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2023年6月15日 (木)

オリンピックシンボル(五輪)が公式に掲揚された日(1914年6月15日)

 五輪旗ことオリンピックシンボルはオリンピック憲章第1章8で「単色または5色の同じ大きさの結び合う5つの輪」から成るオリンピック・リングと定義されています。

オリンピックシンボル
オリンピックシンボル

 オリンピックシンボルは近代オリンピックの創立者のフランスのピエール・ド・クーベルタン男爵が1913年に考案したものです。

 クーベルダン男爵は古代オリンピックが開催されたギリシアのデルフォイの祭壇にあった石碑に刻まれていた五輪の紋章を参考に考案したという説があります。しかし、この石碑は第11回ベルリンオリンピックの際に組織委員会の事務総長のカール・ディームが聖火リレーの式典の演出のために設置したものでした。式典は盛大に執り行われましたが、この石碑は撤去されませんでした。1950年代後半にアメリカ人作家のリン・プールとグレイ・プールがデルフォイを訪れたときにこの石を再発見し「古代競技の歴史(History of ancient Olympic games、1963年)」で紹介しました。この石碑は「カール・ディエムの石」として知られるようになり、オリンピック・リングのデザインは古代オリンピックに由来するものという説が流布しました。

 実際にはクーベルタンはフランス・スポーツ競技社団連合(USFSA)の責任者を務めていたときにオリンピックシンボルを思い付いたとされています。USFSAのロゴは青と赤の2つのリングを組み合わせたものでこれを五輪い拡張したと考えられています。

フランス・スポーツ競技社団連合(USFSA)のロゴ
フランス・スポーツ競技社団連合(USFSA)のロゴ

 クーベルタン男爵はこの5つの輪をヨーロッパ大陸、アメリカ大陸、アフリカ大陸、アジア大陸、オセアニア大陸の5つの世界大陸に見立てました。また5つの大陸と色には関係がなく、どの輪がどの大陸かは定義されていません。すべての参加国の国旗を再現できる色として白、青、黄、黒、緑、赤の6色が選ばれました。このことはクーベルタン男爵が「Olympique 1913年8月号」において「このように組み合わせられた6色(旗の白地を含む)は例外なくすべての国の色を再現している。スウェーデンの青と黄、ギリシャの青と白、フランス、イギリス、アメリカ、ドイツ、ベルギー、イタリア、ハンガリーの三色旗、スペインの黄と赤、ブラジルとオーストラリアの革新的な国旗、古代日本と現代中国の国旗も含まれている。まさに、国際的なエンブレムです」と述べています。

 さてオリンピックシンボル(五輪)が制定された日は多くのサイトで五輪旗制定記念日(6月14日)として紹介されています。1914年6月14日にパリで開かれたオリンピック委員会で制定されたことが由来となっています。

 オリンピックシンボルについていろいろと調べてみたところいくつかの論文が見つかりました。下記の論文は国際オリンピック史学会(International Society of Olympic Historians、ISOH)の「JOURNAL OF OLYMPIC HISTORY」に掲載されたものです。

THE STORY OF THE RINGS By Karl Lennart

JOURNAL OF OLYMPIC HISTORY  VOLUME 10  DECEMBER 2001/JANUARY 2002  61

http://isoh.org/wp-content/uploads/JOH-Archives/JOHv10n1m.pdf

 この論文には下記の記載があります。

引用「At the opening ceremony of the Olympic congress on June 15, 1914 in the Sorbonne, it ”flew” officially for the first time. But it had already been shown on the 13th at the first meeting of the session and on the 14th at a ceremony.」

翻訳「1914年6月15日、ソルボンヌ大学で開催されたオリンピック会議のセレモニーで五輪マークは初めて公式にはためきました。 しかし、このマークは13日の第1回会合と14日の式典ですでに披露されていたのです。」

 この記述からお披露目されたのは6月13日と14日ですが公式に掲揚されたのは6月15日です。オリンピックシンボルが制定された日が何日なのかはわかりませんでしたが6月15日が公認された日という論文もいくつかありました。五輪制定記念日が6月14日とされているのは式典に因んだ日と思われます。

 ところでこの論文に式典について面白いことが書いてあります。式典の式次には印刷会社のミスにより上下がひっくり返った上に2輪、下に3輪の誤ったロゴが印刷されていたとあります。またクーベルタン男爵はパリ大会後のオリンピックで五輪旗を掲揚することを述べていたようですが、1914年の会議でこの件について何らかの決定がなされたのかどうかは不明とあります。

 1916年ベルリンオリンピックは第一次世界大戦で中止となったので、五輪旗がオリンピックで掲揚されたのは1920年にベルギーで開催されたアントワープオリンピックでした。

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