エッフェル塔落成記念日(1889年3月31日)
パリのシャン・ド・マルス公園の北西に位置するエッフェル塔。このフランスの象徴的な建造物は1889年にパリで開催されたフランス革命100周年を記念する第4回万国博覧会に向けて建造されました。
18世紀から19世紀にかけて起こった産業革命により工業化が進むと、ヨーロッパ各国で高さ150メートル程度の高層の教会が建造されるようになりました。1884年に米国ワシントンD.C.に独立戦争における初代大統領ジョージ・ワシントンの功績を称えるワシントン記念塔が建造されると、この高さ169メートルのオベリスクが世界最大の建造物となりました。第4回万国博覧会がパリで開催されることが決まったはこの年でした。
第4回万国博覧会を構想するに当たってフランス革命100周年にふさわしい人目を引くような特段のプロジェクトはありませんでした。そこで高さ300メートルの鉄塔を建ててパリの万博博覧会のシンボルとしようと考えたのが建設会社エッフェル社の鉄骨構造物研究部長モーリス・ケクランと組立工法部長エミーユ・ヌーギエでした。2人は1884年6月に4脚で立つ鉄塔の原案を作成しましたが、そのデザインは鉄塔としては技術的に優れていましたが万国博覧会にふさわしいものではありませんでした。そこで建築部長ステファン・ソーヴェストルが原案に修正を加え、1階部分を万国博覧会のゲートを彷彿させるアーチ状にすることによってプランが完成しました。その後、エッフェル社の社長ギュスターヴ・エッフェルがエッフェル塔の建設実現に尽力しました。1886年に開かれた万博博覧会の建造物のコンペティションでエッフェル塔が満場一致で選ばれました。
エッフェル塔はシャン・ド・マルス公園に建設されることになり、1887年1月28日に起工式が行われました。4本の脚から建設が始まり、翌1888年3月に1階展望台、8月に2階展望台が完成し、1889年3月30日に竣工しました。同年3月31日に当時のフランス首相ピエール・エマニュエル・ティラールらを招いて竣工式が行われ、この日がエッフェル塔落成記念日となりました。建設当時、エッフェル塔は高さ312.3メートルで世界一高い建造物となりました。
エッフェル塔の総工費は650万フランでしたがフランス政府からの補助金は150万フランしかありませんでした。しかも1909年にエッフェル塔をパリ市に寄贈するという条件付きでした。エッフェルは総工費を自ら金策し、1909年までの入場料を建設費の返済に当てました。
1889年のパリ万国博覧会ではエッフェル塔は大人気となりたくさんの人々が訪れました。1900年に万国博覧会が再度パリで開催されることになると再び多くの人々が訪れましたが、やがて入場者数は減少していきました。そのため1909年のパリ市への寄贈後は解体される見込みとなりました。しかしながら、1904年に軍事用無線電波をエッフェル塔で送受信することになり解体を免れました。以降、エッフェル塔は観光用ランドマークとしてだけでなく重要な電波塔として活躍することになりました。1957年にはアンテナなどの設置により高さ321メートルとなりました。
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