カテゴリー「物理」の54件の記事

2024年12月18日 (水)

【おもしろ映像】光の三原色の混色の実験

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 光の三原色の混色の実験の映像です。白い紙の上に白いピンポン玉が置かれています。そのピンポン玉に三方向から赤・青・緑の光を当てます。このときピンポン玉は光を受けている面が赤・青・緑の混色で白色になる位置に置きます。するとピンポン玉の後ろ側の三方向に色がついた影ができます。

 シアンの影ができている部分は赤色の光が届いておらず緑色と青色の光が届いています。緑色と青色の光が混ざるとシアンになります。同様にイエローの影ができている部分は青色の光が届いておらず赤色と緑色の光が届いています。赤色と緑色の光が混ざるとイエローになります。マゼンタの影ができている部分は緑色の光が届いておらず赤色と青色の光が届いています。赤色と青色の光が混ざるとマゼンタになります。

【おもしろ映像】光の三原色の混色の実験
【おもしろ映像】光の三原色の混色の実験

 この映像は影を使って光の三原色の混色の実験を演示したものです。映像ではピンポン玉に当てる光を2色にすると影の色はどうなるかなども演示しています。映像を見ているとちょっと不思議な感じがしますが、光の三原色の原理と仕組みを理解していればなるほどなとなります。

Primary Colors of Light - Mixing of Colors

 光の三原色の詳細については下記のページが参考になります。

 【参考】「光の三原色」と「色の三原色」の原理と仕組み|色が見える仕組み(7)

 

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2024年9月30日 (月)

色彩学貴重書図説

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 光や色彩の探求の歴史上重要な資料が多数掲載されています。冒頭は古代壁画などの解説に始まります。また、ニュートンが光についてどのような実験をやったのかなど、ニュートンが描いた図を見ることができます。ゲーテの色彩に関するニュートンへの反論なども図で楽しむことができます。

 色彩学貴重書図説: ニュ-トン・ゲ-テ・シュヴル-ル・マンセルを中心に

北畠 耀 (著)

色彩学貴重書図説: ニュ-トン・ゲ-テ・シュヴル-ル・マンセルを中心に

 哲学者としてのニュートン、自然科学者としてのゲーテ、色彩調和論の先駆者シュヴルール、“色のものさし”を創案したマンセルを中心に取り上げ紹介。色彩の入門者を歴史探訪へ誘う、しかも見て楽しい色の画集のような一冊(「MARC」データベースより)。

 “色彩文化の歴史的記念碑”あるいは“色彩学三代古典書”と呼ばれる貴重書に、科学史を転換させたニュートンの『光学』(1706)、文豪ゲーテが20年をかけた壮大な著作『色彩論』(1818)、印象派画家から「色のバイブル」と呼ばれた化学者シュブルールの『色の同時対比の法則』(1938)があります。豊かな社会が到来した20世紀には、徐々に色彩計画の重要性が増し「色のものさし」が求められました。このときマンセルは『色表記法』(1905)で画期的な提案を行い、彼が創案したカラースケールは、学問分野のみならず全産業に大きく貢献しました。

 本書では上記4人の著書の図説を中心に主に16世紀から今日までの色彩学の発展に貢献した重要な書籍を図説で解説。色彩研究史年表も充実させました。

登録情報

出版社 ‏ : ‎ 日本塗料工業会 (2006/4/1)
発売日 ‏ : ‎ 2006/4/1
言語 ‏ : ‎ 日本語
単行本 ‏ : ‎ 101ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4841904158
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4841904154

目次

01. 古代社会における色彩象徴
02. 古代ギリシアの世界観
03. 中世の色彩文化
04. ルネサンスの造形術と色彩書
05. 17世紀における色彩体系の発想
06. 科学革命時代の群像
07. 哲学者としてのニュートン
08. 自然科学者としてのゲーテ
09. 色彩調和論の先覚者シュヴルール
10. 複製術(版画・印刷・織布・写真)の開発者たち
11. 色を音の類比で構想したフィールド
12. 明治初期の初等教科書『色圖問答』
13. 産業の色彩と教育の色彩
14. “色のものさし”の創案者マンセル
15. 色空間で調和を論じたオストワルト
16. 色名体系の登場と発展
17. メルツ&ポール色名辞典
18. ISCC-NBS色名法
19. 18世紀以降の色彩体系の展開
20. XYZによる表色系の統括
APPENDIX
色と光の文化史年表
色と光の探求者関連年表
巻末折り込み:
太陽光のスペクトルとシュヴルール色相との対応図

