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2021年12月24日 (金)

きよしこの夜の初演(1818年12月24日)

 「きよしこの夜」は言わずと知れたクリスマスに歌われる有名な讃美歌です。オーストリアで作詞・作曲されドイツ語の原題は「Stille Nacht」、英語の題名は「Silent Night」です。この有名な讃美歌の誕生にちょっとした裏話があることをご存じでしょうか。

 「きよしこの夜」はオーストリアのオーベルンドルフの聖ニコラウス教会のヨゼフ・モールが作詞し、この教会でオルガン奏者をしていた教師のフランツ・クサーヴァー・グルーバーが作曲したものです。この曲の作曲者がグルーバーであることは知られていましたが、作詞者は長らく不明でした。しかし、1995年にモーアの自筆の原稿が見つかり、そこにはモーアが1816年に作詞しグルーバーが1818年に作曲したことが書かれていました。

 「きよしこの夜」は1818年12月24日のクリスマスイブに初演されましたが、モーアがグルーバーに詩を渡して作曲を依頼したのは当日だったようです。しかも、モーアはグルーバーにオルガンではなくギターによる伴奏の作曲を依頼しました。当時ギターは酒場で演奏される楽器で協会で演奏されるようなことはなかったのです。急遽出来上がった曲はモーアがギターで伴奏しながら第1パートを歌い、グルーバーが第2パートを歌いました。

「きよしこの夜」グルーバーの自筆の楽譜
「きよしこの夜」グルーバーの自筆の楽譜

 どうして「きよしこの夜」は当日に作曲することになったのか、しかもオルガン伴奏ではなくギター演奏だったのかについては本当のところは良く分かっていないませんが興味深い伝承が残っています。

 その伝承とはクリスマスイブの前日にネズミがオルガンの蛇腹をかじったためオルガンの演奏ができなくなったというものです。1909年にヨーゼフ・ゴットリーブがオルガンが故障していたと指摘し、1943年にジャーナリストのヘルタ・パウリがネズミが蛇腹をかじった話を書いています。ネズミの話は初演から136年後に出てきた話であり、ギター伴奏の経緯にネズミが関わっていたという確証はないようです。一方、オルガンが故障していたという話については、オルガンは演奏可能な状態ではあったが修理が必要な状態だったようで1819年に修理されたという記録が残っています。

 また、別の伝承としてはヨーゼフとグルーバーは「きよしこの夜」を公式な礼拝後に歌う予定で最初からギター伴奏にすることを決めていたという話もあります。

 いずれにしても故障していたオルガンの修理にやってきたオルガン職人カール・マウラッハーは「きよしこの夜」を聞いてすっかりに魅了されてしまい曲を持ち帰りました。旅回りの歌の一座が「きよしこの夜」をレパートリーに取り入れたことにより世に広く知られるようになりました。オーストリアのフランツ・ヨーゼフ1世、ロシアのアレクサンドル1世も「きよしこの夜」を聴いており、プロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム4世はお気に入りの歌だったようです。原曲のメロディは現在知られているものとは若干異なっていましたが、演奏されていくうちに現在のメロディになりました。

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