カテゴリー「物理」の51件の記事

2023年12月10日 (日)

朝永振一郎博士がノーベル物理学賞を受賞(1965年12月10日)

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 朝永振一郎博士は1906年(明治36年)に哲学者の朝永三十郎の長男として東京市小石川区小日向三軒町で生まれました。1913年に三十郎が京都帝国大学に就任したため家族は京都に移り住みました。幼少の頃から自然科学に興味をもった朝永振一郎はルーペで実験を行ったり電信機や顕微鏡の自作などを行いました。中学生時代から湯川秀樹と同じ学校に通い高校を卒業すると湯川とともに京都帝国大学理学部物理学科に進学しました。

 大学を卒業すると朝永と湯川は大学に留まり無給副手となりました。朝永は独学で物理学を学んでいたところ1931年に仁科芳雄の誘いで理化学研究所の仁科研究室の研究員となりました。仁科のもとではマグネトロンの研究などを行いました。その後、1937年にドイツに留学しヴェルナー・カール・ハイゼンベルクのもと場の量子論や原子核の理論の研究を行いました。1941年に帰国し東京文理科大学(東京教育大学の前身sで現在の筑波大学)教授となりました。

朝永振一郎博士
朝永振一郎博士

 朝永の著名は研究業績は素粒子を記述する場の理論とアインシュタインの相対性理論の関係を解き明かした「超多時間理論」および「超多時間理論」を発展させて場の理論の無限大の困難を解消した「くりこみ理論」です。朝永はこれらの研究成果から光と物質との相互作用を解明しました。「くりこみ理論」を用いて水素原子のスペクトルが理論的な予想からずれる現象(ラムシフト)を説明しました。これらの業績により1965年秋に米国の物理学者リチャード・ファインマン、ジュリアン・シュウィンガーとともにノーベル物理学賞を受賞しました。ところが朝永は祝い酒で酩酊し風呂場で転んで肋骨を骨折し授賞式に出席できませんでした。「ノーベル賞を貰うのは骨が折れる」と言ったという逸話があります。

 朝永振一郎博士は科学教育にも熱心で東京教育大学長、日本学術会議会長という要職を務め多くの弟子を育てると同時に組織をうまくまとめ物理学の発展に大きく貢献しました。1978年に喉頭癌を患い手術で声を失い、翌年に再発して亡くなりました。墓所は東京西部の多磨霊園で遺骨は師の仁科芳雄の墓に葬られました。その墓標には「朝永振一郎 師とともに眠る」と刻まれています。

 

朝永振一郎博士は科学についてこのような言葉を残しています。

 ふしぎだと想うこと これが科学の芽です

 よく観察してたしかめ そして考えること これが科学の茎です

 そうして最後になぞがとける これが科学の花です

 

 

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2023年7月 9日 (日)

レンズ光学の入門書|よくわかる最新レンズの基本と仕組み[第3版]

図解入門 よくわかる最新レンズの基本と仕組み[第3版]

光学とレンズの初心者向けの図解入門書です。光学とレンズの基本から解説しているので、これからレンズのことを勉強したい人だけでなくレンズの基本を教える人にとっても役に立つと思います。数式も出てきますが読み飛ばしても図と解説から理解できます。

 身近な現象から学ぶレンズと科学と技術

 光を見る・知る・掴む。世界を切り取る技術!豊富なイラストで手に取るようにわかる!

図解入門よくわかる最新レンズの基本と仕組み[第3版]
図解入門よくわかる最新レンズの基本と仕組み[第3版]

内容

レンズは光技術の立役者であるといっても過言ではありません。本書は、カメラ、望遠鏡、顕微鏡、CD/DVDプレーヤー、コピー機など私たちの身の回りで 使われているレンズの入門書です。本書は、物理が苦手の人でも、 レンズについて知りたいという人を対象に、光の性質から、レンズの基本的な仕組み、レンズの種類、収差や性能、眼鏡やカメラなど実際の機器でのレンズの使われ方を図表を使ってやさしく解説しています。第3版では、スマートフォンなど最新機器で利用されている技術や、医療分野での活用例についても紹介します。

単行本: 312ページ
出版社: 秀和システム; 第3版 (2020/3/31)
言語: 日本語
ISBN-10: 4798058106
ISBN-13: 978-4798058108
発売日: 2020/3/31

