ココログ「夜明け前」公式サイトで読む
Googleのサービスが始まった創成期、自分は始めてGoogleのサイトにアクセスしたときのことをよく覚えています。ブラウザにはGoogleのロゴとたった1行分のテキスト入力フォームと検索ボタンしかないページを見て、いったいこのページで何ができるのだろうと思ったのです。そこでテキスト入力フォームにキーワードを入力して検索ボタンを押してみたのですが、次に表示されたページを見てすぐに合点がいきました。 Googleは世界中に存在するWebサイトから、ユーザーが入力したキーワードに関する情報を掲載しているページを探し出し、関連性の高い順番にリスト化して表示するのシステムであることがわかったのです。複数のキーワードで検索すると、より詳細な情報検索を行えました。

1998年当時のGoogleのトップページ
Googleが登場する前までは、インターネットで情報を調べるにはYahoo!のイエローページと呼ばれるカテゴリ別に分類されたページにアクセスして、カテゴリやサイト名から探したい情報があるかどうかを想像しながら必要な情報を探すしかありませんでした。
それがキーワードを入力するだけで探したい情報が表示されるようになったのですから、Googleは画期的な検索システムだったのです。 インターネット上の膨大なWebサイトから、ユーザーが入力したキーワードに関連する情報を分け隔て無く探し出し、秀逸な内容で関連性の高い順に表示する検索エンジンの到来でした。Googleの検索システムはあっと言う間にシェアを拡大し、インターネットで情報を探す必須のツールになったのです。
Googleは検索順位を決定するアルゴリズムの改良を続けました。そして、そのページがどれくらい人気があり重要なのかを、被リンクの数と内容の質の高さにに基づいて計算・スコア化するページランキングを生み出しました。他社が追随できない仕組みで、Googleは検索エンジンとして不動の地位を確立したのです。ブラウザを起動したときに表示されるホーム画面をYahoo!などのポータルサイトからGoogleに切り替えた人もたくさんいました。
2026年時点でもGoogleは圧倒的なシェアを誇っています。 そしてGoogleの検索アルゴリズムは大きく変化しています。とりわけ生成AIの導入により従来の検索結果をリスト表示する形式から、生成AIが直接回答を提示する生成AI型検索が主流になりつつあります。これはもはや検索エンジンとは言えず、むしろ回答エンジンと呼んだ方が的を射ているでしょう。そして従来型の検索表示においても検索順位を決定づけるアルゴリズムは大きく変化しています。
ところが、このGoogleの大きな変化は必ずしもユーザーから歓迎されているわけではないようです。とりわけ情報を発信しているパブリッシャーの多くはGoogleの変化に不満を持ち始めていると言われています。
回答エンジンとしての生成AI型検索は生成AIが世界中のサイトからから得た情報をもとに回答を行います。回答が表示された時点で完結する仕組みになっているため、ユーザーは情報を提供しているサイトにはアクセスしません。これをゼロクリック検索と言います。生成AIは間違いなくサイトから情報を得て回答を作成しています。にも関らずユーザーにはサイトへアクセスすることを促すこともありません。これはパブリッシャーのやる気を削ぐことにもなりコンテンツ文化を衰退させることになります。コンテンツ文化が衰退すれば生成AIが参考にするサイトもレベルの低いものが多くなるため回答エンジンの回答の質も大きく低下します。これはパブリッシャーだけでなく、ユーザーにも、そしてGoogleにとっても良いことではありません。
もうひとつのGoogleの大きな変化は検索エンジンの評価基準と検索順位の決定のプロセスです。生成AIが導入されてから検索エンジンは多様な観点からより詳細で複雑な評価を行うことができるようになりました。
現在のGoogle検索におけるページの評価基準は「ユーザーにとってどれだけ有益で信頼できるか」を軸に多様な観点から評価が行われいます。 特に重視されている主要な評価基準は以下の通りです。
1. コンテンツの品質:E-E-A-T
Experience(経験): 作成者がそのトピックについて実体験や個人的な経験を持っているか。
Expertise(専門性): 内容が専門知識に基づいているか。
Authoritativeness(権威性): その分野の知識人や公式サイトとして認知されているか。
Trust(信頼): 最も重要な要素であり、情報の正確さやサイトの安全性、誠実さが問われます。
2. ヘルプフルコンテンツ(有用性)
「検索エンジンの順位を上げるため」ではなく、「人間の読者に役立つため」に作成されているか。独自の調査や分析など、他にはない独自性のある情報が含まれているか。ユーザーの検索意図(知りたいこと)に対して、十分な回答を提供しているか。
3. ページエクスペリエンス(ユーザー体験)
サイトの使い勝手が最適化されているか。
Core Web Vitals (コア ウェブ バイタル): 読み込み速度(LCP)、視覚的な安定性(CLS)、インタラクティブ性(INP)の3つの指標で、ページの快適さを測定します。
モバイルフレンドリー: スマートフォンで快適に閲覧・操作できること。
セキュリティ (HTTPS): サイトが暗号化され、安全に通信できること。
4. リンクと信頼のシグナル
冒頭で紹介した「ページランク」の概念は今も生きています。
高品質な被リンク: 信頼性の高い外部サイトからリンクされていることは、そのページが「支持されている」証拠として高く評価されます。
