オペラ「ウィリアム・テル」初演(1829年8月3日)
スイスの伝承に登場する英雄ウィリアム・テル。クロスボウの名手で息子の頭上をリンゴを射貫いた物語は有名です。ウィリアム・テルは14世紀の初めにスイスのウーリ州の州都アルトドルフに住んでいたとされ息子の頭上のリンゴを射貫いたのもこの地で行われたとされています。
当時、アルトドルフではハプスブルク家に仕えていたオーストラリア人代官のヘルマン・ゲスラー(アルブレヒト・ゲスラー)が悪政をふるい民衆の反感を買っていました。伝承によると悪代官ゲスラーは1307年にアルトドルフ中央広場に自分の帽子をかけてポールを立て、民衆に帽子に向かって一礼する規則を強要しました。
ウィリアム・テルはこの規則に従うことを拒否したため、ゲスラーに死を選ぶか、息子の頭上のリンゴを射貫くかを命じられました。クロスボウの名手だったウィリアム・テルは見事に息子の頭上のリンゴを射貫く方を選び、見事に一発でリンゴ射貫きました。ウィリアム・テルは放免されるはずでしたが、ゲスラーになぜ矢を2本持っていたのかと問われ失敗したら2本目の矢でゲスラーを射貫くつもりだったと答えたため逮捕されてしまいました。
ゲスラーはキュスナハトの街に所有していた自身のゲスラー城(キュスナハト・アム・リギ城)にウィリアム・テルを連行することにしました。そのためアルトドルフとキュスナハトの間にあるルツェルン湖をボートで渡りましたが、このとき湖上で強風が吹いたためウィリアム・テルを逃してしまいました。その後、ウィリアム・テルはゲスラーを待ち伏せし討ち果たします。悪代官ゲスラーがいなくなったことにより民衆が立ち上がりオーストリアの支配からの独立運動が始まりスイスが建国されました。
ウィリアム・テルやヘルマン・ゲスラーが実在していたどうかはわかっていません。しかし、スイスの人々の多くがウィリアム・テルが実在していたと信じています。
ウィリアム・テルの伝承はイタリアのジョアキーノ・ロッシーニ作曲のオペラ「ウィリアム・テル(現代ギヨーム・テル)」が有名です。このオペラはドイツのフリードリヒ・フォン・シラーが1803年に出版したスイス独立運動を題材にした「ヴィルヘルム・テル」が原作です。フリードリヒ・フォン・シラーはベートーヴェンの交響曲第9番「合唱付き」の原詞の作者です。
ロッシーニは「ヴィルヘルム・テル」をフランスのオペラにするため5ヶ月かけて作曲を行いました。そして1829年8月3日に王立音楽アカデミー劇場で初演が開幕しました。
ジョアキーノ・ロッシーニ《ウィリアム・テル》序曲
指揮:ヘルベルトフォンカラヤン 演奏:ベルリンフィルオーケストラ
有名な序曲 フィナーレは8分40秒から
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