バーコードの日(1952年10月7日)
現在、当たり前のように使用されているバーコード。ものづくりから流通と販売そして支払いまでバーコードが欠かせない存在になっています。
バーコードが発明されたのは今から約50年前に遡ります。1948年、米国ペンシルバニア州のスーパーマーケットの社長がレジで商品情報や販売価格を自動的に読み取る方法を同州のドレクセル大学の工学部長に依頼しました。工学部長はこの依頼を断りましたが、この話を聞きつけてて興味を持ったのが同大学の大学院生バーナード・シルバーでした。シルバーはこのシステムの可能性について同大学の講師のノーマン・ジョセフ・ウッドランドに相談をもちかけました。ウッドランドはいくつかのアイデアを思いつき、このシステムは実現できるという結論に達しました。
その後、ウッドランドは株で大金を手にしたため大学を辞めてフロリダ州に引っ越しました。ウッドランドはかつて若い頃にボーイスカウトに所属していたときにモールス信号について学んでいました。点と線の組み合わせで情報伝達するモールス信号をレジでの情報の自動入力に応用できないか考えていました。ある日、海岸であれこれ考えていたウッドランドは指で砂浜にモールス信号のような点と線を描いてそれを眺めていました。そして、それぞれの点と線を縦方向に引き伸ばしてみました。すると細い縦線と太い縦線が組み合わさったパターンが現れました。ウッドランドはこのパターンから現在の二次元バーコードを思いついたのです。
バーコードの基本アイデアを思いついたウッドランドはさっそくシルバーに連絡しました。2人はウッドランドのアイデアを元に線によるパータンとどの方向からも読み取れる同心円状のパターンの二次元バーコードを考え出しました。そして映画フィルムのサウンドトラックの技術を応用し、1949年10月20日に特許「Classifying apparatus and method(分類装置と手法)」を申請し1952年10月7日に特許を取得しました。
1951年にIBMに入社していたウッドランドはIBMで特許の開発を働きかけましたが当時は商業化できませんでした。そこで2人は特許を1万5000ドルで売却しました。2人がバーコードの特許でこれ以上の利益を得ることはありませんでした。最終的に特許はRCA社が取得しました。
1969年、全米フードチェーン協会がバーコードを採用することになり「統一食料品コードに関する米国スーパーマーケット特別委員会」が設立されました。当初はRCAが有力に進めていましたが途中からIBMが参加することになりました。IBMはウッドランドにバーコードの研究を担当するように命じました。結果としてウッドランドが開発した統一商品コード(UPC)が採用されたのです。バーコードの特許は1969年に切れていたのです。
昔から存在していたバーコードが現在のように身近な存在になったのはスマホの普及やカメラの読み取り技術の発展によるものでしょう。使用方法に関するいろいろなアイデアが出て様々なシーンで使われるようになりました。
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