もくじ

第1章 レンズとは何か

  • 1-01 そもそもレンズとは?
  • 1-02 レンズの働きをするものを探してみよう
  • 1-03 レンズの歴史

コラム 世界最古のレンズ?ニムルドのレンズ

  • 1-04 望遠鏡と顕微鏡の歴史
  • 1-05 カメラの歴史
  • コラム 活動写真の発明

第2章 光の基本的な性質

  • 2-01 光はどのように進むのか① 光の直進性

コラム 鏡の歴史

  • 2-02 光はどのように進むのか② 光の反射と乱反射
  • 2-03 光はどのように進むのか③ 光の屈折と反射

コラム 光通信と光ファイバー

  • 2-04 光はどのように進むのか④ フェルマーの原理とスネルの法則
  • 2-05 光の分散
  • 2-06 光の回折と干渉

コラム シャボン玉でできる虹

  • 2-07 光が偏るとは?
  • 2-08 どうしてものが見えるのか

コラム 物体はどのようにして見えるのかを研究した人びと

  • 2-09 光と色の三原色
  • 2-10「光る」とはどのようなことか
  • 2-11 光の速度はどれぐらいか

コラム 光速の測定が光の波動説の完全勝利をもたらした

  • 2-12 光の正体は何か
  • 2-13 電磁波とは何か
  • 2-14 幾何光学と波動光学

コラム ナノテクノロジーとは

第3章 レンズの基本的な仕組みと働き

  • 3-01 影や像のできかた
  • 3-02 レンズの仕組みと働き

コラム 老眼鏡と近視眼鏡のレンズの種類を確かめる

  • 3-03 レンズの構成
  • 3-04 レンズを通る光の進みかた
  • 3-05 レンズでできる像
  • 3-06 レンズの式と倍率
  • 3-07 レンズの置き方
  • 3-08 2枚のレンズを通る光
  • 3-09 レンズの簡易な作図方法

コラム 平行光で凸レンズの焦点距離を求める

  • 3-10 凹面鏡と凸面鏡

コラム 凹面鏡を利用した太陽炉

第4章 レンズの分類

  • 4-01 レンズの基本的な分類のしかた
  • 4-02 表面で光を屈折するレンズ①
  • 4-03 表面で光を屈折するレンズ②
  • 4-04 表面屈折以外のレンズ

コラム 光を回折させてみよう

  • 4-05 レンズを作る材料

コラム ガラスはなぜ透明か

  • 4-06 光学ガラスの屈折率とアッベ数
  • 4-07 光学ガラスの分類
  • 4-08 ガラス以外の材料
  • 4-09 レンズのつくりかた

コラム 光学ガラスやレンズの製造工程を詳しく知りたい人は

第5章 レンズの収差と性能

  • 5-01 収差とは何か
  • 5-02 球面収差
  • 5-03 コマ収差と非点収差
  • 5-04 像面湾曲と歪曲収差
  • 5-05 軸上色収差と倍率色収差
  • 5-06 Fナンバー
  • 5-07 開口数NA
  • 5-08 絞りと瞳
  • 5-09 絞りの位置とテレセントリック
  • 5-10 焦点深度と被写界深度
  • 5-11 レンズの解像力と伝達関数MTF

コラム 偏心収差 レンズ製造やとりつけで生じる収差

  • 5-12 アッベの不変量とラグランジュの不変量

コラム レンズの設計

第6章 レンズを使った製品と技術

  • 6-01 光学系とは何か
  • 6-02 眼の働き
  • 6-03 眼鏡と眼の屈折異常① 
  • 6-04 眼鏡と眼の屈折異常② 
  • 6-05 コンタクトレンズの仕組み

コラム 昆虫の複眼の仕組み

  • 6-06 白内障と眼内レンズ
  • 6-07 ルーペの仕組み
  • 6-08 顕微鏡の仕組み
  • 6-09 望遠鏡の仕組み

コラム 双眼鏡の仕組み

  • 6-10 カメラの仕組み
  • 6-11 CD-ROMとCD-ROMドライブの仕組み
  • 6-12 レーザープリンタの仕組み
  • 6-13 バーコードリーダーの仕組み
  • 6-14 半導体産業を支えるステッパーレンズ
  • 6-15 自然現象とレンズ

索引

参考文献

サンプルページ

巻頭口絵(抜粋)

Front

第1章 第1節 そもそもレンズとは

Page11

第2章 第3節 光はどのように進むのか③光の屈折と全反射

Page23

第3章 第4節 レンズを通る光の進みかた

Page34

第4章 第1節 レンズの基本的な分類のしかた

Page41

第5章 第2節 球面収差

Page52

第6章 第2節 目の働き

Page62

図解入門 よくわかる最新レンズの基本と仕組み[第3版]