 

色彩学貴重書図説: ニュ-トン・ゲ-テ・シュヴル-ル・マンセルを中心に

色彩学貴重書図説: ニュ-トン・ゲ-テ・シュヴル-ル・マンセルを中心に

 

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2024年7月16日 (火)

虹の日(7月16日)

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 7月16日は、なな(7)いろ(16)と七色の語呂合わせと、この時期は雨上がりの空に虹がかかることが多いことから「虹の日」とされています。「虹の日」を制定したのはザイナーの山内康弘さんで、単に虹の現象だけではなく「人と人、人と自然、世代と世代が七色の虹のように結びつく日」としています。

虹(Rainbow)
虹(Rainbow)

 さて日本では虹は赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の七色とされていますが、これはプリズムで太陽を分光したアイザック・ニュートンの論文に基づいて作られた日本の教科書によるものです。

ニュートンと太陽光のプリズム分光実験
ニュートンと太陽光のプリズム分光実験

 もともと英国では虹は赤・黄・緑・青・紫の5色でしたがニュートンは太陽光が綺麗な虹色に分かれたのを見て神聖な自然現象には神聖な数字7が関係すると考えました。そして赤と黄の間に植物のオレンジの色である橙 、 青と紫の間に植物染料インディゴの色である藍を加えて7色としたのです。

  参考 ニュートンはなぜ虹の色を7色と決めたのか-虹ができる仕組み⑤

 もともと日本人も虹は7色とは考えていませんでした。浮世絵などに描かれている虹は白色であったり、色がつけられていても3色程度です。

  参考 虹の色の数と日本の文化-虹ができる仕組み⑥

 世界各国で虹が何色と捉えられているか調べてみるとやはり5色が多いようです。虹は何色かというのはヒトの色覚に加えて言語や文化が関係しています。米国における理科の学習では虹は7色は無理があるとして藍を除いて6色とされているようです。橙色(オレンジ色)は視認できるが青色と紫色と間の藍色は見分けにくということのようです。

  参考 世界各国の虹の色の数-虹ができる仕組み⑦

 さて、さまざまな事情がありながらも日本では虹はニュートンの論文に基づく学習で7色と認識されています。これは偶然ではありますが日本人は古くから藍染で藍色に慣れ親しんでいました。言語的には青も緑もまとめて青と表現していて日本人ですが藍色は特別だったようです。そう考えると日本人はニュートンの論文に基づく教育で天下り的に虹は7色としたのではなく虹の中に藍色を認識しているのかもしれません。

【参考記事】

虹ができる仕組み

虹の神話ー虹ができる仕組み①

虹の色はどこから?ー虹ができる仕組み②

大空にかかるスペクトル-虹ができる仕組み③

虹の形が円弧の理由ー虹ができる仕組み④

ニュートンはなぜ虹の色を7色と決めたのか-虹ができる仕組み⑤

虹の色の数と日本の文化-虹ができる仕組み⑥

世界各国の虹の色の数-虹ができる仕組み⑦

AIフォトエンハンサーで虹の色を強調してみたら7色を確認できた

 

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2024年6月12日 (水)

【おもしろ映像】おもしろい磁石

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 磁気ブレスレットのようですが小さな円筒状の磁石を組み合わせでできています。個々の磁石をちぎったりつないだりして変形させることができます。磁石だからこそできる技です。

【おもしろ映像】おもしろい磁石
【おもしろ映像】おもしろい磁石

 手持無沙汰のときにあると良さそうですが時間の経過も忘れて夢中になってしまうかもしれません。

Magic Mag-net-ic

 

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2023年12月10日 (日)

朝永振一郎博士がノーベル物理学賞を受賞(1965年12月10日)

