第21話「箱館総攻撃」|明日なき戦いの果てに
箱館政権の敗戦が濃厚になると陸海軍で勇敢に戦ったフランス軍人ブリュネらは明治2年(1869年)5月1日に戦況を視察していたフランス軍艦コエトロゴンで箱館を離脱した。同日、二股から五稜郭に帰陣した土方歳三は弁天台場に赴き新選組に七重浜の敵軍を奇襲するよう命じた。奇襲は成功したが戦況は変えられなかった。
3日、弁天台場の下級兵の斉藤順三郎が鍛冶職人を買収し大砲を使用不能とさせた。順三郎は安政年間に七重村に入植した八王子千人同心の子で箱館政権のやり方に憤り新政府軍の遊撃隊の一員として箱館政権軍に潜り込んでいたのである。これによって新政府軍艦隊は函館湾の奥深くまで進出できるようになった。7日、回天丸が甲鉄艦の砲撃で機関部を損傷し弁天台場付近で座礁させ浮き砲台となった。
11日早朝、新政府軍は箱館総攻撃を始めた。新政府軍の陸軍本隊は五稜郭を包囲、海軍は函館湾と大森浜から艦砲射撃をした。大鳥圭介の部隊は五稜郭北方を懸命に守ったが多勢に無勢で夜には五稜郭に撤退した。松岡四郎次郎率いる部隊は急造された四稜郭で防戦したが権現台場が占領されると退路を断たれることを恐れ五稜郭へ撤退した。
大砲が修理され再び機能を取り戻した弁天台場は新政府軍にとって厄介な存在であった。新政府軍の陸軍参謀の黒田清隆は奇襲部隊を編成し箱館山の山頂を占領し弁天台場と箱館を急襲する作戦を決行した。11日未明、奇襲部隊は飛龍丸と豊安丸に分乗し箱館山に向かった。
飛龍丸の清隆が率いる部隊は函館山南東側の寒川から上陸し絶壁をよじ登り山頂を急襲し占領した。山頂を監視していた新選組の監視兵は遁走し弁天台場に逃げ込んだ。一方、豊安丸の部隊は箱館山西北側の山背泊(入舟町)から上陸し弁天台場へ向かった。新政府軍が箱館山を占領すると箱館奉行の永井尚志は弁天台場に入り守備を固めた。
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