陽炎型駆逐艦「雪風」就役(1940年1月20日)
第二次世界大戦当時の日本海軍の主力駆逐艦は合計38隻の陽炎型駆逐艦および夕雲型駆逐艦の甲型駆逐艦が運用されていました。駆逐艦「雪風」は陽炎型駆逐艦の8番艦として1938年8月2日に佐世保工廠で起工されました。1939年1月28日に「雪風」と命名された同艦の建造は順調には進み、同年3月24日に1万人の観衆の前で進水式が執り行われ1940年1月20日に竣工しました。竣工後は呉鎮守府の第16駆逐隊に所属しました。同年10月11日、16駆逐隊は紀元二千六百年記念行事として行われた紀元二千六百年特別観艦式に参加しています。
「雪風」は昭和16年(1941年)12月12日、太平洋戦争のフィリピンのレガスピに対する上陸支援で初陣を向かいました。以降、スラバヤ沖海戦、西部ニューギニア戡定作戦、ミッドウェー海戦、坊ノ岬沖など緒戦を戦い抜きました。同型の駆逐艦が撃沈されていくなかで「雪風」は激戦をくぐり抜けて終戦まで生き残りました。このことから「雪風」は「奇跡の駆逐艦」と称賛されました。
「雪風」が終戦まで生き残ったのは駆逐艦としての性能や艦長をはじめとする乗組員の技量によるものですが、魚雷が直撃しても不発で大きな被害を受けなかったなど幸運な出来事も重なりました。それらを含めて「奇跡の駆逐艦」の神秘的な伝説になりました。終戦後は復員輸送艦として活躍しました。「雪風」で復員した兵隊の中には「ゲゲゲの鬼太郎」の原作者の漫画家の水木しげるさんもいました。
1946年12月30日、「雪風」は特別保管艦となり戦時賠償艦として連合国へ引き渡される事になりました。1947年5月26日、「雪風」の視察点検が行われましたが、各国の連合国の軍人たちは雪風について「敗戦国の軍艦でもかくも見事に整備された艦を見た事が無い。まさに驚異である」と高く評価しています。
1947年 7月1日、雪風は中華民国(台湾)向けの賠償艦艇として佐世保港を出港しました。1948年5月1日付で「雪風」は「丹陽」(タンヤンDD-12)と改名され中華民国海軍の駆逐艦となりました。「丹陽」は1970年まで活躍し同年に老朽化のため除籍となりその後解体されました。
「雪風」は解体されてしまいましたがその舵輪と錨は江田島の旧海軍兵学校の教育参考館に展示されています。またスクリューは台湾左営の海軍軍官学校に展示されています。
海上自衛隊が有する戦後国産初のはるかぜ型護衛艦2番艦「ゆきかぜ」は「雪風」の名前を引き継いだ艦船です。
「雪風」は様々な作品に登場しますが最近では 2023年公開の映画「ゴジラ-1.0」に登場しました。登場人物の元艦長の堀田辰雄は架空人物です。また自分が印象に残っているのは1974年のSFアニメ「宇宙戦艦ヤマト」です。主人公の古代進の兄の古代守が艦長を務めた突撃宇宙駆逐艦の船名が「ゆきかぜ」でした。「雪風」は戦艦大和の沖縄特攻(坊ノ岬沖)に随行しています。
青島文化教材社 1/700 ウォーターライン No.444 日本海軍 駆逐艦 雪風
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