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2021年11月19日 (金)

東海道本線の全線電化(1956年11月19日)

 昭和31年(1956年)の経済白書の「日本経済の成長と近代化」の最後に「もはや戦後ではない」という言葉が記されています。これは前年の昭和30年(1955年)の国民総生産(GP)が戦前の水準を超え、戦後の高度成長時代が始まり神武景気を迎えたことを意味していました。「もはや終戦ではない」は国民の間で流行し、多くの人々が将来に向けて希望を持ち始めたのです。

 昭和31年(1956年)11月19日、日本国有鉄道(国鉄、現JRグループ)の東海道本線の米原ー京都間が電化され、これによって東京から神戸まで東海道本線の全線が電化されました。電化前はC62形蒸気機関車が特急「つばめ」や「はと」として東京-大阪を結びましたが、電化後はEF58形電気機関車に置き換えられました。これによって東京ー大阪の所要時間が30分短縮され7時間30分となりました。

 昭和33年(1958年)、151系(20系)の特急電車「こだま」の運行が始まり、東京ー大阪を6時間50分で結びました。「こだま」は国鉄で初めての電車による有料の長距離特急列車となりました。電車の特急がしばらく登場しなかったのは、電車の騒音が大きく乗り心地が良くなかったからです。先頭の動力車が客車を引く機関車の方が乗り心地が良かったため、とりわけ長距離の特急列車は機関車が牽引していたのです。しかしながら、技術の向上により電車の性能が向上し20系電車(後に151系に変更)が開発され「こだま」が登場することになったのです。

特急こだま
特急こだま

 「こだま」は機関車と異なり客車にも動力が搭載された動力分散方式を採用しています。機関車が客車を牽引する動力集中方式よりも速度を向上できることからその後の多くの電車や気動車で採用されるようになりました。電車の台頭により幹線を中心に鉄道の電化が全国で進められました。

 1964年10月1日に開業した東海道新幹線の0系は技術の粋を集めた動力分散方式の高速列車で未来を予想させる高度成長時代の象徴にもなりました。

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