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2022年10月23日 (日)

映画「荒野の七人」公開(1960年10月23日)

 1960年10月23日は西部劇の定番とも言える映画「荒野の七人」が米国で公開された日です。日本での公開は1961年5月3日でした。

  製作総指揮ウォルター・ミリッシュ、監督はジョン・スタージェス、出演はユル・ブリンナー(クリス・アダムス役)、スティーブ・マックイーン(ヴィン役)、ジェームス・コバーン(ブリット役)、チャールズ・ブロンソン(ベルナルト・オライリー役)、ブラッド・デクスター(ハリー・ラック役)、 ロバート・ヴォーン(リー役)、ホルスト・ブッフホルツ(チコ役)、イーライ・ウォラック(カルベラ役)など蒼々たるメンバーです。ジョン・スタージェス監督は1963年に公開された「大脱走」を制作していますが「荒野の七人」の出演者の多くが出演しています。

「荒野の七人」のポスター
「荒野の七人」のポスター

 「荒野の七人」の原作は黒澤明監督の「七人の侍」であることは有名な話です。侍とガンマンの違いはありますが盗賊から農村を守るという設定は同じでストーリーや役回りも無理のない範囲で忠実に再現されています。これはクリス役で主演のユル・ブリンナーが「七人の侍」を見て感銘を受けたからと言われています。「荒野の七人」の出来映えには黒澤明監督も満足しお礼としてジョン・スタージェス監督に日本刀を贈っています。「荒野の七人」はその後も続編やテレビドラマが制作されました。これは東宝と製作総指揮ウォルター・ミリッシュとの間で交わされた契約に基づくものでしたが「七人の侍」の作者である黒澤明、橋本忍、小国英雄の許可は得ていなかったようです。黒澤明監督作品と言えばほとんどが東宝配給ですがこの権利問題は黒澤明監督と東宝との間に溝を作ることになったそうです。

 さて「荒野の七人」は自分が生まれる前に制作・公開された映画です。ですから自分が初めてこの映画を見たのはテレビの洋画劇場でした。とても面白い内容でこの映画を見て西部劇が好きになったと言っても良いぐらいです。特に全身黒ずくめで冷静沈着かつ優しさを兼ね備えた腕利きガンマンのクリス役のユル・ブリンナーがかっこよくてファンになりました。

 クリスをはじめとする七人のガンマンは金で雇われて農村を救います。彼らはアウトサイダーであり決して正義の味方ではありません。しかし、アウトサイダーだからこそ農民たちを救うことができるのであって、彼らは戦いと喪失の人生の中から何かを見出そうとしていました。ヴィンがアウトサイダーのガンマンの立場を「家なし、妻なし、子どもなし、将来性ゼロ」と言い表しています。決して正義の味方ではないのに行きがかり上、結果として正義の味方になっただけです。冒頭の埋葬シーンも街のルールの外にいるアウトサイダーだったからこそ成り立ったのででしょう。

 カルベラが倒れガンマンと盗賊の戦いが終わる。街を去るガンマンに農村の長老は言う。

 「農民が勝った。我々農民は大地と共に永遠に生きていける。そしてあなた達は大地の上を吹きすぎていく風だ。イナゴを吹き飛ばし去っていく」

そして農村を去るときにクリスがヴィンに言う。

 「長老の言う通り勝ったのは農民だ。俺たちはいつも負けなのさ」

 自分が「七人の侍」を見たのは「荒野の七人」を見た後でした。映画館でリバイバルを見ました。非常に長い映画でしたが面白くてあっと言う間に物語が進んで終劇となりました。「七人の侍」をリメイクした「荒野の七人」、武士である侍と無法者のガンマンの違いをうまく描写していると思いました。

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