郵便マークの日(1887年2月8日)
郵便でおなじみの「〒」は郵便記号または郵便マークといいます。
日本では古代から近世にかけて駅伝制により交通や通信の整備が進められてきましたが、現在の国営の郵便事業が始まったのは明治4年(1871年)4月20日です。郵便事業の始まりについてはココログ 夜明け前「函館と郵政記念日の関係」をご覧ください。
実は郵便事業が開始されたときには郵便マークは存在しておらず、文字で郵便と記されているだけでした。明治10年(1877年)頃から、赤い太い横線に赤い丸を重ねた「丸に一引き」と呼ばれる記号が考案され、郵便車の郵便旗や郵便配達員の制帽や制服に使われるようになりました。この記号が郵便の紋章として広く認知されるようになり、1884年に正式に郵便紋章として定められました。
明治18年(1885年)に郵便等の所管官庁として逓信省が創設されると、逓信省は新しい郵便紋章を考案し、明治20年(1887年)2月8日に「今より(T)字形を以って本省全般の徽章とす」という告示を出しました。つまり、発表当時の郵便紋章は「〒」ではなく「T」だったのです。「T」の由来は逓信省(Teishinsho)の「T」からとも、甲乙丙丁の「丁」からとも言われています。
ところが逓信省は発表から6日後の2月14日に郵便紋章を「〒」に変更し、2月19日に「T」は誤りだったという告示を出したのです。
「T」が「〒」に変更になった理由は諸説あるようですが、「T」が国際郵便の万国共通の記号として郵便料金不足を意味するもので、郵便紋章として適切ではないと判断されたというのが有力の説のようです。「〒」はテイシンショウの「テ」に由来するとも、逓信大臣の榎本武揚(ココログ 夜明け前「榎本武揚らが日本初の公選入札を行う(1868年12月15日)」)が「T」の上に横棒を入れるアイデアを出したとも言われています。「〒」の由来の説は枚挙にいとまがありませんので、ここでは有力な説のみの紹介に留めておきます。
いずれにしろ、郵便紋章は「〒」と定められ、郵便配達員の制帽や制服、郵便旗、郵便ポストにつけられるようになり、現在に至るまで使用されています。「丸に一引き」は併用が許され、次第に「〒」に置き換えられていきました。
実際に「〒」が郵便紋章として定められたのは2月14日もしくは2月19日ですが、2月8日が「郵便マークの日」と定められました。
なお、日本国内では「〒」は広く郵便の記号と認知されていますが、日本国外では郵便記号として通用しませんのでご注意ください。
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