 

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2023年3月19日 (日)

半減期が帰着するところは確率

 放射性物質の半減期の話をしていたら原子核の崩壊が結局のところは確率で決まるよと説明したら合点のいかない人がいました。もっとも、ニュースの解説でも単純に放射能物質が半分になる時間(放射能が半分になる時間)ぐらいしか説明されていないことも多いので仕方がないかもしれません。

 放射性の原子核が崩壊して別の種類の原子核に変わるとき、もとの原子数の半分が崩壊する時間を半減期といいます。ただし、ある原子核が崩壊するかどうかは確率で決まります。たとえば、ひとつの原子核がいつ崩壊するかはわかりません。半減期が経過したら必ず崩壊するというわけではありません。すぐに崩壊するかもしれないし、ずっと崩壊しないかもしれません。

_
出典:環境省ホームページ・環境省_半減期と放射能の減衰
https://www.env.go.jp/chemi/rhm/r1kisoshiryo/r1kiso-01-02-07.html

 実は半減期というのは多数の原子核が崩壊して半分になる時間です。ひとつひとつの原子核はいつ崩壊するかはわからなけども、全体を見ればある一定の確率で崩壊するため全体として半減期が決まることになります。従って半減期は例えば1兆個の原子核が半分になる場合には適用できますが、4個が2個とか、2個が1個とかには適用できません。

 ひとつひとつには適用できないが、全体には適用できるという例を、少々乱暴ですが簡単な例で説明してみます。

 日本で2022年に交通事故で死亡した人の数は2,610人です。日本の人口を1億2300万人とすると2022年の1年間で交通事故で亡くなった人の確率は約0.002 %になります。この数字はあくまでも1年間で人口1億2300万人のうち2610人が交通事故で死亡するということしか言えません。特定の個人が交通事故で死亡するかはわからないのです。

【関連記事】半減期が帰着するところは確率

元素の周期表を考えた人たち

メンデレーエフが周期律表を発表(1869年3月6日)

112番元素の名称をコペルニシウムと決定(2010年2月19日)

金・銀・銅の元素記号はなぜ Au・Ag・Cu なのか

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2023年2月19日 (日)

112番元素の名称をコペルニシウムと決定(2010年2月19日)

 1996年2月9日、ドイツの重イオン研究所は112番目の元素の合成に成功しました。しかしながら、この元素は極めて短時間しか存在できないため本当に存在するのかどうか再確認が難しい状態でした。2000年と2004年にロシアのドゥブナ合同原子核研究所、2007年に理化学研究所の仁科加速器研究センターが合成に成功すると、IUPAC(国際純正及び応用化学連合)は2009年5月にこの元素の存在を正式に認める声明を出していました。

 この元素は暫定的にウンウンビウムと名付けられていましたが、この元素の名前は合成に成功したドイツの重イオン研究所のジクルト・ホフマン教授が地動説を提唱した天文学者コペルニクスにちなんでコペルニシウムと名付けることを提案していました。ホフマン教授によれば「世界観を変えた傑出した科学者の名をたたえる」というのが命名の理由だそうです。

コペルニシウムの原子構造
コペルニシウムの原子構造

 IUPACが112番元素の名前を「コペルニシウム」と正式に命名したのは2010年2月19日です。IUPACはコペルニクスの誕生日2月19日にあわせてコペルシウムという名称を発表したのです。

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2022年12月30日 (金)

【おもしろ映像】水の入った風船の挙動

 ハイスピードカメラを使うと光速で運動する物体などを撮影することができます。特撮の撮影にも利用されています。

 今回紹介する映像は水が入った風船をハイスピードカメラで撮影したものです。

 最初の映像は水の入った風船を床に落としたときのものです。床にぶつかった風船は割れずに大きく変形した後、跳ね返りながら再びもとの形に戻ります。

A water balloon not exploding in high-speed

 次の影像は水の入った風船を針で刺して割れる瞬間をとらえたものです 。風船のゴムが割れて縮みますが、その直後は水は風船の形を保っています。

Busted water balloon in slow motion

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2022年10月20日 (木)

単位メートルが光速度基準になる(1983年10月20日)

