南総里見八犬伝の完成(1842年8月20日)
南総里見八犬伝は江戸時代後期の文化11年(1814年)に滝沢馬琴(曲亭馬琴)が執筆を始めた長編小説です。馬琴はこの物語を全98巻106冊にまとめあげました。執筆に要した期間は28年間で、物語が完結したのは天保13年(1842年)8月20日(新暦:1841年9月24日)でした。
馬琴の誕生年は明和4年(1767年)ですから47歳に執筆を開始し75歳で筆を擱いたことになります。南総里見八犬伝は馬琴の人生後半のライフワークとなりました。28年もの歳月が流れるといろいろな困難も生じます。馬琴は天保4年(1833年)、67歳のときに目を患い右眼がほとんど見えなくなり、左眼もかすんで見えづらい状態となりました。天保10年(1839年)72歳のときには完全に失明してしまいました。馬琴は執筆を諦めず、早世した息子の宗伯の妻のお路(おみち、土岐村路)が馬琴の口述を筆記しました。そしてついに天保13年(1842年)8月20日、馬琴はお路の協力のもと南総里見八犬伝を書き上げたのです。
さて南総里見八犬伝は室町時代後期の物語です。安房国の里見家の姫・伏姫と神犬八房の因縁によって結ばれた八犬士を主人公です。
結城合戦で敗れ安房に落ち延びた里見義実は滝田城主を誅した山下定包を討ち果たします。定包の妻・玉梓は助命しようとしましたが部下に反対されます。玉梓は里見家への恨みの言葉を残して絶命します。時はくだり義実は隣国の館山城主・安西景連の攻撃を受けますが、義実は愛犬八房に景連の首を取ってきたら娘の伏姫を与えると戯れ言を口にします。八房は景連を討ち取り、その功績から八房は犬でありがながら伏姫とともに山の洞窟にこもりました。
伏姫は洞窟で毎日読経して暮らしました。しかし八房が玉梓の呪いを負っていたことを知ります。その呪いは読経で打ち消されていましたが、伏姫は八房の気を受けて懐妊していました。姫の許婚の金碗大輔が鉄砲で八房を倒しますが、このとき伏姫も傷を負ってしまいます。懐妊していた伏姫は胎内に犬の子はいないと純潔を証明するため大輔と義実の前で自らの命を絶ってしまいます。このとき、伏姫が幼い頃から持っていた数珠から八つの玉が飛び散ちりました。それぞれの玉には仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の字が浮かび上がる霊玉で、後にそれらの霊玉が姓名に犬の文字をもつ8人の若者に渡り、彼らは八犬士となります。大輔は出家してゝ大法師となり八つの霊玉をもとめて旅に出る。八犬士たちとめぐり会ったゝ大法師は八人を里見義実のもとへ連れ帰り里見家の家臣としました。そして里見家は幾多の危機を八犬士の働きで乗り越えていきます。
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