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10月10日は「まぐろの日」です。日本かつお・まぐろ漁業協同組合連合会がマグロの魅力を再認識し、より多くの人にその美味しさを味わってもらうことを目的として1986年に制定しました。
クロマグロ
10月10日を「まぐろの日」としたのは奈良時代の著名な歌人の山部赤人(やまべのあかひと)が聖武天皇の行幸に同行し神亀3年9月15日(新暦で西暦726年10月10日)に明石地方を訪れたときにまぐろ漁が盛んに行われている風景に感銘し次の歌を詠んだことに由来します。
「万葉集」巻六・938段
「やすみししわご大君の神ながら高知ろしめす印南野の大海の原の荒たへの藤井の浦に鮪釣ると海人船騒き塩焼くと人そさはにある浦を良みうべも釣はす浜を良みうべも塩焼くあり通ひ見ますもしるし清き白浜」(八隅知之吾大王乃神随高所知流稲見野能大海乃原笶荒妙藤井乃浦尒鮪釣等海人船散動塩焼等人曽左波尒有浦乎吉美宇倍毛釣者為浜乎吉美諾毛塩焼蟻往来御覧母知師清白浜)

山部赤人像(蜷川式胤所蔵品)
この歌の現代訳は万葉百科 奈良県立万葉文化館によると次の通りとなります。 この歌は自然と漁業の調和を描いた叙景歌で日本人と海との深い結びつきを象徴する歌のひとつです。鮪は「シビ」と読みます。
あまねく国土をお治めになるわが天皇が神らしく高々と支配なさる、印南野の邑美の原の粗末な布の葛――藤井の浦に鮪を釣る漁師の船が入り乱れ、塩を焼く人が多く立ち働いている浦が良いので、なるほど釣をするのだ、浜がよいので、なるほど塩を焼くのだ。通い続けて御覧になるのももっともなことだ、清らかな白砂の浜よ。
マグロは古くから日本人に親しまれてきた魚であり食文化や歴史に深く根ざしています。日本人とマグロの関わりは縄文時代にまで遡ります。縄文遺跡の貝塚からマグロの骨が出土しており古代の日本人がマグロを食べていたことがわかっています。マグロは「古事記」にも記述があり漁業の対象の魚として認識されていました。江戸時代は鮮度の問題から「下魚」とされていましたが醤油漬けんする赤身のヅケマグロが寿司ネタとして人気になりました。今では高級品の中トロや大トロは食べられていませんでした。
マグロが広く食べられるようになったのは冷凍技術が発達した昭和になってからです。脂の乗ったトロが珍重されるようになるとマグロは高級魚となりました。寿司ネタとして大人気となり日本のマグロ消費量は世界トップクラスになりました。

バチマグロ(メバチ)の刺身
一方でクロマグロなどの絶滅が危惧されるようになりました。現在は養殖技術の進化や資源保護の観点から、「獲る漁業」から「育てる漁業」への転換が進んでいます。
「まぐろの日」は単なるグルメ記念日ではなく日本人の自然観・食文化の日でもあります。今宵は山部赤人の歌が描いた風景に思いを馳せながらマグロの一切れを味わいましょう。
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