広胴貨物輸送機「プレグナント グッピー」初飛行(1962年9月19日)
1960年代、NASAは西海岸のメーカーに発注したロケットの部品を船舶で南海岸の組み立て工場や東海岸のケープカナベラル宇宙軍施設まで運んでいましたが、海運は時間がかかり費用も高価で効率的ではありませんでした。
同じ頃、米国の航空会社は時代遅れになったB-29スーパーフォートレスの派生型C-97ストラトフレイター輸送機をもとに開発された大型の長距離旅客機B-377ストラトクルーザーをジェット旅客機に更新していました。B-377が転売されている状況を知った元アメリカ空軍パイロットのジョン・マイケル・コンロイはこの機体を改造すればロケットの部品を輸送することができると考えNASAに広胴貨物輸送機の提案をしました。NASAの担当者は輸送機のデザインを見て妊娠したグッピーに似ているとコメントをしたと伝えれれています。そのことから輸送機の名前はプレグナント グッピーと名付けられることになりました。しかし、NASAはこの輸送機にあまり興味を示さなかったことから、コンロイは自身で借金をしてエアロ・スペースラインズ・インターナショナルを設立し輸送機の製造を開始しました。
開発された機体は1962年9月19日にコンロイの操縦によって飛行試験に臨みました。滑走路を離陸する特大で風変りの形状をした飛行機を見た管制官は警察と消防に警戒の連絡をしましたが、大きな問題が発生することもなく離陸し見事に初飛行に成功しました。
当初、NASAはプレグナントグッピーに興味を示していませんでしたが、1963年からNASAの貨物輸送を受け持つようになりました。しかし、プレグナントグッピーは貨物室の容積は大きかったのですが積載重量は十分ではありませんでした。NASAはプレグナントグッピーではアポロ計画には対応できないと考え搭載重量の大きい輸送機を要求しました。そこで機体を延長しエンジンをレシプロからターボプロップにしたスーパーグッピーが開発されました。プレグナントグッピーはしばらくの間はスーパーグッピーとともにアポロ計画の輸送機として使用されましたがアポロ計画が終了すると売却された後に1979年に解体されました。
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