サンフランシスコのベイブリッジ開通(1936年11月12日)
ベイブリッジという通称で親しまれている「サンフランシスコ ・オークランド・ベイ ブリッジ」。米国カリフォルニア州のサンフランシスコ市とオークランド市を結ぶ吊り橋です。州間高速道路80号線の一部となっており、1日に約26~27万台の自動車がこの橋を渡ります。通行量は三フランシスコからオークランドに向かう場合は無料ですが、逆向きの場合は有料です。
ベイブリッジの幅は世界最大で78.74メートルもあり、自動車用道路は10車線もあります。高さ160メートル、全長は7,180メートルでかつては世界最長の吊り橋でしたが現在は1988年4月に開通した瀬戸大橋が世界最長の吊り橋となっています。
サンフランシスコ湾にベイブリッジを建設するきっかけとなったは1848年に始まったカリフォルニアのゴールドラッシュです。サンフランシスコはその中心の都市となり多く人々が訪れ、船でたくさんの物資が運ばれ発展しました。
1869年5月10日にネブラスカ州オマハとカリフォルニア州サクラメントを結ぶ大陸横断鉄道が開通し内陸部との人流と物流が拡大しましたが、鉄道を湾で隔てられたサンフランシスコまで敷設することはできませんでした。このままでは交易の中心地が鉄道の駅が存在する対岸のオークランドの方へ移動してしまうと考えたサンフランシスコの人々の間で橋を建設する気運が高まりました。まもなくベイブリッジ委員会が立ち上げられ1872年にベイブリッジ建設建設計画に取り組みました。しかしながら、ベイブリッジの建設には高い技術力と莫大な費用が必要なためなかなか前進しませんでした。この計画を強く推したのがノートン1世こと合衆国帝王を自称したジョシュア・ノートンでした。ノートンの合衆国帝王は法的根拠のある立場ではありませんでしたが、その奇抜な行動やサンフランシスコを愛する姿勢からサンフランシスコ市民に受け入れられ三プランシスコの有名人となっていました。彼が出す「皇帝勅令」はサンフランシスコの人々は親しみをもって受け止めていました。
ジョシュア・ノートンがベイブリッジの建設を「命令」したのは1872年です。ノートンはこの年の前半までに2回「命令」を出していますがいっこうに動かない市政に不満を感じ同年9月に「サンフランシスコとオークランドの議会がベイブリッジ建設の命令を無視し続けるならば軍隊による逮捕を命ずる」という声明を出しました。この声明も法的根拠があったわけではありませんが、ベイブリッジ建設は社会的も政治的にも魅力的な事業であり多くの人々に支持されました。しかし、あまりにも広くて深いサンフランシスコ湾がベイブリッジ建設の前に立ちはだかったのです。
ベイブッリジの建設の気運が高まったのはノートンの声明から50年以上経過した1920年代でした。この背景には実用的な自動車の登場とその将来性への期待がありました。そして1929年にカリフォルニア州有料橋公団が設立され、サンフランシスコとアラメダを中間に存在するイェルバ・ブエナ島経由で結ぶベイブリッジの建設が正式に決まったのです。
ベイブリッジの建設の起工式には前大統領のハーバート・フーバーが出席し工事は1933年7月9日に始まりました。サンフランシスコ湾の深さは場所によって30メートルもあり、海底の地盤に支柱を立てるには新しい技術による基礎工事を必要としました。吊り橋の支柱を立てる位置も港湾のスペースを十分に確保できるように配慮して設計されました。
ベイブリッジの建設工事では24名の作業員が尊い命を落としています。幾多の苦難を乗り越え1936年11月12日午後12時30分にベイブリッジが開通しました。ベイブリッジに鉄道が通ったのは1938年9月23日、ノートンの声明から66年が経過していました。なお現在のベイブリッジには鉄道は敷設されていません。
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・ロンドンのタワーブリッジが完成(1894年6月30日)
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