ロールス・ロイス社の創業(1906年3月15日)
ロールス・ロイスと言えば高級な自動車や航空機エンジンの製造で有名なブランドです。現在は自動社はドイツのBMWの子会社ロールス・ロイス・モーター・カーズが製造・販売を手がけ、航空機エンジンをはじめとする工業機械はロールス・ロイス・ホールディングスが製造・販売を手がけいます。この2つの会社はその起源は1906年に創立されたロールス・ロイス社ですがお互いに独立した企業です。
ロールス・ロイスの社名の由来は2人の創業者の名前に因んでいます。1人はイギリスで欧州車の輸入代理店を経営していたチャールズ・スチュアート・ロールズ、もう1人はイギリスで電気機器メーカーを経営していたフレデリック・ヘンリー・ロイスです。
ロールズはイギリスの裕福な家庭に生まれ学生の頃からエンジンに興味を持ち始めモーター・スポーツの幕開けに貢献しました。やがて技術者より自動車業界のビジネスマンとして能力を発揮するようになり、1903年にイギリスで初の自動車輸入販売代理店「C.S.ロールス社 (C.S.Rolls & Co.) 」をクロード・グッドマン・ジョンソンと設立し自動車の輸入・販売を始めました。当時のイギリスには優れた自動車を開発する技術がなく、ロールズとジョンソンは国産の優秀な自動車の登場を期待しました。
一方、ヘンリー・ロイスは貧しい家庭に生まれ苦学して電気技術者になりました。1884年に知人と電気器具製造メーカー「F.H.ロイス社 (F. H. Royce Co.)」を設立しました。ロイスは安全な発電機とモーターや小型クレーンを開発し事業に大成功します。
1902年、ロイスはフランスのドゴービル社製の自動車「12HP」を購入しましたが、あまりの故障の多さに呆れその実用性の低さに強い不満を抱きました。この頃、電気機器の競合他社が台頭し始め、ロイスと共同経営者アーネスト・クレアモントは競争の激しい電気機器の製造・販売だけでは会社の存続は危うくなる考えていました。
そこで自動車の将来性を高く評価していたロイスは自動車の自社開発を手がけることを決断しました。そして2年間の開発期間を経て1904年に直列2気筒1,800 ccエンジンを搭載した自動社「10HP」を発売しました。この「10HP」を購入したヘンリー・エドマンズは「10HP」が非常に優れた自動車であることを実感しました。
エドマンズはロールズの知り合いでロールズがイギリス製の優秀な自動車の登場を心待ちにしていることを知っていました。エドマンズは「10HP」をロールズに紹介、1904年5月にローロズとジョンソンに引き合わせました。「10HP」を見て感銘したロールズとジョンソンはロイスが製造する自動車の販売を手がけることにしました。
当初はロールス社とロイス社は別会社でロールス・ロイスブランドの自動車の製造・販売を手がけましたが、イギリス国内製の優秀な自動車として人気となりました。こうしてロールズとロイスによって1906年3月15日にロールス・ロイス社が創立されたのです。
ロールス・ロイス社の創立時「陸上、水上、空中で使用するエンジンを製造する」という目標が掲げられていました。ロールス・ロイス社はこの目標通りの会社として成長したのです。日本の国産旅客機YS-11にもロールス・ロイスのエンジンが採用されています。
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