となるのは原油そのものではなく原油から作られるナフサです。日本国内でプラスチックの製造に消費されたナフサの量を原油に換算すると、国内で消費される原油の約3%がプラスチックとなっている計算になります。2020年の日本のプラスチックの年間の生産量は約963万トン、年間の消費量は約841万トンでした。この数字を考えるとレジ袋の削減、あるいはプラスチックの削減によって原油の使用量が著しく減少するとは言えません。資源問題を解決できるほどのものではないことがわかります。原油の多くは燃料として利用されていますから、原油使用量を効果的に削減するにはもっと別な取り組みをする必要があります。

 最後に二酸化炭素の発生量について考えてみましょう。レジ袋1枚あたりの原油の使用量は18.3 mLとされています。二酸化炭素排出量は二酸化炭素中の炭素の重量に換算した数値(単位kgC)で表します。原油1 Lあたりの二酸化炭素排出量は0.7225 kgCですから、18.3 mLは0.0132 kgCとなります。すなわちレジ袋1枚を削減すると二酸化炭素排出量は13.2 gC削減できることになります。実際にはレジ袋の代わりにマイバッグが使用されたり、ごみ袋としての同等品の消費量が増える分も考慮する必要があり、それらを勘案した実質的な二酸化炭素排出量は13.2 gCよりも小さな値となるはずです。上述の資源問題と同様に二酸化炭素排出量を有意に抑えるためには別の取り組みが必要です。

 こうして考えるとレジ袋の削減はプラスチックごみの削減の効果はそれなりにあることがわかります。原油資源の節約や二酸化炭素排出量の削減は全体からすると微々たる量ですから副次的な効果とも言えるでしょう。そうは言いながらも塵も積もれば山となるでできるところから手をつけていくという視点も重要です。

 ごみ問題は生活に密着しているので人間的、社会的、現代的な問題です。レジ袋の削減の取り組みもレジ袋を絶対に使わないと考えるのではなくTPO(時間・場所・場合)に即して「便利と不便」「安全と危険(特に衛生面など)」などのバランスを鑑みながら使用するか使用しないかを考えれば良いのだろうと思います。重要なことは使ったレジ袋を環境中に投棄せず適切に処分することです。

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光化学スモッグの日(1970年7月18日)

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2022年9月 2日 (金)

図解入門よくわかる最新プラスチックの仕組みとはたらき[第4版]

図解入門よくわかる最新プラスチックの仕組みとはたらき[第4版]

秀和システム 桑嶋幹・木原伸浩・工藤保広

 久しぶりに書籍の紹介です。この本は書籍としては新刊ですが、初版2005年7月、第2版2011年9月、第3版2019年9月と内容が更新され続けています。今回出版されたのは第4版です。

 ここ数年でプラスチックを取り巻く環境は大きく変化しています。プラスチックの自然環境や資源問題への影響が注目され、新たな法整備も進みました。

 この本はプラスチックの基礎(第1章)・合成(第2章)・用途(第3章、第4章)・新技術(第5章)・環境問題(第6章)について最新の情報が網羅されている入門書です。プラスチックの合成方法の解説では難しい化学式を使わずに様々な重合を解説しています。プラスチックの利用や環境問題に関わる統計データも最新のものに更新されています。

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 私たちの身の回りには、日用品や家電品、自動車や飛行機などプラスチックが使われているものがたくさんあります。ところがプラスチックをどうやって作るのかなどその詳細は、あまり知られていません。本書は、プラスチック(合成樹脂)の種類や特性、用途などをやさしく解説した入門書の第4版です。新しく施行された「プラスチック資源循環促進法」やSDGsに対応した、新しい生産・分解技術についての解説を追加しました。


目次

はじめに

第1章 プラスチックとは何か

1-01 プラスチックを探してみよう
1-02 そもそもプラスチックとは
1-03 人類とプラスチックの関わり合い
1-04 プラスチックの発展(合成樹脂の利用)
1-05 プラスチックはどのような物質か
1-06 プラスチックの種類と性質
1-07 プラスチックの見分け方(用途や品質表示)
1-08 プラスチックの見分け方(化学分析)
1-09 広がるプラスチックの利用

