トラフグのおはなし
トラフグの生態
トラフグ(虎河豚)はフグ目フグ科の魚類です。トラフグの名は虎のような模様があることにに由来します。
トラフグは日本では北海道から九州にかけて沿岸や湾内に広く分布しています。水深200メートルほどまでの海域で群れをなして生息しています。産卵期は3~7月で産卵は湾口など浅瀬で行われます。稚魚は産卵場所の付近で育ち10センチメートルほどまでに成長すると沖合に移動します。成魚は体長70センチメートル、体重11キログラムぐらいになります。体型や丸味を帯びた円筒形です。腹鰭はなく胸鰭の上後方に白い縁取りのある黒い大きな斑紋があります。背鰭は黒く臀鰭は白い。くちばし状になった4枚の板状の歯があります。トラフグはこの歯を使って貝など硬いものをかみ砕いて食べています。
フグ食とフグ毒
トラフグは食用のフグの中では最高級です。日本のフグ食の歴史は古く縄文時代の遺跡からもフグの骨が出土しています。しかし、フグには毒があり食中毒も多数発生していたようです。豊臣秀吉は朝鮮出兵の文禄・慶長の役において多数の兵士がフグ食による中毒死したため「河豚食禁止の令」を出したと伝えられていますがそれを裏付ける資料は見つかっていないようです。江戸時代においては各藩でフグ食が禁止されています。トラフグで有名な下関のある長州藩ではフグが良く食べられていたようですが藩の取締りは厳しかったようです。明治時代になり下関でフグを食べてその美味しさに感銘した伊藤博文が明治21年(1888年)に山口県におけるフグ食を解禁しました。これをきっかけに全国にフグ食が広まりました。
トラフグは他のフグと同様に神経毒テトロドトキシンを含みます。テトロドキシンンは熱に強く加熱しても分解されません。ヒトの経口摂取による致死量は1~2ミリぐらいであり青酸カリの850倍程度の毒性を有します。このことからフグを調理する場合には毒を有する部位を完全に除去する必要があり業務として調理する場合には特別な免許を取得する必要があります。
トラフグの毒は主に肝臓や卵巣などの内臓に含まれています。フグの種類によって毒を有する部位は異なります。たとえばトラフグは皮を食べることができますがマフグは皮に毒が含まれているため食べることはできません。フグの毒化の仕組みはよくわかっていませんが、生まれたての幼魚や養殖で育てられたトラフグには毒がありません。トラフグが食べている餌のハナムシロガイが毒化の原因と考えられていますが完全に無毒で育てられるかどうかは研究途上のようです。
トラフグの「歯切り」
トラフグの専門店や料亭などに行くと生け簀や水槽で泳いでいるトラフグをよく見かけます。
トラフグは歯が鋭く咬む力も強いため生きているトラフグに指を噛まれないように注意する必要があります。この歯で噛まれたらひとたまりもありません。横から見るとこんな感じです。
多くの場合はトラフグは捕獲されると「歯切り」が行われます。養殖の場合でも生け簀で他のトラフグを傷つけるのを防ぐため「歯切り」を行っています。現場で「歯切り」されていないものは流通過程で「歯切り」が行われることもあります。
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