史上最大の明るさ 超新星SN 1006が現れる(1006年4月30日)
西暦1006年4月30日から5月1日にかけて南の地平線近くの夜空のおおかみ座に金星の16倍、月の1/4から1/2ほどの明るさの天体が現れたという記録が各地に残っています。この天体は出現から約3ヶ月の間明るく輝いた後いったん暗くなりましたが、再び明るさを取り戻し18ヶ月間の間輝き続けました。この不気味に明るい天体の出現は当時の人々には畏れを抱くものだったようで多くの占星術師が悪事の前触れと考えました。中国では国家繁栄をもたらす吉兆星と捉えられました。
この天体の正体は地球から7200光年離れたところに存在した超新星SN 1006です。SN 1006は太陽と月を除く天体の中で史上最大の明るさを記録した天体です。視等級は-7.5等だったと推定されており地面に影を作るほど明るく昼間でも見ることができたと記録されています。スイスでの観測記録には「この星は時に収縮し、時に拡散し、そのうえ時には消えてしまうこともあった」と記述されています。これはIa型の超新星の特徴とよく合致しています。
この超新星は爆発してしまったため観測することはできなくなりました。しかしながら1940年に電波望遠鏡が開発され電波天文学が発展すると、1965年にオーストラリアのパークス天文台がおおかみ座β星付近に淡い球状の星雲を発見しました。この星雲からのX線、可視光線、ガンマ線も観測されました。この星雲がIa型超新星SN 1006の残骸だったのです。Ia型超新星は核融合を終えて寿命が尽きた恒星の残骸である白色矮星の爆発によって生じます。この残骸の中心にはパルサー(中性子星)やブラックホールは見つかっていません。
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