ムンクの「叫び」は叫んでいない
「ムンクの叫び」はノルウェーの画家エドヴァルド・ムンクが1893年に制作した作品「叫び」です。ノルウェー語の原題は「Skrik」、英語の題名は「The Scream」です。
ムンクは「叫び」をある日の体験に基づいて描きました。そのことがムンクの日記に書き記されています。
その日の夕方、ムンクは友人と2人でノルウェーのフィヨルドの町の歩道を歩いていました。太陽が沈んでいくなかで突然空が血の赤色に染まりました。ムンクは酷い疲れを感じ立ち止まって柵によりかかりました。その様子をムンクは「炎の舌と血とが青黒いフィヨルドと町並みに被さるようであった」と記しています。そして、このときムンクには自然を貫く果てしない叫びが聞こえたのです。友人はそのまま歩き続けていましがが、ムンクは不安に震え恐ろしい音が聞こえないように耳を塞ぎながら立ち尽くしていました。
ですからムンクの「叫び」は人物が叫んでいる様子を描いたものではなかったのです。ムンクが産まれたのは1863年、「叫び」を描いたのは30歳のときでした。幼い頃に母と姉を亡くした経験がムンクの作品に大きな影響を与えたといいます。ムンクは愛するものとの別れから不安をテーマにした数多くの作品を描きました。「叫び」もそうした作品の1つだったのです。
もっと知りたいムンク 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
【関連記事】
Amazonアソシエイトとしてブログ「夜明け前」は適格販売により収入を得ています。
| 固定リンク | 0
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 杉玉とは?|酒蔵の軒先に吊るされた球体(2025.10.17)
- まぐろの日(10月10日)(2025.10.10)
- ビー玉の語源は?(2025.08.13)
- 幽霊の日|歌舞伎「四谷怪談」の初演日に由来(文政8 1825年7月26日)(2025.07.26)
- ピーテル・ブリューゲルの「死の勝利」とブラックサバスのベストアルバム(2025.07.09)
「知る人ぞ知る」カテゴリの記事
- 杉玉とは?|酒蔵の軒先に吊るされた球体(2025.10.17)
- 「定規」と「物差し」の違い(2025.05.27)
- 日本の国歌「君が代」の成り立ち(2025.04.29)
- 五百円札の発行(昭和26年 1951年4月2日)(2025.04.02)
- 正力松太郎が読売新聞を買収(大正13年 1924年2月25日)(2025.02.25)


コメント