ヨットで世界初の単独世界一周(1898年6月27日)
ヨットに乗って地球を一周する冒険に世界で初めて成し遂げたのはアメリカの冒険家で作家のジョシュア・スローカムです。スローカムが1900年に出版した自分の冒険に関する著書「Sailing Alone Around the World」は世界的なベストセラーとなりました。
スローカムは子どもの頃から海の冒険に憧れ14歳のときに船員として働き始めました。船員として多くの経験を積んだスローカムは航海士、航海士長、船長となり、やがて船団を任されるようになりました。
40代後半になったスローカムは1891年からマサチューセッツ州フェアヘイブンで36フィート9インチ(11.20メートル)のオイスターボート (牡蠣漁船)として使われて廃船となっていたスプレー号を再建し、1892年6月21日に進水させました。スローカムはこのスプレー号で単独世界一周の冒険を計画し、1895年4月24日にボストンを出港しました。
スローカムは航海の最初に自分が少年時代に住んでいたカナダノバスコシア州のブライヤー島や周辺の思い出のある町を訪れ、1895年7月3日にサンブロー島灯台から冒険の旅に出発しました。スローカムの計画はサンブロー島から東に進路を取りエジプトのスエズ運河を通過し東回りで世界一周をするつもりでした。しかし、イベリア半島南東部のジブラルタル付近で地中海南部に出現する海賊を避けるため計画を変更し、南アメリカ大陸南端のマゼラン海峡(マガリャネス海峡)を通って太平洋を西回りで世界一周することにしました。しかし、長らく続いた嵐のためそのまま太平洋を横断することはできずオーストラリアの東海岸から北上してインド洋に入り南アフリカのケープタウンの喜望峰を回って北米に向かう進路を取りました。
スローカムは海上で正確に動く時計マリンクロノメーターを使用しませんでした。正確な時間がわからないということは時差がわからないということになりますから自分のいる位置の正確な経度がわからないということです。スローカムは簡易な時計と正午の太陽の位置からイ緯度を求めることで自分の位置を把握し推測航法で航行しました。
そして出港から3年後の1898年6月27日、スローカムは米国ロードアイランド州ニューポートに到着、4万6,000マイル(7万4,000km)以上の距離を航海し単独世界一周を成し遂げたのです。
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