 国際単位系(SI)およびMKS単位系で定義されているメートル(記号: m)は長さの計量単位です。メートルは秒(s)、質量(kg)、アンペア(A)、ケルビン(K)、モル(mol)、カンデラ(cd)に並んで他の量とは関係しない独立した7つのSI基本単位の1つでものです。

メートル原器
メートル原器

 長さの普遍的測定単位(universal measure)は1668年にイギリスの建築家で天文学者クリストファー・レンが提案した39.25イギリス・インチ(997 mm)が採用されました。当時はまだメートルという単位はなく、この値はオランダの科学者クリスティアーン・ホイヘンスが求めた2秒を刻む振り子の長さ38ラインランド・インチに相当しています。

 1675年にイタリアのイタリアの科学者ティト・リビオ・ブラッティーニがギリシア語でuniversal measure を意味するμέτρον καθολικόν(メトロン・カトリコン)から普遍的測定単位を「metro cattolico」と記したことがきっかけとなり長さの単位がメートルになりました。

 もともと長さの単位は世界中でバラバラでした。たとえば長さの単位にフィートがあります。フィートは足の大きさに由来する長さですが、古代においては権力者などの足の大きさを元に定められていました。フィート以外にも様々な長さの単位が存在することからわかるように各地で独自の単位が使われてきたのです。それぞれの単位の標準化が進んでも国際的に共通化されたものではありませんでした。

 15世紀半ばからの大航海時代になると正確な地図が必要となりました。それぞれの国が使っていた単位をもとにしていては安全な航海ができなくなり貿易にも支障を来すようになりました。長さの標準化を精力的に進めたのはフランスでした。1971年にフランスの科学アカデミーはいくつかの案の中から地球の子午線を基準にすることを決めました。単位を定義するにあたって当時求められていた子午線長より正確な測量が必要でした。フランスは単独で1798年までに測量を行いました。1799年、測量の結果から北極点から地球の赤道までの子午線長の1千万分の1の値を1メートルと定義しました。そして、白金で1メートルの長さのメートル原器(アルシーヴ原器)を製作しました。

 しかしながら実際の地球の形状から考えると子午線を長さの基準に用いることは適切ではありませんでした。技術の進歩によってより正確に子午線長を求めることができるようになりましたが、子午線が長さの基準として不適切であることには変わらないため1869年にアルシーヴ原器そのものをメートルの基準とすることになりました。1872年にはアルシーヴ原器を元に30本のメートル原器が製作され、1889年にパリで開催された第1回国際度量衡総会において最も正確とされた6番目のメートル原器を国際メートル原器としました。 メートル原器のその正確さには限界があることは当初から指摘されていましたが、製作時の誤差があることが判明しました。

 1873年、イギリスの物理学者ジェームズ・クラーク・マクスウェルは光の波長を長さの基準にするべきという提案をしました。この提案に基づきアメリカの物理学者るアルバート・マイケルソンがメートル原器を光で測定しました。その後も光による測定が試みられ、1960年にメートルはクリプトン-86が真空中で発する橙色の波長の1650763.73倍と定義されました。これによってメートル原器はその役割を終えました。

 クリプトン-86による測定実験は再現性があまりよくないという問題を抱えていました。1950年代半ばに開発されたセシウム原子時計が1967年に1秒の定義に使われるようになると長さの単位を光速と時間で表すことになりました。1983年に開催された第17回国際度量衡総会において同年10月20日に1メートルは「1秒の 299792458 分の1の時間に光が真空中を伝わる長さ」として定義されました。

【関連記事】単位メートルが光速度基準になる(1983年10月20日)

メートル法公布記念日(1921年4月11日)

グリニッジ天文台を経度0度に制定(1884年10月13日)

光速の測定実験は航海図の作成がきっかけだった

レーマーが光の速さは有限と発表(1676/11/22)

日本に2つ時刻があった|日本標準時制定記念日(1886年7月13日)

時の記念日(1920年6月10日)

 

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2022年7月 5日 (火)

アイザック・ニュートンの「プリンキア」出版(1687年7月5日)

 1687年7月5日、アイザック・ニュートンの著書「プリンキア」(自然哲学の数学的諸原理、プリンシピア)全3巻が出版されました。「プリンキア」は現在の物理学に通じる古典力学の基礎をなすニュートン力学を解説したものです。天体の運動や万有引力の法則をはじめとした運動の法則が数学的に論じられています。

