石油はあとどれぐらいもつの?|可採年数が変化しない理由(2022年データ)
よく石油はあと50年もつなどと言われます。この数字は以前からほとんど同じ数値で変わりません。いったいどうして同じ年数が続くのだろうと思う人も多いでしょう。この年数を可採年数といいますが下記のように定義されています。
石油の確認埋蔵量(R)
可採年数=───────────────
石油の年間生産量(P)
可採年数はある年の確認埋蔵量(R)を年間生産量(P)で割った値です。確認埋蔵量を供給とし年間の石油生産量を需要と考え需要と供給のバランスから石油があとどれぐらいもつかを示したものが可採年数です。
人類が利用できる石油の全量(究極可採埋蔵量)は2兆〜3兆バレルと言われていますが、確認埋蔵量(R)は埋蔵が確認されている石油量のうち現在の人類の技術力と採算性から採掘できる石油の量を示したものです。新しい油田が発見されたり石油採掘技術の向上があったりすると増加します。逆に油田の閉鎖があったりすると減少します。石油の消費量が増加傾向にありますが可採年数に変化がないのは確認埋蔵量が増加しているからです。 需要に対し供給が十分になると原油価格が下がるためコストのかかる採掘はできなくなります。また原油産出国による政策的な価格変動もあります。
2022年の石油の確認埋蔵量(R)は1兆7570億バレル、年間生産量(P)は337億バレルで可採年数は約52年です。
(参考:石油連盟「今日の石油産業2023」、Oil & Gas Journal)
可採年数は様々な要因に変化しますが、しばらくの間は大きな変化はしないだろうと考えられています。しかしながら石油枯渇問題は避けられません。石油の多くは燃料として消費されますが、石油は化学工業製品の原料となることから単純に燃焼してしまうのはもったいないことです。石油に依存した社会から脱却する必要がありますが石油による火力発電を直ちにやめるわけにはいかない状況です。 余裕をもって使えているうちに石油に代わる燃料や化学製品の原料の開発や利用を推進しておく必要がありますが転換を進めるにはこれありきではなくバランス感覚が重要と思います。
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