水戸黄門の放送開始(1969年8月4日)
水戸黄門は言わずと知れた江戸時代の権中納言、水戸藩主で徳川光圀のことです。黄門とは中国で皇帝のそばに仕えて勅命を伝える職務「黄門侍郎」のことで、日本の中納言の唐名にあたります。
さて水戸黄門と言えばTBSで放送されていたテレビ番組「水戸黄門」を思い出す人が多いと思います。TBSのこの番組枠は松下電器産業株式会社の単独スポンサーで「ナショナル ゴールデン・アワー」「ナショナルTVホール」を経て「ナショナル劇場」となり、のちに「パナソニックドラマシアター」と呼ばれていました。この番組枠は松下幸之助氏の「世の為人の為、老若男女問わない番組を」の方針で1956年4月から放送が開始され、主に現代劇のドラマが放送されていました。
水戸黄門の前作は青春コメディー「S・Hは恋のイニシァル」で、次作も同様な番組を企画する予定だったようです。しかし、松下幸之助氏の「世の為人の為になるような番組」の方針が改めて打ち出され、水戸黄門が企画されました。当初TBSは人気の番組枠がいきなり現代劇から時代劇へ転換すること、1966年にTBSでブラザー劇場「水戸黄門」が放映されていたことから難色を示しましたがスポンサーの方針ということで「水戸黄門」が制作されることになりました。
ナショナル劇場「水戸黄門」の放映が始まったのは1969年8月4日です。当時の自分の年齢では時代劇を見るはずもなく、また父も母も「水戸黄門」を見ていなかったと記憶しています。母の実家に遊びに行ったときには、祖父と祖母は「水戸黄門」を見ていました。「水戸黄門」を見る機会が増えるうちに面白いと思うようになりました。
子どもから見ると水戸黄門はお爺さんですが、このお爺さんが当時の勧善懲悪のスーパーヒーローにかぶったのです。
越後のちりめん問屋の御老公一行の旅路、困っている被害者と出会う。事情を探ると悪代官などの存在が見えてくる。そして一行と悪人たちが対峙して殺陣。そして、助さん・格さんが御老公の前に立ち葵の御紋の印籠を出してあの名言。
格さん「こちらにおわす御方をどなたと心得る。畏れ多くも前副将軍水戸光圀公にあらせられるぞ!」
助さん「一同、御老公の御前である、頭が高い、控えおろう!」
そして、水戸黄門の裁きが声高々にくだります。
光圀「その方たちの悪事の数々、この光圀しかと見届けたぞ!!」「許し難い」「言語道断」「恥を知れ!」
この後、悪人の態度はいろいろです。観念したり、開き直ったり。また、その悪代官の上司が出てきて改めて裁いたり。
いずれにしても悪人たちは断罪されてしまいます。
最後に光圀がおろどく被害者に「末長く仲良く暮らすのだぞ」などと優しく声をかけます。
そして万事を解決した御老公が「それでは、助さん、格さん参りましょうか」と言い後に旅立ちます。深く頭を下げる被害者たち、そして光圀の高笑い。「かっかっかっか!」
毎度、同じように始まり、同じように終わる水戸黄門。演じるのは俳優の東野英治郎さん。他にもたくさんの役者さんが水戸黄門を演じていますが、東野英治郎さんは1969年8月から1983年3月まで約13年半も水戸黄門の役を務められました。ゴールデンアワーで視聴率も高い。水戸黄門と言ったら東野英治郎さんだったのです。
ところで水戸黄門は「水戸黄門漫遊記」という幕末に作られた講談でした。つまり水戸黄門のお話しは今から150年以上も前にあったのです。1910年に最初の映画「水戸黄門記」が公開され、その後、たくさんの映画やドラマが作られました。にもかかわずTBSのナショナル劇場「水戸黄門」のイメージが強いのは、この番組が2011年12月19日最終回スペシャルまで42年間続いたからでしょう。
水戸黄門が終了したときには、寅さんシリーズが終わったときのような何とも言えない寂しさを感じました。
| 固定リンク | 0
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- ルパン三世の愛車「メルセデス・ベンツ・SSK」(2023.10.28)
- ブルース・リーに愛を込めて~香港功夫映画よ、永遠に(2023.10.25)
- OK牧場の決闘(1881年10月26日)(2023.10.26)
「今日は何の日」カテゴリの記事
- プレイステーションの日(1994年12月3日)(2023.12.03)
- 空母「信濃」沈没(1944年11月29日)(2023.11.29)
- ベートーヴェンの「皇帝」公開初演の日(1808年11月28日)(2023.11.28)
- 東大赤門こと旧加賀屋敷御守殿門が建立(文政10年11月27日1828年1月13日)(2023.11.27)
「昭和の思い出」カテゴリの記事
- 宇宙戦艦ヤマトが太陽圏脱出(2199年11月26日)(2023.11.26)
- 紀元二千六百年式典(昭和15年 1940年11月10日)(2023.11.10)
- 冒険オートバイ・チャンレンジマシーン(2023.11.06)
- ブルース・リーに愛を込めて~香港功夫映画よ、永遠に(2023.10.25)
- 映画「生きる」公開(1952年10月9日)(2023.10.09)
コメント