映画「街の灯」米国で公開(1931年2月6日)
チャーリー・チャップリンの映画「街の灯」は1931年2月6日に米国で封切りとなりました。
「街の灯」は浮浪者の男と盲目の花売りの少女の物語です。浮浪者は手に入れたお金を街角で花売りをしている盲目の少女に渡します。浮浪者は強盗と間違われて刑務所に入れられてしまいます。少女はそのお金で手術をして視力を取り戻し花屋を開きます。少女は自分にお金をくれた人はさぞかし富豪の男性と思い込み、毎日店にやってくる金持ちの男性を見ては自分を助けてくれたのはこの人ではないかと考えるようになります。
時は流れ街に戻ってきたのが刑務所から出てきた浮浪者でした。浮浪者は少女が視力を回復し花屋で働いているのを見て言葉を失い立ちすくんでしまいます。少女はみすぼらしい姿をした浮浪者を見て笑っていましたが、浮浪者を哀れみ呼び止めます。そして少女は一輪の花と小銭を浮浪者に手渡します。盲目だった少女は男の手を取ったその瞬間にこの浮浪者が自分を助けてくれた人であることに気が付き「You?(あなたなの?)」と声をかけます。浮浪者は恥じらいながらも優しい笑みを浮かべて少女の問いかけに頷くような表情を見せるのでした。
さてチャップリンの映画のヒロインと言えばエドナ・パーヴァイアンスやポーレット・ゴダードが有名ですが「街の灯」のヒロインはヴァージニア・チェリルという新人の女優さんでした。ヴァージニアはもともと女優にはあまり興味がなかったようでシカゴでの舞台出演の機会も断っています。チャップリンとヴァージニアの出会いはハリウッドで行われたボクシングの会場でチャップリンがヴァージニアにスクリーンテストを受けるように誘ったという説とサンタモニカで水着の撮影をしていたヴァージニアをチャップリンが気に入りスクリーンテストを受けるよう電話をかけたという説があります。どちかが本当なのかはわかりませんが後者はチャップリン自身の説明によるものです。
「街の灯」のスクリーンテストでは盲目の少女を演じられるかが重視されました。チャップリンを満足させる演技ができたのはヴァージニアだけであり、ヴァージニアは「街の灯」のヒロインに選ばれました。しかし、撮影を進めるうちにヴァージニアとチャップリンの反りが合わないことが露呈します。あるときヴァージニアは重要なシーンを撮影する直前になって美容室の予約を理由に早退して撮影現場を離れてしまいます。チャップリンはヴァージニアのこの行動に怒り契約を解除、当時既に映画会を離れていた「黄金狂時代」のヒロインを演じたジョージア・ヘイルに声をかけました。ジョージアが演じる花売りの少女のテストフィルムが撮影されましたが、チャップリンの側近であり広報担当のカーライル・ロビンソンがヴァージニアの解雇に忠告し、チャップリンはヴァージニアを復帰させることにしました。これに対してヴァージニアは知人の入れ知恵によりチャップリンに対して週給を2倍アップの150ドルにするよう求めました。チャップリンは再契約に応じヴァージニアを被ヒロインとした「街の灯」の撮影が再開されました。チャップリンもヴァージニアも吹っ切れたのか撮影はかつての雰囲気とは打って変わって順調に進み1930年10月30日にクランクアップしました。
「街の灯」の浮浪者と花屋の少女のシーンが奥深いものとなったのは微妙な関係を吹っ切ったチャップリンとヴァージニアの演技の賜物だったのかもしれません。
完成した「街の灯」は1931年1月30日にロサンゼルスでプレミア公開されたました。このときアルベルト・アインシュタインがチャップリンの隣で映画を鑑賞しました。同年2月6日に封切られると映画は全米で大ヒットしました。日本で公開されたのは 3年後の1934年1月13日です。
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