映画「フック」日本公開(1992年6月20日)
「フック」(原題: Hook)は スティーヴン・スピルバーグ監督、ダスティン・ホフマン、ロビン・ウィリアムズ主演の1991年公開のアメリカ映画です。米国では同年12月11日に公開され、日本ではやや遅れて半年後の1992年6月20日に公開されました。
仕事人間で家族のことも省みない超多忙の40歳の弁護士ピーター・バニング。ある冬の日に家族で妻の祖母ウェンディ・ダーリング - マギー・スミスが住んでいる英国を訪れます。その夜、2人の子どもたちが何者かに誘拐され、家に残された脅迫状にはジェイムズ・フック船長のサインがありました。ウエンディはピーターにかつてピーター・パンだったことを伝えますが記憶を失っているピーターは本気にしません。そこにティンカーベルが現れてピーターはネバーランドに向かいます。記憶を取り戻したピーターは2人の子どもを取り戻すべくネバーランドの子どもたちと協力してフック船長と戦います。
映画「フック」はスコットランドの作家ジェームス・マシュー・バリーの戯曲「ピーター・パン」を元にしたもので1911年の「ピーターとウェンディ」の続編として描かれています。大人になって自身がピーターパンであったことを忘れてしまったピーターがフック船長による子どもたちの誘拐をきっかけに次第に記憶を取り戻しピーターパンへ戻っていき家族の大切さ人生の素晴らしさを再認識するという物語に仕上がっています。
もともとスピルバーグ監督は1980年代にディズニーとフックの制作を始めましたがこれは従来のピーターパンを踏襲する内容でした。しかし、スピルバーグは監督はこの企画を放棄し改めて映画「フック」を制作しました。
スピルバーグ監督は子どもの頃から読み聞かせられていたピーターパンの物語に思い入れがありました。自分がピータパンであるような気がしていたと言います。この映画でのピーターと息子のジャックの関係はスピルバーグ監督の父親と自身の関係を反映させたものでした。スピルバーグ監督は仕事に追われて想像力を失い自己中心的になり家族を省みない父親と自分の関係を経験をしたこと、そして自身も映画撮影で多忙となり同じ状況になっていると振り返っています。飛行機で英国に向かうシーンでピーターが飛行機を恐れているシーンがありますが、スピルバーグ自身も飛行機が怖かったのです。そして空を飛ぶあらゆるヒーローの自分にとっての原点はピーターパンと言っています。スピルバーグ監督はピーターを自身のように描いたのでしょう。
映画「フック」の評価は賛否両論でスピルバーグ監督作品としては評価の低い映画となりました。その理由はピーターパンの原作からかけ離れた内容とも言われています。第64回アカデミー賞では5部門にノミネートされていますが、後年スピルバーグ監督は「フック」は失敗だったと省みています。
自分はこの映画をとても楽しく見ることができました。繰り返して見ることでピータパンへのオマージュを理解することができました。ダスティン・ホフマンのフック、ロビン・ウィリアムズのピーター・バニングとピーターパンの演技も素晴らしいものでした。映画のラストシーンではウエンディが子どもたちをフックから取り戻したピーターに「これで冒険は終わりね」と声をかけます。ピーターは「いや、生きるということははすまじく大きな冒険になるだろうと」と応じます。
Granny Wendy : So... your adventures are over.
Peter Banning : Oh, no. To live... to live would be an awfully big adventure.
記憶を取り戻した仕事人間が家族の大切さと人生の尊さを省みた瞬間でした。
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