漱石の日「夏目なにがしで暮らしたい」(1911年2月21日)
2月21日は「漱石の日」です。夏目漱石の誕生日は1867年2月9日〈慶応3年1月5日〉で忌日は大正5年(1916年)12月9日です。なぜ2月21日が「漱石の日」とされたのでしょうか。
明治44年(1911年)2月20日、文部省は多くの文学作品を著した文豪の夏目漱石に対し文学博士を授与することを伝えたました。これに対して漱石は「夏目なにがしで暮らしたい」と翌日2月21日付けの文学博士の授与を辞退する旨の手紙を文部省専門學務局長の福原鐐次郎に送りました。漱石が送った手紙の内容は下記の通りです。この手紙に由来して2月21日は「漱石の日」とされました。
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拝啓、昨二十日夜十時頃私留守宅へ(私は目下表記の處に入院中)本日午前十時學位を授興するから出頭しろと云ふ御通知が参ったそうであります。
留守宅のものは今朝電話で、主人は病氣で出頭しかねる旨を御答えして置いたと申しておりました。
學位授興と申すと、二三日前の新聞で承知した通り、博士會で小生を博士に推薦されたに就て右博士の稱號を小生に授興になる事かと存じます。然る處小生は今日までたゞの夏目なにがしとて、世を渡って参りました。
是れから先も矢張りたゞの夏目なにがしで暮らしたい希望を持つて居ります。従って私は博士の學位を戴きたくないのであります。此際御迷惑を掛けたり、御面倒を願つたりするのは不本意でありますが、右の次第故學位授興の儀は御辭退致したいと思ひます。宜敷御取計を願ひます。
敬具
二月二十一日夜 夏目金之助
専門學務局長福原鐐次郎殿
===
學位:学位 授興:授与 稱號:称号 此際:この際 辭退:辞退
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