「妖怪人間ベム」放送開始(1968年10月7日)
それはいつ生まれたのか誰も知らない。
暗い音の無い世界で、ひとつの細胞が分かれて増えていき、みっつの生き物が生まれた。
彼らはもちろん人間ではない。また、動物でもない。
だが、その醜い体の中には正義の血が隠されているのだ。
その生き物、それは人間になれなかった妖怪人間である。
(テレビアニメ「妖怪人間」は昭和43年(1968年)10月7日に放送が開始されました。ウルトラセブンの最終回が同年9月8日で翌週から始まったのが「怪奇大作戦」でした。怪獣人気に陰りが見え始めかわって妖怪ブームが始まり「ゲゲゲの鬼太郎」「怪物くん」「バンパイヤ」「河童の三平 妖怪大作戦」など妖怪をテーマにしたドラマやアニメが放送されるようになりました。
そのようななかで「妖怪人間ベム」は群を抜いて不気味なホラーアニメでした。画質も西洋的な雰囲気でどこか薄気味悪く、内容も単なる正義の八日人間による妖怪退治ではなく人間の憎悪や復讐、人間のために戦っているのに人間に理解されない妖怪人間の悲哀を描いたものでした。このような仕上がりになっているのは脚本に加えて作画作業が日本ではなく韓国で行われ海外で放送を意識して無国籍風に製作されたためです。他に無国籍風のアニメで有名な「黄金バット」も同じスタッフが製作したそうです。
テレビアニメ「妖怪人間」は不気味で怖いのですが怖いもの見たさで毎週欠かさず見てしまうのです。放送が終わるとトイレに行くのが怖くなるほどでしたが、ベロの明るさとベムとベラの優しさが怖さをいくぶん打ち消してくれました。
初回放送を見たときの感想は怖いでしかありませんでしたが、年を重ねて再放送を見るうちに実に深い内容であることがわかりお気に入りのアニメになりました。当時はビデオなど買えませんでしたから再放送が楽しみでした。
もともとは全52話の予定でしたがフジテレビの番組編成のため26話に短縮となりました。あまりにも怖いキャラクターのためキャラクタービジネスがうまくいかなかったという面もあったようです。1980年代になるとホラー映画が流行するようになり、エイリアンやプレデターなど不気味なキャラクターが大人気となりますが、当時の感覚では妖怪人間は怖すぎてフィギュアなどの人気も出なかったのでしょう。
毎週月曜日19時30分から20時まで一話完結の不気味な物語も昭和44年(1969年)3月31日に最終回を迎えました。最終回「亡者の洞穴」ではある事件がきっかけで肉体と魂を分離させ、魂を生きている人間の肉体に移すと人間になれることに気が付きます。魂と肉体を分離することができる妖怪人間にとって人間になることは簡単なことだったのです。しかし、それを行うと魂を移された人間が死んでしまうので妖怪人間たちは踏襲します。そしてベムは自分たちは人間が太刀打ちできない敵を妖怪の力で倒してきたと話をします。それを聞いたベラは自分たちが人間になってしまったら誰もその敵を見分けることがいなくなると答えます。こうして妖怪人間たちは人間になることをやめるのです。事件が妖怪人間の仕業と考えた人々は警察に通報します。警察は妖怪人間のいる屋敷に火をつけます。周りを囲まれた妖怪人間は屋敷から出ることはできず覚悟を決めます。火が消えた屋敷からはベムの帽子、ベラのスカーフ、ベロの靴が残されていました。そして妖怪人間は死んでいない、もしあなたの周りで人知れず事件が解決されていたら妖怪人間の活躍によるものだというナレーションが流れて終わります。
最終回がこのようになったのはスタッフが続編を製作したかったからだそうです。最終回の後に第27話を作りテレビ局に持ち込んだそうですが再開は実現しませんでした。しかし、「妖怪人間ベム」が名作であり2006年に新作アニメが製作され2019年には映画化もされました。
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