純国産飛行機「神風号」がロンドンに到着(1937年4月9日)
1937年の元旦の朝日新聞の朝刊に「国産機で再度訪欧の壮挙・英国皇帝戴冠式を奉祝」という記事が掲載されました。朝日新聞社が純国産の飛行機を使って、東京からロンドンまでの1万5千キロを飛行し、イギリスの新国王ジョージ六世の戴冠式を祝賀しに行くという大計画を発表したのです。
この計画に用いられた飛行機は陸軍が三菱に開発を進めさせていた九七式司令部偵察機「キ15」の試作機でした。軍事機密上、軍用機が民間に引き渡されるということは考えられませんでしたが、陸軍がこの飛行機にほとんど興味をもっていなかったため、試作2号機が朝日新聞社の計画に提供されることになりました。朝日新聞社は飛行機の名前を一般から募集し「神風号」と名付けました。
「キ15」試作2号機が完成したのが1937年3月19日でした。飛行テストを経て3月25日に朝日新聞社に引き渡されました。4月1日に命名式・出発式がとり行われました。翌2日に飯沼飛行士と塚越機関士を乗せた「神風号」は大歓声で送られる中、立川飛行場からロンドンに向けて飛び立ちました。ところが、悪天候に見舞われ、飯沼・越塚両名はいったん帰還することを決意しました。
天候の回復を待った4月6日午前2時12分、「神風号」は再び立川飛行場を出発しました。「神風号」は途中、台北、ハノイ、カルカッタ、バグダット、アテネ、ローマ、パリ などを経由し、ついに現地時間4月9日午後3時30(日本時間4月10日午前0時30分)にロンドンに到着しました。
総所用時間94時間17分56秒、飛行時間51時間19分23秒という15,357キロメートルの飛行記録は、東京-パリ-ロンドン間の世界記録となり、日本で初めて国際航空連盟(FAI)公認の国際記録を樹立しました。日本の航空技術が世界で認められたのです。
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