黄八丈の糸を紡ぐお婆さん(昭和39年1月)
八丈島に伝わる草木染めの絹織物「黄八丈(きはちじょう)」。伝統工芸品の黄八丈は八丈島に自生するコブナクサ「八丈刈安」の全草で染めた明るい黄色の糸、マダミ(タブノキ)の樹皮で染めた鳶色(とびいろ)の糸、スタジイの樹皮で染めた糸を泥で鉄媒染した黒色の糸を使って縞模様や格子模様に織った絹織物です。
八丈島には昔から流罪となった流人が暮らしていました。公式な記録では1600年(慶弔5年)関ヶ原の合戦で石田三成率いる西軍の副大将だった宇喜多秀家が最初の流人とされていますが、それよりも以前から流人が暮らしていたと考えられています。絹織物の技術も流人によってもたらされたものと考えられており、室町時代には八丈の絹が貢納品として納められていました。黄八丈の織物技術は寛政(1879年~1801年)の時代に完成したと考えられています。
次の写真は昭和39年1月に八丈島を訪れたときに撮影した写真です。写真の記録によると八丈島のお婆さんが黄八丈の色を紡いでいるところだそうです。
コブナグサはイネ科の植物で雑草ですが、この全草を煎じて得られた染料はたいへん美しい黄金色となります。タブノキが八丈刈安と呼ばれるのは日本ではイネ科の刈安(カリヤス)が黄色(刈安色)に染めるのに使われていたからです。マダミ(タブノキ)はクスノキ科の木です。樹皮から得た染料に糸を何度も漬けて鳶色(とびいろ)の糸を作ります。スタジイはブナ科の木です。樹皮で染めた糸を沼で泥付けするとスタジイのタンニンと泥中の鉄分が結びついて黒色の糸となります。
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