第2章プラスチックができるまで

2-01 プラスチックのもと(モノマーとポリマー)
2-02 手をつなぎ変えながら伸びていく重合(付加重合) 
2-03 手をつないで伸びていく重合(縮合重合)
2-04 どうすれば長くなるか
2-05 プラスチックの性質を決める(分子間相互作用の重要性)
2-06 2種類以上のモノマーやポリマーを使う(共重合とポリマーアロイ)
2-07 プラスチックに形を与える(成型)
2-08 熱による成型方法いろいろ
2-09 融けないプラスチックを作る(架橋)
2-10 ゴムとエラストマー
2-11 樹脂
2-12 プラスチックの大部分はプラスチックではない!
2-13 発泡体

第3章 私たちの暮らしとプラスチック

3-01 家庭用品には汎用樹脂が活躍
3-02 文具では用途に合わせて様々な素材が活躍
3-03 家電製品はメンテナンスが少なくてすむ素材が活躍
3-04 包装はプラスチックの最も大きな利用先 
3-05 衣料には適度な強度と肌触りが大事(合成繊維)
3-06 軽くて高機能なメガネ、コンタクトレンズ
3-07 錆びない材料で維持しやすい住居
3-08 スポーツ、レジャーでは軽くて強い素材が活躍
3-09 子どもが安心して遊べる素材を
3-10 携帯電話、スマホ、タブレットにもプラスチックを幅広く活用

第4章 産業で活躍するプラスチック

4-01 自動車では内装からエンジンルームまで幅広く使用
4-02 鉄道車両とプラスチック
4-03 駆体は鋼板から繊維強化プラスチックへ(船舶、航空機)
4-04 スポーツ施設で活躍するプラスチック
4-05 実は軽くて強い発泡スチロール(土木) 
4-06 季節に関わらず様々な食材を得るために(農業、水産業)
4-07 風雨などから素材を守る(塗料)
4-08 飛行機の構造材から付箋紙まで様々なものを結ぶ(接着剤)
4-09 自然エネルギー利用で活躍するプラスチック(風力発電、太陽光発電)
4-10 電子回路を使用した製品で活躍するプラスチック
4-11 医療用器具で幅広く使用されるプラスチック

第5章 進化するプラスチック

5-01 光とプラスチック(透明性と光応答性)
5-02 音とプラスチック(防音と発音)
5-03 包装を変えたプラスチック(食品はもう腐らない)
5-04 医療を変えたプラスチック(衛生と生体適合性)
5-05 微生物や光で分解するプラスチック(分解性材料)
5-06 プラスチックによる構造材料(強力なだけではなく)
5-07 電気と磁気とエネルギーとプラスチック
5-08 薄皮 1 枚で分ける(膜分離)
5-09 プラスチックを印刷する(3D プリンター)

第6章 プラスチックの課題と私たちの生活

6-01 プラスチックがもたらすもの
6-02 プラスチックの安全性
6-03 プラスチックと資源問題
6-04 プラスチックと環境問題
6-05 プラスチックとごみ問題
6-06 プラスチックのリサイクル
6-07 容器包装リサイクル法とは
6-08 ペットボトルのリサイクル
6-09 科学と技術でプラスチックの課題を解決することができるか 
6-10 持続可能な社会とは
6-11 心豊かで快適な暮らしを続けるために

索引 
参考文献

コラム

・目的によって作り出される複合材料
・高分子の概念を提唱したヘルマン・シュタウディンガー
・レゾール型とノボラック型のフェノール樹脂
・赤外分光法 
・超高分子量ポリエチレンとゲル紡糸法
・ポリマーアロイがもたらしたエンジニアリングプラスチック、PPE
・アクリルとは
・架橋と紙おむつ
・フッ素樹脂で加工した調理器具
・プラスチックと金属の表面の違い
・不織布マスクにもプラスチックが活用されています
・プラスチックボディの車?旧東ドイツのトラバント 
・接着剤による接着の仕組み
・太陽電池(PN 接合型太陽電池と色素増感太陽電池)
・高分子圧電材料
・プラスチックによる電線の被覆
・インテリジェント材料
・レジ袋に使われている原油の量
・洗濯バサミがバラバラに崩れる理由は?
・二酸化炭素からプラスチックの合成
・ゴミ収集車
・有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約 
・生分解性プラスチックは環境にやさしいと言えるか? 

