ジョルダーノ・ブルーノの忌日(1600年2月17日)
ジョルダーノ・ブルーノは16世紀のイタリアの哲学者で天文学者、詩人、劇作家としても知られています。ドミニコ会の修道士となり神学について学びました。
ブルーノはコペルニクスの地動説を支持し宇宙が無限であることを主張しました。そして無限の宇宙には無数の太陽系が存在するとして地球は唯一の存在ではないと唱えました。そして神と宇宙、神と自然は同一であるという汎神論に基づく哲学を展開しました。さらにカトリック教会が認めていない転生思想をもち、キリスト教や聖書の内容を批判しました。
ブルーノの哲学は異端とされ1576年にドミニコ修道会を離れてました。優れた記憶力の持ち主だったブルーノはイタリア北部、フランス、イギリス、ドイツなどで学者として活躍しましたが論争したり反感を受けたりと仕事を続けることができず15年間ほど放浪しました。
1591年、ドイツのフランクフルトに滞在していたブルーノはヴェネツィアの貴族ズアン・モチェニゴと会い記憶術の指南をするためイタリアに戻ることを決意しました。ヴェネツィアに向かう途上でパドヴァに滞在しパドヴァ大学の数学教授職に着任しようとしましたが採用されませんでした。このとき教授職に採用されたのがガリレオ・ガリレイです。
ブルーノはヴェネツィアでモチェニゴの家庭教師を2か月間務めました。このときブルーノが異端的な考えを吐露したため、モチェニゴはブルーノをヴェネツィア異端審問所に告発、ブルーノは1592年5月22日に逮捕されました。ブルーノは巧みに持論を展開し自己弁護しましたが、ブルーノの噂を聞きつけたローマ異端審問所がローマへ移送するよう要請しました。ヴェネツィア異端審問所をこの要請を渋りましたがローマ当局と議論を重ね1593年1月にブルーノを引き渡しました。
ブルーノは7年間投獄され裁判にかけられました。残された裁判記録によればブルーノに対する告発はブルーノの著書やブルーノの発言などを聞いた証人らの証言に基づいていました。ブルーノはヴェネツィアのときと同様に自己弁護し、教会の教えは受け入れると主張しましたが、自身の宇宙論や世界観は放棄しませんでした。
1600年1月、ブルーノは裁判ですべての持論を撤回するように求められましたがこれを拒否しました。異端審問担当枢機卿としてこの裁判に出席したロベルト・ベラルミーノはブルーノが改心の見込みのない異端者であるとしました。そしてブルーノは死刑判決を受けました(ロベルト・ベラルミーノはガリレオ・ガリレイの裁判にも関係しています)。
そして1600年2月17日、ブルーノはローマ市内のカンポ・デ・フィオーリ広場で火刑となりました。ブルーノは処刑を宣告する執行官に対して反論したため舌枷をはめられました。刑の直前に司祭が十字架を差し出すと侮蔑的な態度を取り顔を背けました。遺灰はテヴェレ川へ投げ込まれ、遺族は葬儀や墓の造営を禁じられました。
時は流れて20世紀、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世のもとでカトリック教会の過去の裁判を再検証され、カトリック教会はガリレオ・ガイレイを無罪しました。しかし、ブルーノについては火刑は遺憾だったと表明していますがキリスト教を批判し、彼の著作がキリスト教の教えと相容れないとして異端は撤回されませんでした(撤回されたという説明もありますが原典となる資料は見つけられず、英文資料などでは異端は撤回されなかったと説明されています)。
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