米原潜「ノーチラス」が潜航で北極点を通過(1958年8月3日)
アメリカ海軍の潜水艦ノーチラス(USS Nautilus, SSN-571)は世界初の原子力潜水艦です。ノーチラスの登場によって潜水艦はそれまでの「潜航可能な艦艇」から「常時潜航している艦艇」となりました。
ノーチラスの開発は「原子力海軍の父」と呼ばれたハイマン・ジョージ・リッコーヴァーによって開発が進められました。1952年6月14日に建造が始まり、1954年1月21日に進水式が行われ同年9月30日に就役しました。就役後、様々な試験を行い1995年11月17日の東部標準時午前11時に原子力を使った航行を始めました。このときノーチラスは「Underway on nuclear power(原子力にて航行中)」という後に広く知られることになる有名な信号を発しています。同年5月10日に性能試験のための航行に出発。ニューロンドンからプエルトリコのサンフアンまで潜航したままで90時間弱で1,200海里(2,200km)を航行しました。この記録は当時の潜水艦による最長の潜航となるました。さらに1957年2月4日に60,000海里(110,000 km)を航行を実現しました。
ソビエト連邦がスプートニクを打ち上げると米国は核ミサイルの脅威に対応するため北極での潜水艦の活躍を進めます。ノーチラスは1958年6月9日にシアトルを出発し極地航行「オペレーション・サンシャイン」を開始しました。6月19日にベーリング海を抜けてチュクチ海に入りましたが浅い海域での流氷の影響で引き返しハワイのオアフ島真珠湾で待機しました。
7月23日、ノーチラスは再び北極をめざすことになりました。8月1日に海底峡谷のバローキャニオンで潜航し北極を目指しました。そして1958年8月3日23時15分、ノーチラスは潜航した状態のままで北極点を通過した世界初の潜水艦になりました。このときノーチラスは「Nautilus, 90°N(ノーチラス北90度)」と信号を送りました。ノーチラスは北極点から潜航を続け氷の下を96時間1,590海里(2,940km)航行しグリーンランドの北東に浮上しました。
ノーチラスは1980年3月30日退役しましたが解体されることなくコネチカット州グロトンで保存・公開されています。
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