出版社 :秀和システム; 第4版 (2022/8/31)
発売日 :2022/8/31
言語  :日本語
単行本 :318ページ
ISBN-10:4798068292
ISBN-13:978-4798068299
寸法  :14.8 x 2.3 x 21 cm

図解入門よくわかる最新プラスチックの仕組みとはたらき[第4版]

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2022年7月18日 (月)

光化学スモッグの日(1970年7月18日)

 1970年7月18日、東京の空は白っぽく霞がかっていました。杉並区の東京立正中学校・高等学校のグランドで体育の授業を受けていた生徒43名が突然眼の痛みや喉の痛みなどの健康被害を訴えました。東京都公害研究所(現:東京都環境科学研究所)が調査したところ原因は大気中の化学物質によるものであることがわかり、太陽光に含まれる紫外線で窒素酸化物(NOx)が有毒な光化学オキシダントに変化して光化学スモッグが生じていたことがわかりました。光化学スモッグはこれ以前にも発生していましたがこの事件によって広く知られるようになったことから1970年7月18日は「光化学スモッグの日」とされています。

 光化学スモッグは5月から9月の午前10時から午後5時ぐらいにかけて日射が強い・気温が高い・風が弱いなどの気象条件が重なったときに生じます。スモッグは煙(スモーク、smoke)と霧(フォッグ、fog)を合わせた言葉で、工場や自動車の排煙の粒子が核となって霧が発生じている状態です。スモッグには排出された石炭の微粒子や二酸化硫黄など有害な化学物質を含むロンドン型スモッグと、排出された物質が紫外線で光化学反応を起こしてさらに有害物質を生成するロサンゼルス型スモッグがあります。ロンドン型スモッグでは大気中に黒いスモッグが発生し、ロサンゼルス型スモッグは白いスモッグが発生します。光化学スモッグはロサンゼルス型スモッグのことです。

光化学スモッグで白く霞がかった街
光化学スモッグで白く霞がかった街

 ロンドン型スモッグはイギリスの産業革命以降に発生するようになったスモッグですがロサンゼルス型スモッグは1940年代に米国のロサンゼルスで発生したものです。ロサンゼルスの地形は盆地であり大気が滞留しやすい土地柄です。人口増加に伴って産業が発展し自動車が増加したことで大気汚染が発生するようになりました。ロンドン型スモッグは排煙などの規制により改善されましたが、1943年9月8日に高濃度のスモッグが発生し多数の人々が眼や喉の刺激を受けるなどの健康被害に遭いました。調査の結果、工場や自動車から排出される窒素酸化物および光化学反応性の高い炭化水素が紫外線のエネルギーを受けて光化学反応を起こしその結果生じた有害な大気汚染物質が原因で発生すした光化学スモッグであることがわかりました。この大気汚染物質を光化学オキシダントといいます。オキシダントは大気中に存在する酸化力の強い物質の総称でオゾン、硝酸ペルオキシアセチル、二酸化窒素、過酸化物などがあります。光化学オキシダントはオキシダントから二酸化窒素を除いたものと規定されています。

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2022年7月11日 (月)

世界人口デー|地球上で1人あたりの面積は?(1989年7月11日)

 7月11日は世界人口デー(World Population Day)です。1989年に国連人口基金(UNFPA)が1987年7月11日に世界の人口が50億人を突破したことをきっかけに世界中の人々に人口問題への関心を高めてもらうために制定しました。当時、国連はこの日に産まれたクロアチア(当時はユーゴスラビア)の首都ザグレブで生まれた子どもを50億人目と認定し祝福しています。

 さて世界の人口はいまや77億人を超えました。

 地球の表面積は510,065,600平方キロメートルです。このうち、海洋の面積が362,822,000キロ平方メートルで、陸地の面積は147,244,000平方キロメートルです。

地球(アポロ17号撮影)
地球(アポロ17号撮影)

 地球の陸地には人が暮らせないところもありますから、本当はもっと狭い値になるはずですが、約1億5000平方キロメートルとします。これは正方形で考えると、その1辺が約1万2,250キロメートルになります。この値は地球の直径1万2,472キロメートルよりやや小さい値ですが、地球の円がちょうど入る正方形と考えても良いでしょう。

