米国サターンロケットの打上げに成功(1961年10月27日)
米国の人類初の月への有人宇宙飛行を目指したアポロ計画で使用されたサターンロケット。サターンロケットの開発は元ドイツのロケット科学者で第二次世界大戦のドイツ降伏後に米国に亡命したヴェルナー・フォン・ブラウンが中心となって行われました。ブラウンは戦中にドイツでV-2ロケットを開発していましたが、宇宙ロケットの夢を語りすぎたため親衛隊と国家秘密警察に逮捕されました。V-2ロケットの完成にはブラウンが必要でしたが、国家秘密警察はブラウンを釈放しませんでした。国家秘密警察を懸命に説得しブラウンを釈放させたのはヒトラーでした。
米国に亡命した後、ブラウンは1950年代半ばまで米国陸軍で弾道ミサイル用のレッドストーンロケット(PGM-11)を開発しました。ブラウンはロケットの宇宙開発での平和利用を望み1952年に宇宙ステーションの概念を発表、ディズニーの宇宙映画の技術監督を長らく務めました。その後、ブラウンはレッドストーンを改良したジュピターCロケットを開発、1958年1月に人工衛星エクスプローラー1号の打ち上げに成功しました。米ソ冷戦下の宇宙開発競争のもとのことでしたが、ブラウンの夢が叶い始めたのです。
そして、1961年4月12日にソ連がガガーリンの有人宇宙飛行の成功すると、米国は宇宙開発の遅れに危機感をもち人類初の月着陸を目標としたアポロ計画を立ち上げました。アポロ計画に必要とされたロケットに求められたものは過去に米国が打ち上げたどのロケットよりもはるかに大型で燃料をたくさん積み込むことができ高推進力を有することでした。
ブラウンは1957年4月にアポロ計画で地球周回軌道に衛星を乗せることを目的としたロケットの開発に着手しました。このロケットはジュピター(木星)ロケットの後に開発されたことからサターン(土星)ロケットと名付けられました。
サターンロケットの初号機サターンI SA-1は1961年10月27日にフロリダ州ケープカナベラル宇宙基地34番発射台から打ち上げられました。サターンロケットは開発途上だったためSA-1はダミーの頭部を取り付けた一段目ロケットが発射されました。SA-1は高度136.5 kmに達し、ケープカナベラルから345.7 km離れた大西洋上に落下しました。
SA-1は無人ロケットでその飛行時間は15分、地球周回軌道には到達しませんでしたが、将来人類を月面まで運ぶことになるサターンV型ロケット開発につながる第一歩となりました。
【関連記事】
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