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 朝永振一郎博士は1906年(明治36年)に哲学者の朝永三十郎の長男として東京市小石川区小日向三軒町で生まれました。1913年に三十郎が京都帝国大学に就任したため家族は京都に移り住みました。幼少の頃から自然科学に興味をもった朝永振一郎はルーペで実験を行ったり電信機や顕微鏡の自作などを行いました。中学生時代から湯川秀樹と同じ学校に通い高校を卒業すると湯川とともに京都帝国大学理学部物理学科に進学しました。

 大学を卒業すると朝永と湯川は大学に留まり無給副手となりました。朝永は独学で物理学を学んでいたところ1931年に仁科芳雄の誘いで理化学研究所の仁科研究室の研究員となりました。仁科のもとではマグネトロンの研究などを行いました。その後、1937年にドイツに留学しヴェルナー・カール・ハイゼンベルクのもと場の量子論や原子核の理論の研究を行いました。1941年に帰国し東京文理科大学(東京教育大学の前身sで現在の筑波大学)教授となりました。

朝永振一郎博士
朝永振一郎博士

 朝永の著名は研究業績は素粒子を記述する場の理論とアインシュタインの相対性理論の関係を解き明かした「超多時間理論」および「超多時間理論」を発展させて場の理論の無限大の困難を解消した「くりこみ理論」です。朝永はこれらの研究成果から光と物質との相互作用を解明しました。「くりこみ理論」を用いて水素原子のスペクトルが理論的な予想からずれる現象(ラムシフト)を説明しました。これらの業績により1965年秋に米国の物理学者リチャード・ファインマン、ジュリアン・シュウィンガーとともにノーベル物理学賞を受賞しました。ところが朝永は祝い酒で酩酊し風呂場で転んで肋骨を骨折し授賞式に出席できませんでした。「ノーベル賞を貰うのは骨が折れる」と言ったという逸話があります。

 朝永振一郎博士は科学教育にも熱心で東京教育大学長、日本学術会議会長という要職を務め多くの弟子を育てると同時に組織をうまくまとめ物理学の発展に大きく貢献しました。1978年に喉頭癌を患い手術で声を失い、翌年に再発して亡くなりました。墓所は東京西部の多磨霊園で遺骨は師の仁科芳雄の墓に葬られました。その墓標には「朝永振一郎 師とともに眠る」と刻まれています。

 

朝永振一郎博士は科学についてこのような言葉を残しています。

 ふしぎだと想うこと これが科学の芽です

 よく観察してたしかめ そして考えること これが科学の茎です

 そうして最後になぞがとける これが科学の花です

 

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2023年7月 9日 (日)

レンズ光学の入門書|よくわかる最新レンズの基本と仕組み[第3版]

図解入門 よくわかる最新レンズの基本と仕組み[第3版]

光学とレンズの初心者向けの図解入門書です。光学とレンズの基本から解説しているので、これからレンズのことを勉強したい人だけでなくレンズの基本を教える人にとっても役に立つと思います。数式も出てきますが読み飛ばしても図と解説から理解できます。

 身近な現象から学ぶレンズと科学と技術

 光を見る・知る・掴む。世界を切り取る技術!豊富なイラストで手に取るようにわかる!

図解入門よくわかる最新レンズの基本と仕組み[第3版]
図解入門よくわかる最新レンズの基本と仕組み[第3版]

内容

レンズは光技術の立役者であるといっても過言ではありません。本書は、カメラ、望遠鏡、顕微鏡、CD/DVDプレーヤー、コピー機など私たちの身の回りで 使われているレンズの入門書です。本書は、物理が苦手の人でも、 レンズについて知りたいという人を対象に、光の性質から、レンズの基本的な仕組み、レンズの種類、収差や性能、眼鏡やカメラなど実際の機器でのレンズの使われ方を図表を使ってやさしく解説しています。第3版では、スマートフォンなど最新機器で利用されている技術や、医療分野での活用例についても紹介します。

単行本: 312ページ
出版社: 秀和システム; 第3版 (2020/3/31)
言語: 日本語
ISBN-10: 4798058106
ISBN-13: 978-4798058108
発売日: 2020/3/31