 陸地の面積を人口で割り算してみると

1人あたりの面積=1億5000平方キロメートル/77億人

 =0.0195平方キロメートル

 正方形で考えると、その1辺が約0.14キロメートルなります。140メートル四方に1人です。

 陸地全体の面積の正方形の1辺が12,250キロメートルでしたから、

12,250/0.14=87,500

で、その正方形の一辺には8,8000人しか並べないことになります。人口が多いところ、少ないところもありますが、ならすと、これぐらいの密度ということになります。

 日本は人口減少といいますが、現在の問題は人口減少そのものではなく、少子化といわれているように、各年齢層の人口のバランスが崩れていることです。人口が減りすぎるのはまずいでしょうが未来の子孫にとっては年齢層のバランスが取れていれば人口が今より減るのは決して悪いことではないように思います

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2021年9月16日 (木)

オゾン層保護のための国際デー(9月16日)

 1785年、オランダの化学者マルティン・ファン・マルムは水面上で放電の実験を行ったていたところ異臭が発生することに気がつきました。これがオゾンの最初の発見ですが、マルム自身は異臭の原因がオゾンによるものとは気がつきませんでした。

 1828年頃、スイスの化学者クリスチアン・シェーンバインはマルムが発見した異臭に改めて気がつき、この臭気が落雷の時にも発生することから、原因となる物質は大気から生じると考えました。そして、この物質をギリシア語で「臭ぐ」を意味するὄζειν に因んでオゾン(Ozon) と名付けました。シェーンバインは1839年にオゾンの匂いが白リンをゆっくりと酸化させたときに発生する匂いに似ていることを突き止め、オゾンが酸素から成る物質であることを突き止めました。オゾンが酸素原子3つが結合した物質であることを明らかにしたのはスイスの化学者ジャック・ソレです。

 1879年、フランスの物理学者マリー・アルフレッド・コルニュは300 nmより短い紫外線が地表に届いていないことを確認し、大気が短波長の紫外線を遮蔽していることを発見しました。1881年、アイルランドの化学者ウォルター・ハートレイはオゾンが短波長の紫外線を吸収することを発見し、コルニュが発見した大気の紫外線遮蔽の原因物質はオゾンの可能性があることを報告しました。1913年にレイリー卿ことジョン・ウィリアム・ストラットが大気の下層では紫外線の吸収が発生しないことを確かめ、紫外線遮蔽の原因物質が大気の上層に存在することが示唆されました。同年フランスの物理学者シャルル・ファブリとアンリ・ビュイソンが大気上層に存在するオゾンが吸収する紫外線が太陽光の紫外線と一致することを確かめオゾン層を発見しました。1920年にイギリスの物理学者ゴードン・ドブソンがオゾン層の存在を証明しました。

 オゾンは大気の上層部で生成と分解を繰り返していますが、生成と分解のバランスが取れている限りオゾン層は保たれます。しかしながら、近年、クーラーや冷蔵庫に用いられる冷媒や半導体部品の洗浄剤に含まれるフロンや多くの化学物質に含まれる塩素が大気中に排出され、オゾンを分解していることがわかりました。

 ・オゾン層からオゾンが落ちてこない理由(オゾンの生成と分解のプロセス)

 オゾン層が破壊されると有害な紫外線が地表に届くことになります。1985年に南極のオゾン層が減少する論文が報告されると、オゾン層の保護が国際的な課題となり、同年3月22日にオゾン層の保護のためのウィーン条約が採択されました。

南極のオゾンホール
南極のオゾンホール
Image from NASA  showing a map of a hole in the ozone layer over Antarctica on Oct. 20, 2019.

 1987年9月16日に「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が採択され1999年までにフロンガスなどオゾン層破壊の原因となる物質の消費量を半減することが決定され、日本をはじめ24カ国が調印しました。1994年の国際連合総会でこの日を「国際オゾンデー」とすることが決議されました。 

Unusual Winds Drive a Small 2019 Ozone Hole

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2014年5月21日 (水)

家畜のゲップが地球温暖化の原因??

