プラスチックの語源|塑性と弾性の違い
日本語でプラスチックというと、多くの場合はプラスチック材料やプラスチックで作られたもののことです。ところが英語のプラスチックplasticには日本語と同じ名詞としてのプラスチックという意味の他に形容詞としての「形を作ることができる」という意味があります。もともとplasticはギリシャ語で塑造という意味をもつplastikos という単語に由来しています。塑造とは粘土などの柔らかな材料で像などを造ることです。
プラスチックが意味する「形を作ることができる」という性質のことを可塑性または塑性といいます。可塑性とは「外から力を加えると形を変えることができ、力を取り除いても元の形に戻らない性質」です。例えば、粘土の固まりは力を加えると変形しますが力を取り除いても元の固まりに戻ることはありません。またゴムのように「外から力を加えると形を変えることができ加えた力を取り除くと元の形に戻る性質」を弾性といいます。
プラスチックは合成樹脂とも呼ばれます。樹脂は松ヤニや漆などのように樹液が固まったもので、自然由来の樹脂のことを天然樹脂といいます。私たち人類は古代から天然樹脂を利用してきましたが、天然樹脂は採れる量が少ないうえに取り扱いが面倒という問題がありました。そのため、人類にとって天然樹脂に代わる材料を手に入れることは積年の夢でした。
やがて天然樹脂によく似た性質を持つ物質が人工的に作り出されると、それらの物質のことを合成樹脂と呼ぶようになりました。今日では、合成樹脂というと原料や素材、プラスチックというと成型品を意味することが多いようですが言葉の使い分けに厳密な区別はありません。
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