 ニュートンが「プリンキア」を出版するきっかけはエドモンド・ハレーが作ったと言われています。エドモンド・ハレーは1705年に軌道計算からハレー彗星の出現を著書「彗星天文学概論」で予言したイギリスの天文学者です。1680年代前半に月の観測や重力の研究を行っていたハレーはケプラーの惑星運動の法則を証明することができずにいました。

 この頃、ニュートンはケンブリッジ大学のルーカス教授を務めていました。そのニュートンにもとに会いに来たのがハレーでした。1684年8月のことです。ハレーは自身が証明できずにいた「惑星が距離の平方に反比例する力で太陽に引き寄せられると仮定した場合、惑星が描く曲線はどのようになるか」という課題をニュートンに尋ねました。ニュートンはハレーの質問にすぐに「楕円」と答えました。ハレーはニュートンが既にケプラーの法則を証明していたことに驚きました。ニュートンは偉業を論文にしていなかったのです。

 ニュートンは1684年11月に自身でまとめた論文「回転している物体の運動について」をハレーに送りました。ハレーはニュートンの力学の研究成果を論文にまとめるように薦めました。ニュートンはハレーのアドバイスを得て500ページにもなる論文をまとめあげました。

ニュートンとハレーとプリンキア
ニュートン(左)とハレー(中)とプリンキア(右)

 この論文の出版について王立協会が資金提供などを行うと約束をしていました。しかし、ちょうど出版間近に王位協会が財政的に厳しい状況になり資金提供ができなくなりました。そこでエドモンド・ハレーが出版費用のやりくりしました。こうしてあまりにも有名な「プリンキア」は自費出版という形で1687年7月5日に初版が出版されたのです。

【関連記事】

ニュートンの思考実験「万有引力の法則」

ニュートンのプリズム分光実験が1666年である根拠

記録に残る最古のハレー彗星の接近の記録(紀元前240年5月25日)

地球がハレー彗星の尾の外側を通過(1910年5月19日)

ハレー彗星が近日点を通過(1986月2月9日)

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2022年3月 6日 (日)

メンデレーエフが周期律表を発表(1869年3月6日)

 19世紀初めにイギリスのドルトンが原子論を発表すると科学者たちは競って新しい元素の発見に取り組むようになりました。そして元素が発見されていくにつれて多くの科学者は元素がその性質によって分類できるのではないかと考えるようになりました。

 1864年、イギリスのジョン・ニューランズは、元素を原子量の順に並べて行くとまるでドレミの音階のように8番ごとに性質が良く似た元素が現れることに気がつきました。ニューランズはこれを「オクターヴ説」として発表しましたが大きな原子量の元素には当てはまらなかったため支持されませんでした。

 1860年代初めにヨーロッパに留学していたロシアのドミトリ・メンデレーエフは留学後にロシア濾紙のペテルブルグ大学で化学の教授となりました。執筆中の化学の教科者で元素をどのように説明するか考えていました。そして当時発見されていた63種類の元素について同じ原子価の元素を原子量の順に並べるとよく似た性質の元素が周期的に現れることを見い出しました。

 メンデレーエフはこれを表にまとめ1869年の3月6日にロシア化学学会で「Соотношение свойств с атомным весом элементов(元素の性質と原子量の関係)」と題した発表をしました。メデレーフの発表はロシア語、ドイツ語、英語の専門誌に掲載されました。

メンデレーエフと1869年に作成された周期表
メンデレーエフと1869年に作成された周期表

 他にもたくさんの科学者が「元素は同じ性質の元素が周期的に現れる」ことを示し周期表を作りましたが、現在ではメンデレーエフが周期表の発明者とされています。それは多くの科学者達が既知の元素に対してのみ周期表を作成したのに対して、メンデレーエフは周期表に元素を割りてるにあたって対応する元素が存在しない場合はそこに未知の元素があると予言したからです。その後、それらの場所に入る元素が発見されていきメンデレーエフの周期表の正しさが実証されたのです。

 現在では、100種類を超える元素が発見されておりメンデレーエフの周期表の修正もありましたが基本的にはメンデレーエフの周期表が受けつがれています。元素の周期表には、元素の性質に関するたくさんの情報が示されており、また後に原子の構造や化学反応の基礎研究や新しい物質の開発などに大いに役立ったのは言うまでもありません。

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2021年12月18日 (土)

磁石に引きつけられる金属は3種類

 磁石につくものと言えば、すぐに金属を思い浮かべると思います。しかしながら、すべての金属が磁石に引き寄せられるわけではありません。たとえば日本で使われている硬貨で試してみるとすべての硬貨が磁石につきません。

