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映画「アンドリューNDR114」は1999年に公開された米国のSF映画です。クリス・コロンバス監督作品、主演はアンドリューを演じたロビン・ウィリアムズです。この映画の原題は原作アイザック・アシモフの「Bicentennial Man(二百年男)」のままですが、日本語版は主人公のアンドロイドの名前「アンドリューNDR114」を題目として公開されました。
原作のアイザック・アシモフは多数のSF小説を著作していますが最初のロボット小説は1950年に発表された短編集「われはロボット(I, Robot)」です。これ以前のロボット小説と言えば人間がロボットを製作しそのロボットが人間を襲うという内容が定番でした。アシモフはロボットを創造する人間の憧れと、これに反して創造主たる人間がロボットに滅ぼされるという懸念をメアリー・シェリー作の小説「フランケンシュタイン」に因みフランケンシュタイン・コンプレックスと名付けました。そして、アシモフは「われはロボット」で人間と共生共存しフランケンシュタイン・コンプレックスに対する規範で行動するロボット像を示しました。この小説に目を通したSF作家で編集担当のジョン・ウッド・キャンベル・ジュニアはアシモフが描くロボットの行動に共通点を見つけ指摘しました。そしてアシモフとキャンベルはフランケンシュタイン・コンプレックスに対する安全機能として「ロボット三原則」を見い出しました。
ロボット三原則は「人間に危害を及ぼさない」「人間への命令への服従」「、ロボット自身の自己防衛」の3つの原則から成り、次のように定義されます。
【ロボット三原則】
・第一条
ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
・第二条
ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
・第三条
ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。
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アシモフの小説において「ロボット三原則」はロボットの行動原理です。この原理に従って行動するロボットは上記の3条の競合によりその行動にしばしば懸念を生じさせます。ロボットが人間から見て理不尽な行動をしたとしても、その行動の理由は上記の3条に従ったものです。アシモフはその非合理的な行動をロボット自身とロボット三原則にフォーカスして解き明かしていきます。そして、その後の作品ではロボットを利用したい人間の利害が絡むようになり、人間とは何か、命とは何かまで踏み込んでいくのです。
映画「アンドリューNDR114」の原作となった 「二百年男(Bicentennial Man)」はアシモフが1976年に発表した小説です。最初の「われはロボット(I, Robot)」の発表から26年後の作品です。
とある家庭で父親が買ってきた家事ロボットNDR114。娘のアマンダにアンドリューと名付けられたNDR114は家族と一緒に生活を始めます。アンドリューの身体は鋼鉄に包まれていましたがその人工知能は人間らしい創造力を持っていました。アンドリューはその創造力で自立した生活ができるようになります。永遠に作動するアンドリューは自身に影響を与え寿命を迎えた人間たちと次々と別れる人生を繰り返します。アンドリューがどのように考え、どのように行動し、どのようにに過ごしたのか。アシモフはアンドリューの葛藤と悲哀を通じで命とは何か、生きるとはどういうことかを描きます。
その後のアンドリューの物語を下記に記しますが映画をご覧になることをおすすめします。自分は物語に加えてロビン・ウイリアムズの名演技に感銘しました。
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月日は流れ科学と技術は発展、アンドリューは自身の発明した生体に適合する人工臓器や人工皮膚により、どんどん人間らしい姿になっていました。やがて、その人工臓器は人間の治療にも使われるようになり、アンドリューは人間と自身の区別に疑問を持つようになり、なぜ自分は人間ではないのかと考えるようになりました。
アンドリューはアマンダの孫娘ポーシャと出会い2人は愛し合うようになっていました。アンドリューは人間として生きていくことを望みますが法廷はそれを認めません。
アンドリューと人間の違いは人工知能か脳かです。これは大きな違いですが、それよりも大きな違いは人間は寿命を迎えて死ぬがアンドリューは死なないということでした。
人類は長寿の薬を手に入れます。ポーシャはその薬を飲み2人は平和な日々を送ります。しかし、やがてポーシャは長生きに疲れ、薬を止めて死を選ぶことを決意します。アンドリューも人間になるために死を選びます。人間の血液を輸血し、血液の凝固で自身の機能を停止することにしました。これによってアンドリューの人工皮膚や人工臓器は老化現象を起こし、アンドリューは見た目もすっかり老人になったのです。
老人となったアンドリューは再び法廷に立ち自分は人間であると主張します。法廷でどこが人間なのかと問われたアンドリューは自分の胸を指差します。
判決の日、アンドリューとポーシャはテレビを見ていました。死を覚悟して法廷に臨んだアンドリューに対して、ついに法廷はアンドリューは200年間という歴史上最も長生きをした人間であることを認めまたのです。それと同時にアンドリューの機能は停止し本当の永遠の眠りについたのです。
ポーシャは自身を看護していた人間の姿をしたロボットのガラテアに生命維持装置を停めるように言います。ガラテアは生命維持装置のスイッチを切り「お役に立てて光栄です」とアンドリューの口癖を言います。アンドリューの手を取りながらポーシャも永遠の眠りについたのです。
【関連記事】映画「アンドリューNDR114」日本公開(2000年5月13日)
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