ドメインの強さ: 長年の運用実績やブランド力があるドメインは、新しいサイトよりも信頼されやすい傾向にあります。
5. AI生成コンテンツへの姿勢
AIを使って記事を作成すること自体は禁止されていませんが、「内容の薄いAI記事」は評価を下げられる可能性があります。AIを補助として使いつつ、人間ならではの視点や最新情報を加えることが求められています
Google検索エンジンは以上のような評価基準でページを評価して検索順位を決めて表示していますが、これらの評価基準が公平性やバランスに欠けているという指摘があります。
とりわけ大きな問題と指摘されているのは、権威のあるドメインの優遇です。現在は同じキーワードで検索しても、個人のブログや弱小サイトのページは評価されず、企業や大学などのサイトのページが優先されて検索結果の上位に表示される傾向があります。生成AIが回答で推奨するサイトも同じです。
表示されてくる権威のあるドメインのページの内容が秀逸であれば良いのですが、集客目的で詳しいことが記載されていない場合も少なくありません。ドメインの権威が高いだけで、内容が希薄だったり、誤りがあったりするページも表示されます。その陰で秀逸な内容のページがドメインに権威性がないという理由で検索結果の圏外に押しやられているです。権威のあるドメインのページを内容をほとんど評価もせずに高く評価することはユーザーにとって良いことであるはずもありません。検索エンジンは権威のあるページを表示するのが無難であると判断し、表示結果に対する責任を回避しているという指摘もあります。
結果としてGoogle創成期の世界中から秀逸なページを探してくるという理念が置き去りになっているように思えます。個人のページや弱小のサイトでも秀逸な情報を提供しているサイトはたくさんあります。
Googleが登場したとき、それはまさに「知の革命」でした。それまでは図書館の奥深くに眠っていた専門知識や一部の権威だけが独占していた情報が、たった一行の検索窓から誰の手にも届くようになったのです。あの時の解放感とワクワク感こそが、インターネットの黄金時代で検索エンジンの醍醐味だったと思います。サイトの権威性には拘らず秀逸なページを照会するという情報の民主化が到来したのです。
しかし、現在のGoogleが向かっている方向は少し様相が異なるようです。生成AIによる回答エンジンは、ユーザーが自分で複数のサイトを巡り、情報を比較・検討するプロセスを肩代わりします。これは一見便利そうですが、答えを一つに絞ってしまい、ユーザーか多様な視点に触れる機会を奪っていることにもなります。生成AIの回答エンジンはユーザーに対して思考のパートナーになるべきでしょう。
権威のあるサイトを優遇する権威主義は情報の民主化に逆行します。これは過去にGoogleが破壊したイエローページなどのリンク集が陥っていたドメインによる階級社会の再来とも言えます。
そして情報の民主化という考えのもと個人が一生懸命作り上げたコンテンツが、AIの回答を生成するための素材として吸い上げられています。発信者の努力が報われない世界ではコンテンツ文化は衰退し秀逸な情報が枯渇してしまいます。これを解決するには生成AIが学習したページに対して論文並みの参考資料を提示することが必須でしょう。Wikipediaはそうなっています。また参考にしたページに報酬を支払うなどの仕組みも有効でしょう。Googleの場合、広告表示サービスのAdsenseに登録してるベージを対象に報酬を支払うなどの試験運用は可能と思います。もちろんGoogleだけが報酬を支払うのはアンフェアですから、コンテンツ文化を守るためには世界共通のルールが必要となるでしょう。
面白いのはGoogleの生成AI Gemini は上記の問題を全て把握しており、コンテンツ文化に及ぼす様々な問題点を指摘できるということです。Googleの設計者も現在の問題点を把握しているはずですから、情報に民主化の新しい道を模索することでしょう。これを乗り越えるとGoogleは創業の精神に基づいた真の検索エンジン・回答エンジンになることでしょう。そのためには結果にたどりつくまでのプロセスを重視したユーザーとの会話が必要です。マインドマップのような思考のプロセスを共有すると良いと思います。思考の枝葉がどう伸び、どの情報がどの結論に結びついたのかを可視化しながら対話が進めば、検索は単なる作業から知的体験となります。
現在、日本国内で主要な検索エンジンは以下の通りです。
Google: 世界・国内のシェアは圧倒的1位。
Bing: Microsoft社が運営。AI「Copilot」を搭載し、近年シェアを伸ばしている。
Yahoo!: 日本国内では特に知名度が高く、Googleの技術を採用している。
過去のGoogleのように権威にとらわれず世界中のサイトから秀逸なページを探して表示する検索エンジンとして、現在自分が推奨するのはBrave Searchです。Google検索で期待するページが見つからない場合にはBrave Searchで検索してみると良いでしょう。生成AIによる回答も表示されますが、まったく権威主義的ではありません。
Googleは企業として巨大化したため、様々な課題に直面し、いろいろ
Googleは企業として巨大化したため、様々な課題に直面し、いろいろなリスクを抱えていると思いますが、自分がかつて初めてググったときの感動を取り戻して欲しいです。
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