もくじ

第1章 レンズとは何か

  • 1-01 そもそもレンズとは?
  • 1-02 レンズの働きをするものを探してみよう
  • 1-03 レンズの歴史

コラム 世界最古のレンズ?ニムルドのレンズ

  • 1-04 望遠鏡と顕微鏡の歴史
  • 1-05 カメラの歴史
  • コラム 活動写真の発明

第2章 光の基本的な性質

  • 2-01 光はどのように進むのか① 光の直進性

コラム 鏡の歴史

  • 2-02 光はどのように進むのか② 光の反射と乱反射
  • 2-03 光はどのように進むのか③ 光の屈折と反射

コラム 光通信と光ファイバー

  • 2-04 光はどのように進むのか④ フェルマーの原理とスネルの法則
  • 2-05 光の分散
  • 2-06 光の回折と干渉

コラム シャボン玉でできる虹

  • 2-07 光が偏るとは?
  • 2-08 どうしてものが見えるのか

コラム 物体はどのようにして見えるのかを研究した人びと

  • 2-09 光と色の三原色
  • 2-10「光る」とはどのようなことか
  • 2-11 光の速度はどれぐらいか

コラム 光速の測定が光の波動説の完全勝利をもたらした

  • 2-12 光の正体は何か
  • 2-13 電磁波とは何か
  • 2-14 幾何光学と波動光学

コラム ナノテクノロジーとは

第3章 レンズの基本的な仕組みと働き

  • 3-01 影や像のできかた
  • 3-02 レンズの仕組みと働き

コラム 老眼鏡と近視眼鏡のレンズの種類を確かめる

  • 3-03 レンズの構成
  • 3-04 レンズを通る光の進みかた
  • 3-05 レンズでできる像
  • 3-06 レンズの式と倍率
  • 3-07 レンズの置き方
  • 3-08 2枚のレンズを通る光
  • 3-09 レンズの簡易な作図方法

コラム 平行光で凸レンズの焦点距離を求める

  • 3-10 凹面鏡と凸面鏡

コラム 凹面鏡を利用した太陽炉

第4章 レンズの分類

  • 4-01 レンズの基本的な分類のしかた
  • 4-02 表面で光を屈折するレンズ①
  • 4-03 表面で光を屈折するレンズ②
  • 4-04 表面屈折以外のレンズ

コラム 光を回折させてみよう

  • 4-05 レンズを作る材料

コラム ガラスはなぜ透明か

  • 4-06 光学ガラスの屈折率とアッベ数
  • 4-07 光学ガラスの分類
  • 4-08 ガラス以外の材料
  • 4-09 レンズのつくりかた

コラム 光学ガラスやレンズの製造工程を詳しく知りたい人は

第5章 レンズの収差と性能

  • 5-01 収差とは何か
  • 5-02 球面収差
  • 5-03 コマ収差と非点収差
  • 5-04 像面湾曲と歪曲収差
  • 5-05 軸上色収差と倍率色収差
  • 5-06 Fナンバー
  • 5-07 開口数NA
  • 5-08 絞りと瞳
  • 5-09 絞りの位置とテレセントリック
  • 5-10 焦点深度と被写界深度
  • 5-11 レンズの解像力と伝達関数MTF

コラム 偏心収差 レンズ製造やとりつけで生じる収差

  • 5-12 アッベの不変量とラグランジュの不変量

コラム レンズの設計

第6章 レンズを使った製品と技術

  • 6-01 光学系とは何か
  • 6-02 眼の働き
  • 6-03 眼鏡と眼の屈折異常① 
  • 6-04 眼鏡と眼の屈折異常② 
  • 6-05 コンタクトレンズの仕組み

コラム 昆虫の複眼の仕組み

  • 6-06 白内障と眼内レンズ
  • 6-07 ルーペの仕組み
  • 6-08 顕微鏡の仕組み
  • 6-09 望遠鏡の仕組み

コラム 双眼鏡の仕組み

  • 6-10 カメラの仕組み
  • 6-11 CD-ROMとCD-ROMドライブの仕組み
  • 6-12 レーザープリンタの仕組み
  • 6-13 バーコードリーダーの仕組み
  • 6-14 半導体産業を支えるステッパーレンズ
  • 6-15 自然現象とレンズ

索引

参考文献

サンプルページ

巻頭口絵(抜粋)

