「ノアの神」と「バラージの青い石」|ウルトラマン第7話
「バラージの青い石」とはウルトラマン第7話「バラージの青い石」に出てくる石で、中近東に存在する幻の都市バラージ王国の女王チャータムの宮殿に祀られている「ノアの神」の石像が左手に持っていたものです。
「ノアの神」の石像はウルトラマンとそっくりで右手を高々と突き上げていました。科学特捜隊にとってはウルトラマンですが、チャータムをはじめとするバラージ王国の人々にとってはあくまでもの「ノアの神」なのです。
バラージ王国は5000年前に怪獣アントラーに襲われ壊滅しそうになりましたが、このとき現れた「ノアの神」によって滅亡の危機を救われました。このときアントラーをバラージ王国に近づけないようにするため「バラージの青い石」が「ノアの石像」とともに宮殿に祀られました。
しかしながら5000年の時を経てついにアントラーがバラージ王国を襲撃してきました。アントラーが活動を始めたのは中近東の砂漠に落下した隕石の影響でしょう。
再び壊滅の危機を迎えたバラージ王国。その危機を救うためハヤタ隊員はウルトラマンに変身します。突然、現れたウルトラマンを目の前ににして「ノアの神」が再来したと信じるバラージ王国の人々。ところがアントラーは強くウルトラマンは磁力光線に翻弄されます。そしてスペシウム光線も跳ね返されてしまいます。ついにウルトラマンのカラータイマーが点滅し始めます。
このときチャータムがムラマツキャップに「この石を早くアントラーへ、ノアの神のお告げです」と言って「バラージの青い石」を差し出します。ムラマツキャップは手に取りそれをアントラーめがけて投げつけます。「バラージの青い石」はアントラーに見事に命中。爆発するアントラーを見届けてウルトラマンは宇宙に帰っていきます。
さてウルトラマン第7話「バラージの青い石」で話題になるのは「ノアの神」の正体です。劇中ではウルトラマンが5000年前に地球を訪れバラージ王国の危機を救ったのではないかというやり取りがあります。「ノアの神」の正体には諸説ありますが、おそらく初代ウルトラマンが5000年前に現れてバラージ王国を救い人々から「ノアの神」と呼ばれるようになったのでしょう。青い石の力を知っていたウルトラマンは「ノアの神」のお告げとしてチャータムにテレパシーを使って青い石をアントラーにぶつけるように伝えてきたのではないでしょうか。
ところで人類は青色を昔から使ってきました。特に植物の藍から得られる色素は太古の昔から利用されてきたと考えられています。絵画などで青色を表現する顔料としては鉱物の青金石を主成分とするラピスラズリという宝石から作られるウルトラマリンが使われました。
ラピスラズリやウルトラマリンはたいへん貴重なものでした。旧約聖書や新約聖書に出てくる青い石もラピスラズリだったという説もあります。モーゼが神から授かった十戒が刻まれたサファイヤ製の石板もラピスラズリだったのではないかという説もあります。
さて劇中で「ノアの神」を「ノアの方舟」と結びつけるような台詞があります。「ノアの方舟」は旧約聖書の創世記に出てくる物語でノアは「ノアの方舟」を作った人物です。神は人類の堕落を見て世界を洪水で洗い流すことを決めます。ただし、神はノアの家族と動物のつがいを残すことにしノアに洪水から避難するための「ノアの方舟」を建設するよう命じます。
ノアはアダムが130歳のときに生まれたセトの子孫ですべての人類の祖先と言われています。ノアが方舟を完成させたときの年齢は600歳でした。ですからノアは普通の人間ではありませんが、ノアそのものが神ではありません。つまり「ノアの神」と言えばノアに方舟の建設を命じた神のことです。
ウルトラマン第7話「バラージの石」の脚本は南川竜さんと金城哲夫さん。どうしてバラージ王国のウルトラマンそっくりな石像の名前を「ノアの神」としたのでしょうか。
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