日本で初めて電灯がともる(1878年3月25日)
世界で初めて実用化された電灯は気体中の放電を利用したアーク灯でした。最初のアーク灯は炭素棒を使ったものでイギリスのハンフリー・デービーによって発明されました。デービーは2本の炭素棒を向かい合わせて配置し、それぞれの炭素棒をボルタ電池の両極に接続して電圧をかけるとアーク放電で起こり炭素棒が発光することを発見しました。1815年にアーク灯の実験を行い、多くの人々が明るい光を見て驚愕しました。デービーのアーク灯は点灯時間が短く実用化には至りませんでしたが、その後のアーク灯の開発に大きく貢献しました。
日本ではじめてアーク灯がともされたのは明治11年(1878年)3月25日です。この日、東京虎ノ門にある工部大学校(今の東京大学工学部)において、工部省電信局が万国電信連合に加盟するために設立した電信中央局の開局記念祝賀会が開かれました。工部省の工部卿を務めていた伊藤博文は明治政府の招きで工部大学校の教授として働いていたイギリスの物理学者ウィリアム・エドワード・エアトンに電灯で会場を照らすよう命じました。
エアトンは、藤岡市助、中野初子などの学生らと50個のグローブ電池を準備しデュボスク式アーク灯(Duboscq arc lamp)を天井に設置しました。そして同日午後6時、会場がアーク灯の青白い日光に照らし出されると、150人を超える来賓が驚嘆しました。しばらくするとシューという音とともにアーク灯が切れて会場は真っ暗となってしまいましが、日本で初めて電灯が灯った日となりました。このことから日本電気協会が昭和2年(1927年)に3月25日を電気記念日と制定しました。
アーク灯は19世紀後半から20世紀初頭まで街路灯などの照明として広く使用されましたが、放電で生じる音や明るすぎるという理由から家庭での利用には難がありました。19世紀末に白熱電球が発明されると、アーク灯は白熱電球を用いた電灯に置き換えられていきました。
ココログ 夜明け前「白熱電球を発明したのは誰?|エジソンが電球の特許取得(1880年1月27日)」
| 固定リンク | 0
「今日は何の日」カテゴリの記事
- ジョージ・オーウェルの小説「1984」出版(1949年6月8日)(2023.06.08)
- アメリカザリガニとミシシッピアカミミガメが条件付特定外来生物に指定される(2023年6月1日)(2023.06.05)
- 第1回インディアナポリス500マイルレース開催(1911年5月30日)(2023.05.30)
- 伊達巻の日|伊達政宗の忌日(5月24日)(2023.05.24)
- キログラムが新定義となった日(2018年5月20日)(2023.05.20)
コメント