クレマン・アデールが世界初の動力飛行に成功(1890年10月9日)
フランスの発明家クレマン・アデール。グラハム・ベルが発明した電話の改良して1880年にパリに電話網を築いたり、1881年に史上初のステレオ放送「テアトロフォーン」を発明したり、1903年にV8気筒エンジンを考案したりするなど、電気工学や機械工学の分野で活躍しました。
アデールがV8気筒エンジンの開発に続いて取り組んだのが航空機の動力飛行の研究でした。アデールはフランスの航空研究家のルイ・ピエール・ムイヤールの研究成果に基づいて、1886年に最初の飛行機械「エオール号」を製作しました。
エアール号はコウモリのような形をした単葉機でアデールが開発した全重量51 kg、定格出力20馬力(15kW)、4気筒、4枚羽根プロペラの軽蒸気エンジンを搭載していました。アデールは1890年10月9日にエアール号の試験飛行を行いました。総重量300 kgのエオール号は宙に浮かび上がり高度20 cmで距離50 mを飛ぶことに成功したのです。ライト兄弟の初飛行に先立つこと13年前に、エアール号の飛行は非制御ながら史上初の動力飛行を成し遂げていたのです。アデールは続いて「アビオンII号」を製作しました。後年アデールはアビオンII号で飛行に成功したと主張していますが、実際にはこの機体は完成していなかったことが記録に残っています。
その後、アデールはフランス陸軍からの資金提供を受けて「アビオンIII号」を開発しました。1897年10月14日にアビオンIII号の試験飛行を行いました。アビオンIII号は短い距離を飛行しましたが十分な成果を得ることができず、フランス陸軍は資金の提供を打ち切りました。
フランス政府はアデールの飛行実験を機密扱いとしていましたが、1903年にライト兄弟の初飛行の後にアデールが先に飛行に成功していたと発表しました。しかし、1910年にアデールの飛行は失敗であったと報告しています。
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