昭和に発見されたカワヅザクラ(河津桜)
3月から4月にかけて開花するソメイヨシノよりも一足先に開花が始まるのがカワヅザクラ(河津桜)です。ソメイヨシノは江戸時代後期から知られているサクラですが、カワヅザクラは昭和30年(1955年)2月に静岡県賀茂郡の河津川沿いで高さ1メートルほどの若木が発見されました。
若木を発見した河津町田中の飯田勝美さんが自宅の庭先に植えたところすくすくと育ちましたが開花を始めたのは11年後の昭和41年(1966)年でした。1月下旬から淡紅色の花が1ヶ月間の長きに渡り咲き続け満開となり地元で話題となりました。やがて飯田家の屋号から「小峰桜」と呼ばれるようになり人々に親しまれるようになりました。小峰桜は昭和43年(1968年)頃から伊東市の勝又光也さんによって増殖され普及されるようになりました。
その後、小峰桜の早咲きと長期間に渡る開花について学術的な調査が行われ、小峰桜はこれまでに確認されていなかった日本固有種のオオシマザクラと本来は本州より南に自生するカンヒザクラの自然交雑から生まれた栽培品種であることがわかりました。一般に野生の植物は昆虫の活動が始まる前に開花すると受粉ができなくなるため寒い時期に開花しません。小峰桜は南方のカンヒザクラが交雑しているため開花時期が早まったと考えられています。小峰桜は日本原産の栽培品種として昭和49年(1974年)にカワヅザクラ(河津桜)と名付けられ、昭和50年(1975年)に河津町の木に指定されました。開花時期が早いカワヅザクラは野生では生き残ることが難しかったはずですが珍しい自然交雑種ゆえに人の手によって増殖されるようになったのです。
飯田勝美さんが発見した若木はカワヅザクラの原木として現在も存在しています。樹齢は65~75年とされています。河津町ではこの原木を始祖とした河津川河口から約3キロメートル続く「河津桜並木」があります。毎年2月から3月にかけて「河津桜まつり」が開催され、一足早く咲く桜を楽しもうと多くの観光客がやってきます。
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