Front

第1章 第1節 そもそもレンズとは

Page11

第2章 第3節 光はどのように進むのか③光の屈折と全反射

Page23

第3章 第4節 レンズを通る光の進みかた

Page34

第4章 第1節 レンズの基本的な分類のしかた

Page41

第5章 第2節 球面収差

Page52

第6章 第2節 目の働き

Page62

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2023年3月19日 (日)

半減期が帰着するところは確率

 放射性物質の半減期の話をしていたら原子核の崩壊が結局のところは確率で決まるよと説明したら合点のいかない人がいました。もっとも、ニュースの解説でも単純に放射能物質が半分になる時間(放射能が半分になる時間)ぐらいしか説明されていないことも多いので仕方がないかもしれません。

 放射性の原子核が崩壊して別の種類の原子核に変わるとき、もとの原子数の半分が崩壊する時間を半減期といいます。ただし、ある原子核が崩壊するかどうかは確率で決まります。たとえば、ひとつの原子核がいつ崩壊するかはわかりません。半減期が経過したら必ず崩壊するというわけではありません。すぐに崩壊するかもしれないし、ずっと崩壊しないかもしれません。

_
出典:環境省ホームページ・環境省_半減期と放射能の減衰
https://www.env.go.jp/chemi/rhm/r1kisoshiryo/r1kiso-01-02-07.html

 実は半減期というのは多数の原子核が崩壊して半分になる時間です。ひとつひとつの原子核はいつ崩壊するかはわからなけども、全体を見ればある一定の確率で崩壊するため全体として半減期が決まることになります。従って半減期は例えば1兆個の原子核が半分になる場合には適用できますが、4個が2個とか、2個が1個とかには適用できません。

 ひとつひとつには適用できないが、全体には適用できるという例を、少々乱暴ですが簡単な例で説明してみます。

 日本で2022年に交通事故で死亡した人の数は2,610人です。日本の人口を1億2300万人とすると2022年の1年間で交通事故で亡くなった人の確率は約0.002 %になります。この数字はあくまでも1年間で人口1億2300万人のうち2610人が交通事故で死亡するということしか言えません。特定の個人が交通事故で死亡するかはわからないのです。

【関連記事】半減期が帰着するところは確率

元素の周期表を考えた人たち

メンデレーエフが周期律表を発表(1869年3月6日)

112番元素の名称をコペルニシウムと決定(2010年2月19日)

金・銀・銅の元素記号はなぜ Au・Ag・Cu なのか

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2023年2月19日 (日)

112番元素の名称をコペルニシウムと決定(2010年2月19日)

 1996年2月9日、ドイツの重イオン研究所は112番目の元素の合成に成功しました。しかしながら、この元素は極めて短時間しか存在できないため本当に存在するのかどうか再確認が難しい状態でした。2000年と2004年にロシアのドゥブナ合同原子核研究所、2007年に理化学研究所の仁科加速器研究センターが合成に成功すると、IUPAC(国際純正及び応用化学連合)は2009年5月にこの元素の存在を正式に認める声明を出していました。

 この元素は暫定的にウンウンビウムと名付けられていましたが、この元素の名前は合成に成功したドイツの重イオン研究所のジクルト・ホフマン教授が地動説を提唱した天文学者コペルニクスにちなんでコペルニシウムと名付けることを提案していました。ホフマン教授によれば「世界観を変えた傑出した科学者の名をたたえる」というのが命名の理由だそうです。

コペルニシウムの原子構造
コペルニシウムの原子構造

 IUPACが112番元素の名前を「コペルニシウム」と正式に命名したのは2010年2月19日です。IUPACはコペルニクスの誕生日2月19日にあわせてコペルシウムという名称を発表したのです。

【関連記事】

金・銀・銅の元素記号はなぜ Au・Ag・Cu なのか

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2022年12月30日 (金)

【おもしろ映像】水の入った風船の挙動

 ハイスピードカメラを使うと光速で運動する物体などを撮影することができます。特撮の撮影にも利用されています。

 今回紹介する映像は水が入った風船をハイスピードカメラで撮影したものです。

 最初の映像は水の入った風船を床に落としたときのものです。床にぶつかった風船は割れずに大きく変形した後、跳ね返りながら再びもとの形に戻ります。

A water balloon not exploding in high-speed

 次の影像は水の入った風船を針で刺して割れる瞬間をとらえたものです 。風船のゴムが割れて縮みますが、その直後は水は風船の形を保っています。

Busted water balloon in slow motion

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2022年10月20日 (木)

