レジ袋ゼロデー(10月5日)
10月5日は「レジ袋ゼロデー」です。スーパーマーケットやコンビニでレジ袋が有料化されたのは2020年7月1日です。この有料化は2019年5月に制定された「プラスチック資源循環戦略」において「容器包装リサイクル法」を改正したことによるものでプラスチック製買物袋の排出抑制のために導入されました。「レジ袋ゼロデー」はこの法律改正より18年前の2002年(平成14年)にスーパーマーケットの業界団体・日本チェーンストア協会が制定したものです。
1990年代半ば頃から広まったエコロジー運動を背景に買い物時にマイバックを持参しレジ袋を使わないようにするマイバック運動が進められるようになりました。その一環としてマイバッグを利用しレジ袋を不要とする消費者に割引などを行うキャンペーンが行われるようになり、レジ袋削減が同時に注目されるようになったのです。
一般にレジ袋の削減はごみ問題(ごみ排出量削減)、資源問題(原油の節約)、地球温暖化問題(二酸化炭素排出量削減)などの対策が目的とされています。
まずはごみ問題から考えてみましょう。2020年7月から全国でレジ袋が有料化されるとレジ袋辞退率は約80%となりました。2019年のレジ袋の国内流通量は約20万トンでしたが、2021年は約10万トンとなり約50%の削減となっています。一般にレジ袋はごみ袋として再利用されることが多いのでレジ袋がなくなると同等品の販売数が増える可能性があるため有料化だけで解決できるものではないという指摘もあります。辞退率が80%になっているのに流通量が50%削減という数字はそのためかもしれません。しかし、日常的な買い物で配布されるレジ袋が削減されていることを考えるとごみ削減の効果はあると言えるでしょう。
次にレジ袋の資源問題への効果と言えば原油資源の節約です。2000年頃のレジ袋の使用量は約300億枚で原油換算の使用量は200リットルのドラム缶で280万本(約55万キロリットル)でした。前述のレジ袋の削減量を考慮すれば原油使用量は半分以上削減されていると考えられます。
プラスチックの原料となるのは原油そのものではなく原油から作られるナフサです。日本国内でプラスチックの製造に消費されたナフサの量を原油に換算すると、国内で消費される原油の約3%がプラスチックとなっている計算になります。2020年の日本のプラスチックの年間の生産量は約963万トン、年間の消費量は約841万トンでした。この数字を考えるとレジ袋の削減、あるいはプラスチックの削減によって原油の使用量が著しく減少するとは言えません。資源問題を解決できるほどのものではないことがわかります。原油の多くは燃料として利用されていますから、原油使用量を効果的に削減するにはもっと別な取り組みをする必要があります。
最後に二酸化炭素の発生量について考えてみましょう。レジ袋1枚あたりの原油の使用量は18.3 mLとされています。二酸化炭素排出量は二酸化炭素中の炭素の重量に換算した数値(単位kgC)で表します。原油1 Lあたりの二酸化炭素排出量は0.7225 kgCですから、18.3 mLは0.0132 kgCとなります。すなわちレジ袋1枚を削減すると二酸化炭素排出量は13.2 gC削減できることになります。実際にはレジ袋の代わりにマイバッグが使用されたり、ごみ袋としての同等品の消費量が増える分も考慮する必要があり、それらを勘案した実質的な二酸化炭素排出量は13.2 gCよりも小さな値となるはずです。上述の資源問題と同様に二酸化炭素排出量を有意に抑えるためには別の取り組みが必要です。
こうして考えるとレジ袋の削減はプラスチックごみの削減の効果はそれなりにあることがわかります。原油資源の節約や二酸化炭素排出量の削減は全体からすると微々たる量ですから副次的な効果とも言えるでしょう。そうは言いながらも塵も積もれば山となるでできるところから手をつけていくという視点も重要です。
ごみ問題は生活に密着しているので人間的、社会的、現代的な問題です。レジ袋の削減の取り組みもレジ袋を絶対に使わないと考えるのではなくTPO(時間・場所・場合)に即して「便利と不便」「安全と危険(特に衛生面など)」などのバランスを鑑みながら使用するか使用しないかを考えれば良いのだろうと思います。重要なことは使ったレジ袋を環境中に投棄せず適切に処分することです。
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