 家畜が地球温暖化の原因?まさかと考える人も多いと思いますが、どうやら、家畜が地球温暖化のひとつの原因になっているは間違いないようです。

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 家畜が地球温暖化の原因とされているのは、家畜が出すメタンガスに原因があるためです。メタンガスは二酸化炭素の約25倍の温室効果をもつ代表的な温室効果ガスで、地球温暖化防止のうえで規制の対象になっている物質です。

 家畜によるメタンの発生源のひとつに糞があります。家畜の糞から発生するメタンの量を理論的に計算すると、世界で年間数千万トンにもなります。しかし、多くの家畜は野外で放し飼いであり、糞も乾燥してしまうため、計算値の1パーセントほどのメタンしか発生しないだろうと考えられています。通常の自然の状態では、全体としては家畜の糞が地球温暖化につながるとは言えないようです。

 家畜によるメタンの発生源として無視できないのは、牛や羊などの反すう動物がするゲップだといいますから驚きです。全世界で飼われている牛や羊の頭数から計算すると、実に年間1億トンに近いメタンが吐き出されていることになります。この数値は世界のメタンの年間全排出量(五億トン)の20パーセントにもなる数字ですから馬鹿になりません。

 どうして、反すう動物のゲップにメタンがたくさん含まれているのでしょうか。牛を例にして考えてみましょう。牛は四つの胃を持ちますが、本当の胃は四番目の胃だけです。最初の三つの胃は食道が変化したもので、胃液で食べ物を消化する働きはありません。一番目の胃には、微生物が多数生息し、飼料を分解・発酵しています。牛は、ここで分解・発酵している食べ物を口に戻して混ぜ合わせ、再び胃の中へ返します。まるで攪拌装置つきの発酵タンクのような仕組みなのですが、この発酵にともなって水素が発生します。多くの微生物は水素で働きが弱るのですが、この発酵タンクの中には、水素をメタンに変える働きを持つメタン菌という細菌が住んでいます。メタン菌は、食べ物を発酵させるだけでなく、水素から他の微生物を守り、同時に多量のメタンを作り出します。このメタンがゲップに含まれて出てくることになり、かくして家畜のゲップが地球温暖化の原因となっているわけです。

 反すう動物のゲップによる地球温暖化を防ぐために、いろいろな方法が考えられています。最初に考えられたのはメタン菌を抗生物質で殺すという方法です。この方法では、メタンの発生は抑えらたものの、発酵で生じた水素で微生物が死滅し、消化不良が起き、糞からのメタン発生量が増えてしまいました。次に考えられたのが発生する水素を減らす方法です。飼料に酸を加えると、発生した水素が酸と反応して無害化し、メタン菌はメタンを作れなくなります。また、飼料に植物油などに含まれる不飽和脂肪酸を加えると、水素と結合して、同様にメタンの発生量を抑えることができます。これらの方法は牛の消化にも影響がなく、有力な手段として研究が進められています。

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2014年1月22日 (水)

ノロウイルスによる食中毒は最近になって増えたのか

■ウイルス性食中毒は古くて新しい食中毒

 食中毒とは、自然の毒物、化学物質、病原性の細菌などが混入した食品を食べることによって、中毒症状や急性の感染症を引き起こすことです。

 食中毒には様々な種類がありますが、ノロウイルスやロタウイルスなど、ウイルスが原因のものをウイルス性食中毒といいます。

 最近になって、ノロウイルスによる食中毒の事故のニュースが増えている印象があります。例えば、厚生労働省の食中毒事件一覧速報 2013年の食中毒の発生件数は1100件、そのうち細菌性のものが419件、ウイルス性のものが432件(ノロウイルスが416件)でした。一方、2000年の食中毒の発生件数は2247件、そのうち細菌性のものが1783件、ウイルス性のものが247件(小型球形ウイルスが245件)でした。

 実際のところはウイルスが原因の食中毒は古くからあったはずですが、厚生労働省がウイルスを食中毒の原因物質と認定したのが1997年であったこととも関係します。1997年以前は、ウイルス性食中毒は原因不明の食中毒として扱われました。

 ですから、厚生労働省の食中毒事件一覧速報の統計資料では、ウイルス性食中毒の発生件数が記載されたのは1998年からです。1997年にはウイルス性食中毒の発生件数は記載されていません。ウイルスが食中毒の原因として認定されていなかったからです。

 このようにウイルス性食中毒は古くて新しい食中毒なのです。

■ノロウイルスによる食中毒が増えている理由は

 ノロウイルスは1968年に米国のオハイオ州ノーウォークの小学校で発生した集団食中毒で初めて発見されました。このとき、発見されたウイルスはノーウォークウイルスと名付けられました。

 1972年に電子顕微鏡でノーウォークウイルスの構造が明らかになり、ウイルスの形状から小型球ウイルスと名付けられました。それ以降、このウイルスとよく似たウイルスを原因とした食中毒事故が各地で報告されるようになり、総称としてノーウォーク様ウイルス、小型球形ウイルスと呼ばれるようになりました。