単位メートルが光速度基準になる(1983年10月20日)

 国際単位系(SI)およびMKS単位系で定義されているメートル(記号: m)は長さの計量単位です。メートルは秒(s)、質量(kg)、アンペア(A)、ケルビン(K)、モル(mol)、カンデラ(cd)に並んで他の量とは関係しない独立した7つのSI基本単位の1つでものです。

メートル原器
メートル原器

 長さの普遍的測定単位(universal measure)は1668年にイギリスの建築家で天文学者クリストファー・レンが提案した39.25イギリス・インチ(997 mm)が採用されました。当時はまだメートルという単位はなく、この値はオランダの科学者クリスティアーン・ホイヘンスが求めた2秒を刻む振り子の長さ38ラインランド・インチに相当しています。

 1675年にイタリアのイタリアの科学者ティト・リビオ・ブラッティーニがギリシア語でuniversal measure を意味するμέτρον καθολικόν(メトロン・カトリコン)から普遍的測定単位を「metro cattolico」と記したことがきっかけとなり長さの単位がメートルになりました。

 もともと長さの単位は世界中でバラバラでした。たとえば長さの単位にフィートがあります。フィートは足の大きさに由来する長さですが、古代においては権力者などの足の大きさを元に定められていました。フィート以外にも様々な長さの単位が存在することからわかるように各地で独自の単位が使われてきたのです。それぞれの単位の標準化が進んでも国際的に共通化されたものではありませんでした。

 15世紀半ばからの大航海時代になると正確な地図が必要となりました。それぞれの国が使っていた単位をもとにしていては安全な航海ができなくなり貿易にも支障を来すようになりました。長さの標準化を精力的に進めたのはフランスでした。1971年にフランスの科学アカデミーはいくつかの案の中から地球の子午線を基準にすることを決めました。単位を定義するにあたって当時求められていた子午線長より正確な測量が必要でした。フランスは単独で1798年までに測量を行いました。1799年、測量の結果から北極点から地球の赤道までの子午線長の1千万分の1の値を1メートルと定義しました。そして、白金で1メートルの長さのメートル原器(アルシーヴ原器)を製作しました。

 しかしながら実際の地球の形状から考えると子午線を長さの基準に用いることは適切ではありませんでした。技術の進歩によってより正確に子午線長を求めることができるようになりましたが、子午線が長さの基準として不適切であることには変わらないため1869年にアルシーヴ原器そのものをメートルの基準とすることになりました。1872年にはアルシーヴ原器を元に30本のメートル原器が製作され、1889年にパリで開催された第1回国際度量衡総会において最も正確とされた6番目のメートル原器を国際メートル原器としました。 メートル原器のその正確さには限界があることは当初から指摘されていましたが、製作時の誤差があることが判明しました。

 1873年、イギリスの物理学者ジェームズ・クラーク・マクスウェルは光の波長を長さの基準にするべきという提案をしました。この提案に基づきアメリカの物理学者るアルバート・マイケルソンがメートル原器を光で測定しました。その後も光による測定が試みられ、1960年にメートルはクリプトン-86が真空中で発する橙色の波長の1650763.73倍と定義されました。これによってメートル原器はその役割を終えました。

 クリプトン-86による測定実験は再現性があまりよくないという問題を抱えていました。1950年代半ばに開発されたセシウム原子時計が1967年に1秒の定義に使われるようになると長さの単位を光速と時間で表すことになりました。1983年に開催された第17回国際度量衡総会において同年10月20日に1メートルは「1秒の 299792458 分の1の時間に光が真空中を伝わる長さ」として定義されました。

【関連記事】単位メートルが光速度基準になる(1983年10月20日)

メートル法公布記念日(1921年4月11日)

グリニッジ天文台を経度0度に制定(1884年10月13日)

光速の測定実験は航海図の作成がきっかけだった

レーマーが光の速さは有限と発表(1676/11/22)

日本に2つ時刻があった|日本標準時制定記念日(1886年7月13日)

時の記念日(1920年6月10日)

 

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