生命保険の日(明治15年 1882年1月31日)
明治15年(1882年)1月31日、日本で初めて生命保険が支払われたというニュースが新聞で報じられました。これによって生命保険が広く知られるようになったことから一般社団法人MDRT日本会が顧客のために初心を忘れないようにとの思いを込めて1月31日を「生命保険の日」と制定しました。生命保険を受け取ったのは1月20日に心臓病で急死した警察官の遺族でした。保険料は30円に対して保険金1000円が支払われました。
さて日本で生命保険を紹介したのは福沢諭吉とされています。安政7年(1860年)に万延元年遣米使節の随員として渡米した諭吉は慶応3年(1867年)にアメリカ合衆国に注文した軍艦を受け取りに行く幕府軍艦受取委員の随員として再び渡米しました。
この渡米で諭吉はアメリカ合衆国の文化を見聞しましたが上司の命に従わなかったという理由で帰国後に謹慎を命じられました。この謹慎中に諭吉は欧米の文化を紹介する著書「西洋旅案内」を執筆しました。この著書の中で諭吉は欧米では損害保険や生命保険などの保険制度が導入されていることを紹介しています。
諭吉の著書で保険制度を知った岩倉使節団随員の若山儀一らは明治13年(1880年)に日本初の生命保険会社「日東保生会社」を設立しました。しかし当時の日本では人の死によって金儲けをする商売という倫理的問題の指摘もあり加入者も少なく倒産してしました。明治14年(1881年)、諭吉の門下の阿部泰蔵が有限明治生命保険会を設立しました。これが日本最古の現存する明治生命保険です。明治21年(1888年)には帝国生命(現朝日生命)、明治22年(1889年)には日本生命が設立されました。
第二次世界大戦前までの保険は被保険者が死亡したときに遺族に補償金を支払う生命保険よりも老後の生活のための貯蓄性の高い養老保険が主流でした。これは家庭の大黒柱である家長が亡くなっても親戚縁者で遺族を支え合うのが一般的だったからです。第二次世界大戦後は核家族化が進んだため遺族の生活を補償する終身保険などが主流となりました。
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