地球がハレー彗星の尾の外側を通過(1910年5月19日)
ハレー彗星の観測でもっとも古い記録は紀元前240年の中国のもので、秦の始皇帝が「ほうき星」を見たことが伝えられています。前回、ハレー彗星が地球の側にやってきたのは1986年です。このときの接近では2月9日に近日点を通過しました。
1910年に観測されたハレー彗星は同年4月10日には目視できるようになり、4月20日に近日点に達しました。のときハレー彗星の写真が初めて撮影されました。また、ハレー彗星が出す光の分光分析が行われました。その後、このハレー彗星は地球からおよそ2,300万 km(天文単位で0.15 au*)まで接近し、5月19日にはハレー彗星の尾の外側を地球が通過しました。
*)天文単位は太陽から地球までの距離を1 auと表し、1 au = 約1億4960万 kmです。火星が地球に最も接近するときの両者間の距離は 0.37 auです。
分光分析で得られたデータによりハレー彗星にはシアン化物が含まれていることが判明しました。この結果からフランスの天文学者カミーユ・フラマリオンは地球がハレー彗星の尾に近づいたときに大気中に毒ガスが広がる可能性があると論じたため、毒ガス防御のためにガスマスクを準備したり、疑似科学商品を買ったりする人が多数いました。地球が彗星の尾を通過する間、ガラス瓶や自転車のチューブで息継ぎをする者まで現れました。実際には何らの被害も出ませんでしたが、世界中が大パニックとなったのです。日本ではこの話が発展し彗星の尾の成分の水素と地球の大気中の酸素が化合し空気がなくなるという噂が広がりました。
また、この後、原因不明の病気が流行し、ハレー彗星が原因であるという説が流布しましたが、この病気はインフルエンザだったようです。当時、ウイルスが発見されていなかったたので病気の原因がわからなかったのです。
1910年にハレー彗星がやってきたときの様子を題材にした絵本「空気がなくなる日」があります。
空気がなくなる日がやってくる。町も村も大さわぎ。あれやこれやと考えてもうまい方法はなかなかみつからない。
出版社 : ポプラ社 (1975/9/1)
発売日 : 1975/9/1
言語 : 日本語
単行本 : 35ページ
ISBN-10 : 4591005518
ISBN-13 : 978-4591005514
1910年のこの物語はドラえもん33巻に収録されている第10話「ハリーのしっぽ」にも取り上げられています。
▼第1話/ポスターになったのび太▼第2話/フィーバー!! ジャイアンF・C▼第3話/地底のドライ・ライト▼第4話/どこでもだれでもローラースケート▼第5話/あの道この道楽な道▼第6話/大人をしかる腕章▼第7話/鏡の中の世界▼第8話/ユクスエカメラ▼第9話/横取りジャイアンをこらしめよう▼第10話/ハリーのしっぽ▼第11話/サンタイン▼第12話/すぐやるガン▼第13話/いやになったらヒューズをとばせ▼第14話/SLえんとつ▼第15話/だせば当たる!! けん賞用ハガキ▼第16話/ガッコー仮面登場▼第17話/さらばキー坊
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・記録に残る最古のハレー彗星の接近の記録(紀元前240年5月25日)
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