Norovirus

  1990年に小型球形ウイルスの遺伝子の解析が行われ、カリシウイルス科の属に分類できることが判明しました。2002年の国際ウイルス命名委員会の提言と、パリで開催された第12回国際ウイルス学会において、ノーウォーク様ウイルスはノロウイルスと命名されました。つまり、ノロウイルスという言葉が初めて使われたのは2002年のことです。

 また、最近になって、ノロウイルスを簡易に発見する方法が確立され、2007年から検査が行われるようになりました。2012年には3歳以下の乳幼児と65歳以上の老人に保険が適用されるようになり、普通の病院でも検査を受けることができるようになっています(対象外の人の検査は保険適用外で自費になります)。このような背景から、食中毒事故が発生した際に、ノロウイルスが発見されやすくなっています。

ひと昔前は、今年の風邪はお腹にくるなどという言い方があったように思います。発熱、嘔吐、下痢などを伴う風邪は、ノロウイルスだった可能性も否定できません。

ノロウイルスによる食中毒は最近になって増えたような印象があるのは

  • ウイルス性食中毒が古くて新しい食中毒だったこと
  • ノロウイルスという言葉が使われ始めたのは2002年だったこと
  • ノロウイルスの簡易検査が行われるようになり、発見されやすくなったこと

などを理由として挙げることができるでしょう。

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2013年7月30日 (火)

合成洗剤のソフト化とは ABSからLASへ

 昭和30年代に入り電気洗濯機が普及し始めると、合成洗剤の需要が急激に伸び始めました。この頃、合成洗剤は高級アルコール系洗剤が主流でしたが、石油系合成洗剤のABS(側鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩)の性能が認められるようになると、ABSが合成洗剤の主流になりました。

 また、この頃から台所用洗剤など洗濯以外の目的に使われる合成洗剤が登場したこともあって、合成洗剤の消費量はさらに増加しました。ABSは洗浄力が高く、泡立ちが良いことが消費者の好みに合致したこともあって、合成洗剤として不動の地位を占めました。

 ところが、この消費者にとって大人気のABSの消費量の増大は、皮肉にも消費者の生活を脅かす環境問題を引き起こすことになりました。昭和35/36年頃から、河川での洗剤の発泡が目立つようになり、時間が経過しても泡が消えないということが社会問題となりました。

 当時は家庭排水を直接河川などへ流す場合が多く、ABSが排水中に泡だって長時間滞留し河川や湖沼の水質汚濁や地下水の汚染問題を引き起こしたのです。また活性汚泥法といって微生物の力を借りて排水処理を行う下水処理設備をもってしても対処できないことが分かりました。

 この問題はアメリカを始めとする先進諸国でも発生し、その原因究明が行われました。調査の結果、アルキル基が枝分かれした構造をもつABSが化学的にも生物学的にも極めて安定な物質であり、分解しにくい物質であることが分かりました。すなわち、ABSが排水中で分解されることなく河川などに長時間滞留してしまうことや、下水処理場で微生物による分解ができないことの原因が明らかになったのです。

 ABSが環境問題を引き起こすことが分かると、ABSに替わる合成洗剤の開発が進められました。その結果、アルキル基が枝分かれしていないLAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩)が合成洗剤として使われるようになりました。LASは生分解性が良く、下水処理場での微生物による分解ができる合成洗剤としてABSに置き換えられました。

 この生分解性の良い合成洗剤をソフト型、ABSのように生分解性の悪い合成洗剤をハード型と呼び、ハード型の合成洗剤からソフト型の合成洗剤に転換していくことを、合成洗剤のソフト化と言います。日本では昭和四十年頃から合成洗剤のソフト化が進められ、その数年後にはほとんどの合成洗剤がソフト型になりました。現在はJISの規定から生分解性の良い合成洗剤しか使うことができずABSは使用されていません。LASよりもさらに生分解性の良い合成洗剤も使われています。

 さて、合成洗剤のソフト化により環境汚染の問題が解決できたと言えるでしょうか。ソフト型洗剤は生分解性が高いのは事実ですが、その分解には下水処理場での微生物分解が必要です。従って排水を直接河川に流している場合には、ソフト型合成洗剤でも環境問題を引き起こします。

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