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2021年7月27日 (火)

世界初のジェット旅客機の初飛行(1949年7月27日)

 1930年台、英国と米国は世界各地の民間航空路の開拓で覇権争いをしていました。しかし、第二次世界大戦によって休止せざるを得なくなりました。第二次世界大戦の連合により、英国は大型の爆撃機、米国は輸送機を生産することになりました。

 米国の輸送機は旅客機の設計を元に生産されましたが、英国の爆撃機は爆撃機として設計され生産されました。これは第二次世界大戦終結後に再開するであろう民間航空路の開拓および旅客機の生産の競争において、英国が米国に遅れをとることを意味していました。

 英国は米国との競争に打ち勝つために1942年12月に民間旅客機の需要を調査する目的でブラバゾン委員会を設立しました。1944年に航空機メーカーに対して新型の旅客機のタイプ1からタイプ4までの4つのプランが開示されました。

 この中でもタイプ4の旅客機は大西洋横断を可能とする郵便用のジェット輸送機のプランでした。このプランに対して名乗りを上げたのが英国で初めてジェット戦闘機の開発に成功したデ・ハビランド社でした。同社はタイプ4のプランを元に大型のジェット旅客機の開発に挑戦することを表明し、1946年9月から国家プロジェクトとして開発を進められました。

 当初は無尾翼のDH.108試験機が開発されましたが、試験飛行中に墜落してしまいました。これによって試験機のパイロットだったデ・ハビランド社の社長ジェフリー・デ・ハビランドの息子が死亡し、ジェット旅客機の開発は社をあげての目標となりました。

デ・ハビランド社 DH.108型
デ・ハビランド社 DH.108型

 新型の旅客機の機体は実績のある後退翼に変更され、エンジンは自社製ターボジェットエンジンを採用することになりました。このエンジンは実績がありましたが、旅客機に採用するには十分な出力をもっていませんでした。しかし、新しいエンジンの開発には相当の年月がかかることから、計画通りのエンジンを使うことにしました。

 1947年12月に米国ボーイング社の大型の6発式ジェット戦略爆撃機B-47が初飛行に成功すると、主翼の下にエンジンを吊り下げる方法が特許となりました。そのためデ・ハビランド社は主翼にエンジンを埋め込むことにしました。

世界初のジェット旅客機の試作機
世界初のジェット旅客機の試作機

 この試作機は1949年7月27日に飛行試験が行われました。この試験飛行ではジェフリー・デ・ハビランド社長も操縦席に着きました。当時の大型旅客機はレシプロ機であり、この試作機の初飛行は世界に先駆けてのジェット旅客機の初飛行となりました。

 このジェット機はDH.106 コメットと名付けられ1951年1月に量産型の飛行機が英国海外航空に納入されました。しかし、直ちに運行開始とはならず、当時未経験だったジェット旅客機の運行に合わせた航空システムの開発が必要となりました。その開発には1年以上かかり、その間にコメットはデモ飛行で世界各国を訪れました。

 1952年5月2日、世界初のジェット旅客機の商用運航がヒースロー〜ヨハネスブルグ間を結ぶ航路で開始しました。乗客数や後続距離は従来のレシプロ機と同程度でしたが、速度が2倍となり所用時間が半減し、天候の影響を受けない高高度を飛行することができるようになると、ジェット旅客機の優位性が注目を受けるようになりました。

 コメットは就航から2年の間に5機が事故を起こしました。最初の3機は離着陸時の事故で失われましたが、幸い死者は出ませんでした。しかし、後の2機は空中分解しており、耐空証明が取り消され、運行停止処分となりました。

 その後、事故原因の徹底的な調査と機体の改善が試みられました。改良型のコメットが運行を開始した頃にはボーイング社やダグラス社など米国のジェット旅客機が台頭しており長距離路線から撤退せざるを得なくなりました。また中短距離路線の需要も次第に少なくなり、1964年に生産中止となりました。コメットは事故率が低く生産終了後もしばらくの間は使用し続けられましたが、1960年代後半に世界の空から姿を消しました。

 世界初のジェット旅客機コメットの開発と改善の挑戦はコメット自身のみならず後の航空技術の発展に多大なる貢献を果たししたのです。

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