あの日は仕事を5時に終えてすぐに街に出かけたのです。
いつものように駅前の地下道を通り抜けて反対側の道に出る。
そしていつもの交差点。おっ青信号だ。
間に合うかなと思い小走り。
しかし点滅が始まり赤信号に。
渡れるタイミングだったはずなのに何か呼び止められたような感じ。
横断報道の最前列で信号を待っていたら突然目に飛び込んできたもの。
よく見ると靴底だ。いったいなぜこんなところに靴底が。

怪奇・謎の靴底「なぜこんなところに靴底が」
周りを見渡すと他の人たちは靴底にまったく気がついていないようだ。
確かにここにあるよね。靴底が。
なぜこんなところに靴底があるのだろう。
それも左足だけ。
しっかりと横断歩道を向いている。
交差点の渡る気満々である。
誰かがここで信号を待っていた。
青信号になって交差点を渡るときに左足の靴底が外れた。
気が付かずにそのまま交差点を渡っていった。
いやいや靴底が外れたら気が付くだろう。
ここに置き去りにしていくのも考えにくい。
靴底が外れたのが恥ずかしいから知らぬふりして立ち去ったのか。
あるいは外れた靴底をわざわざここに置いていったのだろうか。
でも何のために?
ちょっとしたいたずらのつもりか。
謎は深まるばかりだ。
謎の靴底。
周りの人は見向きもしない。
本当にここにあるのか。
まさかおかしな時空が出現しているわけでもあるまい。
自分にしか見えないのかもしれない。
思い切って自分の左足を靴底に乗せてみた。
「あっ!」
:
:
何も起きなかった。
すぐに信号が青に変わる。
交差点を渡り始める。
後ろを振り向くと大勢の人が信号を渡っている。
誰も靴底に興味を示さない。
視界に入っていないようだ。
謎の靴底。
どこからやって来てここに置かれたのだろうか。
誰も知らない、知られちゃいけない。
謎は深まるばかりである。
さすがの迷探偵も迷案が浮かばない。
バス停の靴事件を思い出すのであった。
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