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2022年9月29日 (木)

ゴールデンバットとゴールドウルフ|キカイダーの良心回路とアイザック・アシモフのロボット工学三原則②

 ロボット工学三原則はアイザック・アシモフの短編SF小説『われはロボット(I Robot)』で示されたものです。ロボットはこの三原則の元に設計されなければならないということですから自律型のロボットについてはロボット自身の行動規範になるのだろうと思います。

第2回はキカイダーの漫画(原作)のゴールデンバットとテレビドラマのゴールドウルフについて考えます。

ロボット工学三原則

・第一条 

 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。

・第二条 

 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。

・第三条 

 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。

 ロボットがこの三原則に従って作られているかどうかは人工知能の設計者に委ねられるでしょう。

 ダーク破壊部隊にも良心回路が搭載されたロボットがいました。原作ではゴールデンバット、テレビドラマではゴールドウルフです。

ゴールデンバット

 ゴールデンバットの良心回路はプロトタイプでありジロー/キカイダーに取り付けられた良心回路よりも不完全なものでした。そのため、ゴールデンバットは光明寺博士に対し自分は実験台にされたと恨みを抱いていました。良心回路のためにギルの命令に対して善悪の判断にせまられるという苦しみを抱えることになってしまったからです。しかし、良心回路が不完全だったためジロー/キカイダーほど苦しむことはなく短時間でギルの命令に従う判断ができました。

 ゴールデンバットがジロー/キカイダーを追い詰めたとき、ミツコはゴールデンバットの戦い方が卑怯だと叫びます。するとゴールデンバットはジロー/キカイダーをそのまま倒すことをやめ、ロボットのプライドを見せてやろうと言いジロー/キカイダーと正々堂々と勝負を挑みます。窮地を脱したジロー/キカイダーは正々堂々の戦いでゴールデンバットを倒します。

 ゴールデンバットに良心回路が搭載されていなかったらゴールデンバットはプライドという言葉を口にすることもなければ正々堂々と闘うこともせずそのまま卑怯な手でジロー/キカイダーを倒していたでしょう。

ゴールドウルフ

 ゴールドウルフはゴールデンバットとは異なり光明寺博士のことが好きでした。ゴールドウルフは人間の姿をしているときは紳士的でした。光明寺博士をかくまったりミツコやマサルを助けたりしています。

 こうしたゴールドウルフの行動は良心回路の働きによるものですが、ゴールドウルフには月光電池という装置が搭載されていました。この月光電池の働きにより、ゴールドウルフは月の光を浴びると人間の姿から狼の姿をしたロボットになって良心回路が働かなくなります。そうなるとゴールドウルフにはジロー/キカイダーの説得は通じなくなります。恐るべしギルの仕掛けです。

プロフェッサーギル 

 ジロー/キカイダーはやむなくゴールドウルフと戦います。しかし、月が雲に隠されるとゴールドウルフは紳士的な人間の姿に戻りました。そこにギルの笛がなり始めジロー/キカイダーとゴールドウルフが苦しみ始めます。そして、再び月が現れるとゴールドウルフは狼ロボットとなりジロー/キカイダーに襲いかかります。ゴールドウルフの攻撃の金属音によってジロー/キカイダーは何とかチェンジします。そしてゴールドウルフを説得しようとします。しかし、説得は通じることなくジロー/キカイダーはデンジ・エンドでゴールドウルフを倒します。その直後、月が再び雲で隠されるとゴールドウルフは紳士の姿に戻り「月がもう少し早く隠れてくれたら」と言い残して絶命します。

 このとき、キカイダーの目から涙が流れ出てきました。月光電池は不完全な良心回路を凌駕し紳士的なゴールデンウルフをいとも簡単に悪の手先に変えてしまいます。ゴールドウルフが迎えた悲しい最期に加えて、自分も同じ運命を背負っていることを改めて悟ったジロー/キカイダー。回路に何らかの影響が出てオイルが染み出してきたものか・・・涙となって出てきたのでしょう。

 ゴールドウルフに搭載されていた良心回路はゴールデンバッドよりも完成度が高かったと思います。またゴールドウルフが悪になるのは、月光電池のためです。ですから光明寺博士がゴールデンバットに取り付けた良心回路が月光電池には勝らなかったとは言え、ゴールデンウルフの良心回路がどれぐらい不完全だったのかはわかりません。もしかするとジロー/キカイダーの良心回路と同程度だったのかもしれません。ジロー/キカイダーには月光電池のようなものが取り付けられていませんから。

 良心回路を抱えたロボットはロボット工学三原則にのっとって設計されたものではなく、自律的に考えて行動し、良心回路の働きで、結果として三原則と同様な考えで行動するように設計されているのだと思います。さまざまな知識や経験がデータとして蓄積され、それらの情報を元に何が善で何が悪なのかを見極めていけるように設計されているのでしょう。

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