 実は磁石につく金属は鉄・コバルト・ニッケルの3種類しかありません。金属が磁石につくかどうかは、原子のもっている電子の状態で決まります。電子は自転しているため、まわりに磁界を作ります。そのため、物質の中に小さな磁石がたくさん存在しているような状態になっています。普通の物質は、この小さな磁石がバラバラの方向を向いているので全体としては相殺されて磁石の性質をもちません。ところが鉄・コバルト・ニッケルに磁石を近づけると物質中の小さな磁石の向きがそろうため磁石に引き付けられるのです。

磁石の仕組み
磁石の仕組み

 鉄・コバルト・ニッケルを含むある種の合金や金属酸化物は磁石に引き寄せられますが、これら3つの金属元素を含まない銅・マンガン・アルミニウムから成る磁石にくっつく合金が1903年に発見され、発見者の名前からホイスラー合金と名付けられました。ホイスラー合金はその構造の中で3つの金属元素が規則的に配列し自由電子のスピンの方向が一方向に揃っているという特徴があります。そのため磁石に引き付けられるのです。現在、ホイスラー合金は新しい材料として研究が進められています。

 ところで、ゴムやプラスチックの磁石を見たことがある人は多いと思います。これらの磁石はゴムやプラスチックにフェライト磁石やネオジム磁石などの磁性粉体を練り込んだものです。このような磁石をボンド磁石と呼びます。

 最近では高分子材料そのものに磁性を持たせたる研究も進んでいます。1991年に世界で初めて磁性をもつp-NPNN(p−ニトロフェニルニトロニルニトロキシド)という、極低温で磁石につく有機化合物が発見されました 。2004年には室温で磁性をもつ高分子材料PANiCNQがイギリスで発明されています 。高分子材料に磁性をもたせるには、分子中に安定な有機ラジカルをつくり、ラジカルの電子のスピンの向きを揃えます。分子間でスピンをそろえることができれば、強い磁石を作ることができます。磁石の仕組みが解明できたのだから、プラスチック磁石も作れるはずだという試みです。

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2021年5月29日 (土)

皆既日食で証明されたアインシュタインの相対性理論(1919年5月29日)

 ボールを投げると放物線状に曲がりながら落下するように、私たちの身の回りにある質量をもつものはすべて地球の重力に引かれて地面に落下します。

 ニュートンは光は粒子であるから、光は投げたボールのように重力に引かれて落ちると考えました。ただ、光の速度があまりにも速いため、地球上では観測できず、光は弾丸のように直進すると考えたのです。

水平投射
水平投射

 アインシュタインはエネルギーと質量は等価であり、相互に交換可能であることを示しました。この理論によれば、エネルギーをもっている光も重力の影響を受けて曲がることになります。

アインシュタイン
アインシュタイン

 アインシュタインは自ら導き出した結果から大きな重力が働いている空間は歪んでいるため、光の道筋も曲がると考えました。つまり、光は歪んだ空間の中を直進するが、そもそも空間が曲がっているのだから、その様子を外から見ると光が曲がって進んでいるように見えると説明したのです。

重力で歪んだ空間を進む光
重力で歪んだ空間を進む光

 アインシュタインの理論は1919年5月29日の皆既日食のときに、太陽の陰に隠れて見えないはずの星が見えたことによって確かめられました。星の見える位置がアインシュタインの予言通りにずれていて、光の曲がり具合が太陽のまわりの空間の曲がり具合と同じであることが分かったのです。すなわち重力によって空間が歪んだ分だけ、光も曲がるということが証明されたのです。

 下記の映像を見ると上図のイメージがつかめると思います。

Lente gravitacional durante un eclipse de Sol

 さて、エネルギーと質量が同等で、光が重力によって曲がるならば、光に質量があると言っても良いのしょうか。私たちが物体の質量を考えるとき、物体は静止しています。この静止した物体の質量を静止質量といいます。光のような素粒子の質量も静止質量で表しますが、光の静止質量はゼロになります。

 ただし、光は静止することなく常に一定の速度で動いていますから、光の静止質量がゼロであるというのは便宜的な意味でしかありませんが、光はそのエネルギーに相当する質量をもつと考えることができます。

 エネルギーと質量が同等であるということについては、重力は質量だけでなくエネルギーを持ったものと相互作用するので、光も重力の影響を受けると考えて良いのです。

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