ウルトラセブン第43話「第四惑星の悪夢」は夢だったのか
ウルトラセブン第43話「第四惑星の悪夢」。テストパイロットとして最新鋭の宇宙ロケットスコーピオン号に搭乗するダンとソガ。
スコーピオン号はその航路や状態を計器が弾き出し、地球上のスタッフがそのデータを見ながら操縦する仕組みになっている。テストパイロットの2人は何もせずに眠っているだけで良いのである。打ち上げが成功し計器飛行に切り替わると、ダンとソガは操縦を電子計算機に任せて睡眠装置による睡眠テストに入った。
地球でスコーピオン号を見守るアマギ。スコーピオン号のコースが外れていることに気がつきキリヤマ隊長に報告する。起動制御装置や電子計算機は正常なのにコースを勝手に外れていくスコーピオン号。ダンとソガは20日間の睡眠に入っているからロケットの故障を伝えることができない。「今ごろ夢を見ているわ、きっと」とアンヌが気遣う。
どこかの星にたどりついたスコーピオン号。先にダンが目覚める。ダンは計器をのぞいて「あれから30日が経過している」とつぶやく。一方、地球ではウルトラ警備隊がスコーピオン号の行方を完全に見失っていた。
ダンがのぞいた計器はテレビの画面では見にくいのだが画像処理で明るくしてみると日付が2000-8 30と表示されていることがわかる。左下の時計は、あと何秒を表示する減算型の1分計だろうか。長針と短針があるようにも見える。
さて、ここで疑問が生じる。ダンとソガが地球を出発したのはいつだったのだろうか。
ダンの「30日間が経過している」という発言から単純に判断すると出発日は2000-8 01と考えることもできる。しかし、ウルトラセブンの時代設定は1980年代と言われている。実際には、多くのエピソードを見てみると1960年代後半の出来事や事実もたくさん出てくる。さすがに2000年ということはないように思う。
「第四惑星の悪夢」は映画「猿の惑星」の世界観を意識していたようだ。「猿の惑星」は人類が猿に支配された世界であるが「第四惑星の悪夢」は人類がロボットに支配された世界である。そして「猿の惑星」では主人公が自由の女神像を発見することでそこが未来の地球であったことを知る。一方の「第四惑星の悪夢」は地球にそっくりな世界ではあるが未来の話であることを示す描写はない。日付はスコーピオン号の時計が示した2000-8 30のみである。
ここでロボット長官の発言を振り返ってみよう。
ロボット長官「お前たちのロケットを誘導してこの惑星に着陸させたのは我が第四惑星の優れた科学技術だ。ここは地球から約120万億キロは離れた第四惑星だ。この惑星も昔は人間が支配していたのだ。ワシの記憶装置によると、えっと、あれは2000年も前のことだ。人間は我々ロボットを生み出したからというものすっかり怠け者になってしまって、つまりやることがなくなったわけさ。そのうちロボットに取って代わられたというわけだ」
この発言から判断できることは
・第四惑星がスコーピオン号を導いたこと
・第四惑星は地球から120万億キロメートル離れた惑星で地球ではないこと
・第四惑星でロボットが人間を支配するようになったのは2000年前であること
120万億はわけがわからない表記だが120万×1億としよう。つまり120,000,000,000,000キロメートルということだ。光速は時速30万キロメートルだから、
120,000,000,000,000/300,000=400,000,000秒=111,111時間=4,629日=約12.7年
である。
つまり地球から第四惑星まで光でも12年以上かかるのである。往復で25年である。ダンとソガが第四惑星を訪れて地球に帰ってくるまでそんなに時間がかかっていたとは考えられない。
ロボット長官は第四惑星がスコーピオン号を導いた言っているので地球の科学技術を超える方法で誘導した可能性があるかもしれない。スコーピオン号は時空を超えて第四惑星へたどり着いたのだろうか。だから到着したときに計器が示した日付が2000年になっていたのではないだろうか。一方でロボットの世界が崩壊した後、どうやって地球に戻ってきたのかについても疑問も残る。帰りは第四惑星の科学技術は使えないだろうからスコーピオン号で自力で帰らなければならない。すると帰りは12.7年かかることになる。
いやちょっと待てよ。ウルトラセブンがいるではないか。ウルトラセブンは地球と土星の間を15時間で往復している(第22話「人間牧場」)。ウルトラセブンの飛ぶスピードはマッハ7であるがマッハ23,000でなければ15時間で地球と土星は往復できない。また仮にマッハ2,3000で飛んだとしても時速は約2千820万キロメートルであるからわずか30日間で第四惑星にたどり着くことはできない。そうなると考えられるのはウルトラセブンのはテレポーテーションである。
手口はこうだ。ダンとソガがスコーピオン号に乗り込み睡眠装置に入る。ダンは睡眠装置のスイッチを入れずソガが睡眠に入るとウルトラセブンに変身しウルトラ警備隊がスコーピオン号を見失ったところまでテレポテーションする。そしてダンに戻り睡眠装置に入る。あとはスコーピオン号を補足したウルトラ警備隊が地球まで送り返してくれる。見失ったスコーピオン号が再び同じ場所に現れたのだから疑われることもないだろう。2人は睡眠していたことになる。
こうしたややこしいことを全て解決してしまう答えが「第四惑星の悪夢」はダンとソガが見た悪夢だったとということである。睡眠装置が2人の脳に働きかけて同じバーチャルな世界を体験させたと考えることができる。
いや待てよ。ひょっとしてスコーピオン号の計算機がロボット長官だったのではないだろうか。ロボット長官が言っていた2000年前の話。あれは地球のことだったのかもしれない。スコーピオン号の計算機は世の中の全てのコンピュータに遺伝子を残しながらネットワークを介して成長しているではないだろうか。それがいつかロボット長官システムとして起動し始めるのかもしれない。
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