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2021年7月31日 (土)

NASA月面探査機ルナ・プロスペクター運用終了(1999年7月31日)

 冷戦期の米ソの宇宙開発競争は米国がアポロ計画で人類を初めて月面に降り立たせたことによって終焉しました。この後、月面探査はほとんど行われなくなりましたが、NASAはアポロ計画で調査しなかった月の高緯度を含む月面全体の調査を行い資源を見積もる計画を立てました。しかし、この計画に予算がつくことはなく実行に移されることはありませんでした。

 1992年、NASAと弾道ミサイル防衛局は共同で月面探査を計画し、1994年1月25日に月面探査機クレメンタインがヴァンデンバーグ空軍基地からタイタン23Gロケットで打ち上げられました。このクレメンタインの月面探査により、月の南極のクレーターの内側に水が存在する可能性を示すデータが得られました。アポロ計画最後のアポロ17号が打ち上げられたのが1972年ですから、実に22年ぶりの月面探査となりました。

 月面に基地を作った際、水は重要な物資のひとつです。もし月面に大量の水が存在するのであれば、水を地球から運ぶ必要がなくなり、月における人類の活動の可能性が高まります。また、その先には月面の資源の探査も可能となります。さらに、月の地殻活動や月の内部構造に関するデータを収集する目的も加えられました。

 1998年、NASAはこれらの調査の目的のためルナ・プロスペクター計画を立ち上げ、 同年1月7日に月面探査機ルナ・プロスペクターがケープカナベラル空軍基地から アテナIIロケットで打ち上げられました。ルナ・プロスペクターは約4日後に月に到着し、月の北極と南極の上空を通過する高度100キロメートルの軌道を周回し始め、様々な測定機器で月面のデータを収集しました。同年3月、月の極地に水素が存在する観測データが得られたことが公表されました。その後の詳細な調査の結果、同年9月に月の両極には最大60億トンの水が存在する可能性があることがサイエンス誌で報告されました。

月面探査機ルナ・プロスペクター
月面探査機ルナ・プロスペクター

 ルナ・プロスペクターは1999年7月31日に月面探査の最終ミッションとして月の南極のクレーターに衝突し、その役割を終えました。最期のミッションはルナ・プロスペクターの衝突の衝撃により、月面に存在する氷を蒸発させることで水そのものを直接観測できるようにすることでした。この衝突に合わせてハッブル宇宙望遠鏡と地球の天文台が観測データを収集しましたが、水は観測されませんでした。

 ルナ・プロスペクターでは水は観測されませんでしたが、その後の月面探査によって月面には大量の水が存在していることがわかっています。現在、米国、ロシア、日本、中国、インドが月面基地の建設計画が発表されいます。当初は現実性に乏しいものでしたが、月面探査の競争は次第に激しくなりつつあります。

 米国は2019年に2024年までに最初の女性と次の男性を月面に着陸させることを目標としたアルテミス計画を発表しています。月着陸船の開発・運用はスペースX社が担当することになっています。目標地は月の南極付近のようですから、水の探索が視野に入っているでしょう。ある程度の大きさの月着陸船を着陸させ設置することができれば、次回の月面着陸の際に再利用可能な月面基地になるかもしれません。また、また月着陸船を繰り返し月面に送り込んで接続していけば大規模な月面基地が完成するかもしれません。水をうまく利用できれば酸素を得ることも可能です。人類が長期間滞在できる月面基地が建設される日はそう遠くない未来かもしれません。

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