半減期が帰着するところは確率
放射性物質の半減期の話をしていたら原子核の崩壊が結局のところは確率で決まるよと説明したら合点のいかない人がいました。もっとも、ニュースの解説でも単純に放射能物質が半分になる時間(放射能が半分になる時間)ぐらいしか説明されていないことも多いので仕方がないかもしれません。
放射性の原子核が崩壊して別の種類の原子核に変わるとき、もとの原子数の半分が崩壊する時間を半減期といいます。ただし、ある原子核が崩壊するかどうかは確率で決まります。たとえば、ひとつの原子核がいつ崩壊するかはわかりません。半減期が経過したら必ず崩壊するというわけではありません。すぐに崩壊するかもしれないし、ずっと崩壊しないかもしれません。
実は半減期というのは多数の原子核が崩壊して半分になる時間です。ひとつひとつの原子核はいつ崩壊するかはわからなけども、全体を見ればある一定の確率で崩壊するため全体として半減期が決まることになります。従って半減期は例えば1兆個の原子核が半分になる場合には適用できますが、4個が2個とか、2個が1個とかには適用できません。
ひとつひとつには適用できないが、全体には適用できるという例を、少々乱暴ですが簡単な例で説明してみます。
日本で2022年に交通事故で死亡した人の数は2,610人です。日本の人口を1億2300万人とすると2022年の1年間で交通事故で亡くなった人の確率は約0.002 %になります。この数字はあくまでも1年間で人口1億2300万人のうち2610人が交通事故で死亡するということしか言えません。特定の個人が交通事故で死亡するかはわからないのです。
【関連記事】半減期が帰着するところは確率
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