ネス湖のネッシーの写真が新聞に掲載(1934年4月21日)
ネッシーはイギリス・スコットランドのネス湖に生息しているとされる未確認動物(UMA)です。ネス湖の怪獣(ロッホ・ネス・モンスター)とも呼ばれます。
ネッシーの最古の記録は西暦565年まで遡ります。アイオナ修道院を創設した聖コルンバの伝記に布教活動中に凶暴な「水獣」をネス川の底に追いやったという記述があります。この「水獣」がネッシーとされていますが、「水獣」の伝承は各地に存在するため後になってネッシーと結びつけられたという見解があります。
ネッシーの目撃の報告は1933年を境に急増しますが、これはネス湖周辺の道路が整備され多くの人がネス湖を訪れるようになったからです。同年5月2日、スコットランドの地元紙「インバネス・クーリエ」は湖の中に鯨のような巨大な生物がいたという目撃談を報じています。その後も目撃談やイラストや不鮮明な写真が公開されましたがネッシーの存在を裏付けるような証拠は見つかりませんでした。
1934年4月21日、イギリスのダブロイド誌「デイリー・メイル」に湖面に浮く身体から伸びる首と頭部が写ったネッシーの写真が掲載されましたこのネッシーの存在を裏付けるような決定的な写真は婦人科医ロバート・ケネス・ウィルソンによって撮影されたもので誌上では「外科医の写真」として紹介されました。この写真はカワウソや水鳥であるという指摘やその大きさや波の立ち方が不自然という指摘などもありましたがネッシーが話題に上がるたびにネッシーの写真と報じ続けられました。
1970年代、子どもの頃にテレビ番組や雑誌などで世界のミステリーの特集があるとUFOや雪男と並んで登場するのがネッシーでした。テレビ番組では目撃談を紹介し英語でしゃべっている目撃者に「あれは月が明るく輝く夜、わしはこの道脇に車を止めてネス湖を眺めていたんだ」というような日本語のアテレコが入ります。そして捜索隊がボートでネス湖に出ます。水中レーダーを使ってネッシーの捜索を行いますが結局は発見できずに「今回我々はネッシーに遭遇することはできなかったがネッシーはこのネス湖のどこかに潜んでいるはずである!」と終わるのです。毎度同じ展開なのですがワクワクしながら見たものです。番組の影響か日本にも屈斜路湖の「クッシー」、池田湖の「イッシー」などの目撃例が出るようになりました。1977年にはニュージーランド沖で発見された生物の死体が「ニューネッシー」と呼ばれました。
いずれにしろネッシーが恐竜の仲間だとすると相当数の個体が生息しているはずですし、彼らは呼吸をするため頻繁に湖面から顔を出すことからもっと目撃例が多くなるはずです。ソナーを使った科学的な調査でも湖の中に大きな生物が存在していることは確認できませんでした。ネス湖が海とつながっているいう説も否定され、地質学的にもネス湖の湖底に巨大な洞窟もないことがわかっています。少なくても科学的にはネッシーの存在は否定され続けたのです。
ネッシーの話を忘れかけていた頃、目にしたのが「外科医の写真」はフェークだったというニュースでした。このニュースの元記事は1994年11月にイギリスの新聞「デイリーテレグラフ」の日曜版サンデーテレグラフに掲載されたものです。この記事によると1993年11月にクリスチャン・スパーリングなる人物が「外科医の写真」が偽物であることを告白して亡くなりました。スパークリングは養父のマーマデューク・ウェザラルと一緒に潜水艦の模型に首と頭を取り付けた「ネッシー」を湖面に浮かべて写真を撮影、医師のウィルソンが撮影したことにしたそうです。ジョークのつもりが世界的な話題になってしまい60年間も真実を語ることができなかったそうです。
自分は長い間「外科医の写真」は潜水するカワウソの身体と尾の写真を偶然に撮影したものと思っていたました。まさか潜水艦に首と頭を付けたネッシー模型の写真だったとは衝撃的な事実でした。
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