リニアモーターカー世界初の有人走行に成功(1982年9月2日)
日本におけるリニアモーターカーに関する研究は昭和37年(1962年)に日本国有鉄道の鉄道技術研究所で始まりました。当時、まだ東海道新幹線は開業されていませんでしたが、東京と大阪を500 km/hで1時間で結ぶ鉄道の実用化を目標としました。1970年に開催された日本万国博覧会(大阪万博)では新幹線を超える超特急として紹介されました。
現在、磁気浮上式リニアモーターカーの実験線といえば山梨県の山梨実験線のことですが、最初に開設されたのは宮崎県の宮崎実験線でした。昭和49年(1974年)、当時の日本国有鉄道が鉄道技術研究所の成果をもとに宮崎実験線に着工、昭和52年(1977年)に完成した1.3 kmの区間で走行実験を始めました。昭和54年(1979年)8月には計画されていた全長7 kmの実験線が完成し、同年12月に無人運転で517 km/hの走行に成功しました。この走行実験に用いられたリニアモーターカーはML500型で逆T字形のガイドウェイを採用していたため人を乗せるることはできませんでした。
昭和55年(1980年)に人を乗せることを目的としてガイドウェイをU型にしたMLU001型が開発され、昭和57年(1982年)9月2日に世界初のリニアモーターカーの有人走行に成功しました。その後、実験が重ねられ、平成7年(1995年)1月にはMLU002N型が411 km/hの有人走行に成功しました。
宮崎実験線ではリニアモーターカーの走行実験が重ねられましたが、コースがわずか7 kmでほとんどが直線で勾配がないこと、トンネルがないこと、単線のためすれ違いの実験ができないなどの制限がありました。そこで、より距離が長く実用的な走行実験ができるコースが必要とされ、平成8年(1996年)7月に山梨実験線が開所し、客車を有するMLX01型の走行実験が始まりました。平成9年(1997年)には有人走行で531 km/h、無人走行で550 km/hを達成しました。平成27年(2015年)4月21日には有人走行で時速603 km/hを記録しています。
現在、リニアモーターカーは中央新幹線として2027年に東京ー名古屋間、2037年に名古屋-大阪間の開通を目指して準備が進められていますが、実用化を前に計画当初には予想されていなかった、さまざまな観点から多くの課題が指摘されています。
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